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隠し剣孤影抄・秋風抄を読んでどうしても観たくなって。
Amazonで安く売ってたので買っちゃいました。
やっぱえーですわ、藤沢周平+山田洋次。
絶妙の組み合わせですな。
しかし予想したとおり原作とは多少内容が異なっていました。
さらには隠し剣シリーズの他の物語の設定が盛り込まれていたり。
例えば最後の果し合いでは隠し剣孤影抄のうちの「邪剣竜尾がえし」
の秘剣が使われていたり、きえが嫁入り先で虐待された、という設定は
同じく隠し剣孤影抄のうちの「必死剣鳥刺し」に似ています。
ただそれで物語がつまらなくなった、とかそういうことはなく、
むしろシンプルすぎた原作に色を加えてさらに面白くなった、
僕はそう感じました。
あえて不服点をあげるなら、映像化された宗蔵は原作よりも浄化されて、
「いいひと」にされていたことかな...


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隠し剣孤影抄が面白かったので続けて読みました。
山田洋次+藤沢周平三部作のうちの三作目「武士の一分」の原作である
「盲目剣谺返し」を含む全九編の時代劇短編集。
映画のタイトルを原作どおりにしなかったのは正解だね。
「武士の一分」という言葉は主人公新之丞が弱みに付け込み
妻を謀った男との果し合いの最中に思ったもの。
勝つことがすべてではなかった。武士の一分が立てばそれでよい。
譲らない心。
譲れない愛。
命をかけて守らなければならないもの。
それがない人間は幸せにはなれない。


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藤沢周平の隠し剣シリーズ。
山田洋次+藤沢周平三部作のうちの二作目の原作を含む八編の短編集。
一作目「たそがれ清兵衛」は映画を観たけど原作はまだ、
二作目「隠し剣鬼ノ爪」は本書を読んだものの映画はまだ、です。
そして隠し剣シリーズは初読みです。
けっこう面白かったのは、小難しい藩政や剣の話だけではなく、
すべての物語に色恋沙汰があるからでしょう。
そして大人が愛すべき「平凡なヒーロー像」という藤沢文学の秀逸すべき
作風が存分に描かれているからでしょう。
完全無欠なヒーローは子供のためにある。
人生の酸いも甘いも知った大人にはときに醜く、ときに臆病だけれど、
決めるところで決める。そういう人間がヒーローに見えるのではないでしょうか。


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山田洋次+藤沢周平三部作のうちの第1作目。
三作目「武士の一分」の公開を記念してのTV放送なのかな。
以前にも観たことがあったけどおおかたのあらすじは忘れてしまってた。
で、再度観なおしたわけですが...
やっぱいいねえ、藤沢周平は。
真田広之&宮沢りえもイイ。二人の子役もカワイイ。
例のごとく東北の一藩、海坂藩(架空のものですが)の一平侍のお話。
藤沢ヒーローはけしてずば抜けた才知を持ったヒーローではありません。
外見は限りなく地味でありながら、その心うちは芯のしっかりした、
情愛あふれる、それでいてさりげなく武芸に秀でたヒーローなのです。
そこがスゴク好き。
自分もそんなサムライでありたいと思う。

「武士の一分」観てきました。渋谷シネパレス。
時代劇で平日昼間ということもあってか、観客の多くが年寄りでした。
別に年寄りに偏見を持ちたくはないのですが
年寄りというのはどうしてああもじっと黙っていることができないのでしょう。
映画が始まってもごそごそしたり、おしゃべりしたり。
自分もいずれは年寄りになるわけですが、黙するところは黙する。
場をわきまえることを忘れない老人になりたいものです。
これも「武士の一分」のひとつなのかな...
さて、映画のほうは...
劇的に感動する、というものではないけれど、全体的には良かった。
藤沢文学独特の人生遠回り的なつれなさ、やるせなさがよく出ていると思った。
原作(隠し剣シリーズ、『盲目剣谺返し』)は読んでないのだけど。
蝉