「古の人は民と偕(とも)に楽しむ、故に能く楽しむなり」(孟子)
東京でミュシャ展、並河靖之展の二つの展示をはしごした後、急ぎ水戸へ移動、
駅周辺のホテルに宿泊した翌朝。
水戸で二つの展示をはしごする前に、偕楽園に行ってきました。
1月にNHKで放送された「ブラタモリ」をみて、行きたいなあと思っていたところに、
急遽決まった上京計画。
これはもう、行くっきゃない、と。
水戸の偕楽園は金沢の兼六園、岡山の後楽園と並ぶ日本三名園の一つで、
天保13年(1842年)に水戸藩第九代藩主、徳川斉昭公が、
「領民と偕(とも)に楽しむ」場にしたいと願い創設しました。
斉昭公は陰陽の調和の大切さに重きを置き、
陰陽の調和を図ることを「一張一弛」(弓を張ったり、弛めたりすること)を例にして示し、
勤労と休息の適切さが治世の要点であることを強調しています。
学びの場である弘道館に対する休息の場として偕楽園は創設されました。
美術館巡り二つ目。
千葉市にあるホキ美術館。
日本初の写実絵画専門の美術館。
写実絵画も嫌いではないけれど、それ以上に僕をこの美術館へ惹きつけるものは美術館自身。
第7回日本建築大賞を受賞。
建築家個人による設計ではなく、組織系設計事務所・日建設計による設計。
弧を描くように湾曲した箱が幾つも重なって形成される空間はいかばかりのものか。
期待に旨を膨らましつつ、はるばる土気までやってきたのですが。
魅力ある空間とは、どのようなものであろうか。
対象となる場所だけが良い空間であればいいのだろうか。
対象そのものの空間と、そこへ繋がる周辺の空間。
その関係性を考慮してこそ、真の空間デザインというものではないだろうか。
白井晟一の展示とアントニン・レーモンドの音楽センターを見に
高崎まで来ました。
群馬ってけっこう遠いなあ、と思ってたけど、
渋谷から湘南新宿ラインを使えば一本、2時間で行けちゃう。
いい具合に距離も離れているので学割も使える。
ちょっと早起きをして、
渋谷を7時前発の列車に乗って、高崎に9時前に到着。
午前中は群馬の森の群馬県立近代美術館で白井晟一展を観て、
午後2時前にまた高崎駅に戻ってくる。
東口には散策スポットがほとんどなく、西口へ。
駅から真っ直ぐ伸びる大通りが右側に曲がっていくあたりに
目指す高崎市役所はある。
世田谷区民の僕が、別にこの市役所に行政的な用があるわけでもない。
用があるのはこの建物の21階。
そう、この市役所の21階は展望台になっているのです。
そしてこの展望台から市役所の隣にある群馬音楽センターを見たかった。
ただ、それだけ。
しかし、この建物立派だわ。
潤ってんな〜、高崎市。
富山市役所もすごいなと思ったけど、ここも負けず劣らず。
高崎に来たもう一つの目的。
それはアントニン・レーモンドが設計した群馬音楽センターの見学。
「アントニン・レーモンドの建築」を読んで是が非でも見たくなった。
東京では聖アンセルモ教会と聖オルバン教会の、
2つのレーモンド建築を訪れていたけど教会以外の建築を訪れるのははじめて。
事前に見学可能か問い合わせてみると、
午前中は全館停電で、15時〜17時で見学可能、とのことなので、
午前中は群馬の森の群馬県美で白井晟一展を観て、
気分的に盛り上がったところでいざ見学。
...とそのまえに建物に入る前に建物全体を俯瞰するために
音楽センターの前にある高崎市役所へ。
ここの21階に展望階になっていて、絶好の俯瞰ポイントなのだ。
群馬音楽センターはレーモンド建築にしてはとても奇抜な外観をしている。
たとえて言うなら、尾のないサソリもしくはザリガニのような形。
白井晟一展を観に群馬県立近代美術館まで行ってきました。
群馬県立美術館は群馬の森公園の中にあります。
JR高崎駅からバスで約20分。
「ぐるりん」と呼ばれる市内循環バスは普通のバスより一回り小さく、
行きは乗客は僕以外に一人。帰りも4,5人程度。
関東圏といえ、ここまでくると地方色強く車社会のようで、
バスがほとんど使われてないようです。
公園はけっこう広大で緑に溢れており、まさに森。
群馬を代表する森だからこの名前なのかどうかは知らないが、
とにかく、広い。
雨の合間の晴れ。台風が来る前の晴れ。
晴れ男であることをまた証明してしまった。
雲が多かったものの、天気は良く、
気温がやや低かったものの、
マイナスイオン出まくりの快適で心地よいひとときでした。
白井晟一展を観に群馬県立近代美術館まで行ってきました。
高崎市郊外の広大な森のなかにある美しい箱。
最初は群馬音楽センターを設計したアントニン・レーモンドに設計を依頼する予定だったが、
斎藤義重氏の推薦により磯崎新氏が設計することになったそうです。
茨城の水戸芸術館も哲学色の強い素晴らしいものですが、
ここも負けず劣らず素晴らしい空間でした。
事前に許可を取れば内部の撮影可と聞いていたので楽しみにしていたのですが、
けっこうややこしいことになってました。
書類に名前や住所、連絡先を記入の上、注意事項を確認させられた上で、
許可証が渡されますが、企画展は撮影がNG、
常設展は遠景のみOK、実際自由に撮影ができるのは、
1,2階吹き抜けのホール周辺のみ、と制約が多いのが実情です。
西洋美術館や横浜美術館が常設展は自由に撮影OKなのに比べれば、
内部撮影の制約は多いようです。
とはいえ、平日の地方、ということもあって人は少なく、
撮影する環境としては概ね良かったです。
というわけで撮影OKだったエリアを中心に撮りまくりました〜
[サルバドール・ダリ「バラの頭の女性」]
ドガ展を見に久々に横浜美術館へ行ってきました。
丹下健三設計により1988年竣工、翌1989年開館。
僕の中のイメージでは建築家には2つのタイプがあって、
デビューから早い時期に花開く天才肌タイプと、
晩年に花開く大器晩成型。
丹下さんは前者で、1955年の実質的なデビュー作となった広島平和記念公園から、
1964年の東京カテドラル、代々木競技場、香川県立体育館を頂点に、
以後はあまりぱっとしない印象がある。
...あくまで僕の中での印象なのだけど。
横浜美術館もぱっと見はモダニズムの重厚さは薄れ、
どちらかといえばポストモダンの軽さが見える。
モダニズム好きにはちょっとがっかりなのだけど、そこは巨匠、
内部空間はやはり素晴らしい。
仕事の打ち合わせで川崎に行ってきたので、
その足で川崎大師へ行ってきました。
川崎には通算で5年ほど住んだのだけど、
川崎のど真ん中である川崎駅周辺にはほとんど行ったことがなく、
この歳にして初参拝。
日が傾いて幾分涼しくなった頃とはいえ、うだるような暑さ。
しかし独得のその様式は見ていて面白い。
アジア的な独特の様式といい、くすんだピンク色の社殿といい、
池上本門寺とどことなく似ている気がするのだけど、
池上本門寺は日蓮宗、川崎大師は真言宗、と宗派は違うらしい。
横浜・関内のギャルリー・タイセイからの帰り。
授業まで少し時間がある、ということで。
あまり来ない横浜まで来た、ということで、桜木町まで歩いていくことに。
横浜、といえばオシャレな港町。
しかし、大きな都市には表の顔と裏の顔がある。
横浜といえど例外ではない。
関内から桜木町までの道筋はちょうどそんな都市の裏の顔を
歩いているような感じでした。
しかし、裏の顔の中にも美は潜んでいる。
そんなひっそりとした美を見つけるのも散策の楽しみなのだ。
TokyoArtBeatで見つけました。
大成建設のギャラリー、「ギャルリー・タイセイ」。
主にル・コルビュジエの作品を展示していて、
ちょうど企画展「ル・コルビュジエの建築」第1部が開催中、ということで
日曜日にでも行こうかな、と思ったら日曜は休館日ということで、
土曜日の授業前に急いで行ってきました。
横浜は関内駅から歩いて8分。
こぢんまりとしてますが、白を基調としたシンプルですっきりした空間。
土曜日だというのに、誰も来館者がいなくて、
来館者どころか、スタッフも一人もいなくて、
ほぼ貸し切り状態でした。
ビルの入口に警備員はいるものの、大丈夫なのかな、こんなんで。
撮影不可の案内もないようなので、
思う存分撮影してきました~
熱海への道中、小田原駅に降り立ちました。
...スゴイ。
まるでカラトラバやグリムショーの駅じゃないか。
惜しむらくはこのせっかくのビッグスケールの有機的な骨格が、
ホームの半分からしか拝めず、残り半分は橋上駅スペースで
覆い隠されているのが非常に残念。
しかし、日本の駅もまだまだ捨てたもんじゃないな。
...そう思えたことが嬉しかった。
千葉県佐倉市の川村記念美術館に行ってきました。
新しいバイトをはじめて1ヶ月が無事過ぎ、いよいよ初給料日間近。
そして来週には大学4年生のスタート。
毎回休みには貧乏旅行をしていたわけですが、
いよいよそんな悠長なこともしていられない状況になってしまい、
バイト三昧の春休みだったけど。
日帰りでも、近場でもどこか行っておきたい。
ちょうど桜も見頃だし。
候補として、水戸芸術館か川村紀念美術館が頭に浮かぶ。
水戸芸術館は過去に何度か行ったこともあって、磯崎新のタワーが大好き。
また、水戸の偕楽園へも一度は行ってみたいなあ、と。
対する川村記念美術館は千葉は佐倉にある庭園美術館。
前から一度行きたいと思いつつ、未だ行けてなかった。
で、交通費を調べたら...
なんと水戸は佐倉の倍はかかることが発覚。
一も二もなく佐倉に決定。
...水戸って遠いんだな。
かつての会社員時代に通い慣れた総武線で2時間ほどかけて佐倉へ。
佐倉駅からは無料シャトルバスで20分ほど。
佐倉で桜を満喫。
[横浜三塔のひとつ、<クイーン>横浜税関]
大さん橋を散策した後、みなとみらいまで歩きました。
順路は、
大さん橋 → 赤レンガ倉庫 → Y150 → 観覧車 →
パシフィコ横浜 → QueensSqure →大道芸人広場 →
ドックヤード → 日本丸
...まで行ったあとまたQueensSqureに引き返して
マックでお茶して横浜美術館の前を通って
みなとみらい駅へ。
Y150は中には入らず会場横を素通りしただけ。
けっこう歩いたなあ...
前から行きたい、と思っていた大さん橋へ行ってきました。
本当は横浜美術館でやってる柳宗理展を見たついでに行くつもりだったのですが、
ぐずぐずしている間に家を出るのが遅くなってしまい、
明るいうちに大桟橋を先に見に行くことにしたら、
結局柳宗理展へは時間切れで行けず。
みなとみらい線ってすごく電車賃高い。
自由が丘~横浜は240円で行けるのに、
みなとみらいまでだと一気に420円、大さん橋のある日本大通りだと440円に上がる。
これで貧乏大学生は行くのを迷った...結局行ったけど。
なんとか日没には間に合ったけど。
晴れてはいたものの、雲が厚かったのが残念。
しかし夕方になって気温が下がってきて涼しく、散策にはちょうど良い頃合い。
人もけっこう来てました。
設計者はイギリスに拠点を置くFOA(Foreign Office Architect)の
アレハンドロ・ザエラ・ポロ氏 / ファッシド・ムサヴィ氏。
構造設計は渡辺邦夫氏率いるSDG。
水戸芸術館の中庭には、ひときわ目立つ塔が立っています。
ここをはじめて訪れたのは、2006年、佐藤卓展を鑑賞するためだったのですが、
そのときは風が強くてこの塔に登ることができませんでした。
2年後の2008年、
松井龍哉フラワー・ロボティクス展に行ったときに念願かなってタワーに登ることができました。
さらに9年後の2017年、
藤森照信展を観に来たときに、夜のライトアップを拝むことができました。
というわけで、本記事では、水戸芸術館のタワーをメインに紹介します~
水戸芸術館は、高さ100mの塔、コンサートホール、劇場、現代美術ギャラリーの3つの専用空間で構成された複合文化施設です。
磯崎新設計。
はじめて訪れたのは、2006年の佐藤卓展」。
次に訪れたのは2年後の2008年の松井龍哉展。
このときはタワーの上まで登りました。
三度目はそれからさらに9年後の2017年の藤森照信展。
このときは前入りしてタワーのライトアップを鑑賞しました。
上野から常磐線特急「スーパーひたち」で1時間(在来線ではその倍の2時間)で水戸駅へ。
そこから徒歩20分程度なのですが、10分ほど歩いたところで
ひときわ目を惹く奇抜な塔が見えはじめます。
もう着くのかな、と思いきやなかなか着かない。
さらに10分ほど歩いてようやく到着。
プータロー旅行第二弾にて渋川へ。
そしてHARA MUSEUM ARC(ハラ ミュージアム アーク)へ。
東京品川にある原美術館の別館、ということで訪れてみたかったのです。
磯崎新の設計により1988年に開館。
グリーン牧場という牧場の一番奥にありました。
なんでわざわざ牧場の中に作ったんだろ。
あまり意味がないような気がしますが...
建物はギャラリーが3つあって、
それが中央の受付デッキから三方へ伸びているという
これまたスター形の珍しい形状の建物です。
金沢21世紀美術館のときと違って人っ子一人いず。
一人でじっくり鑑賞できました。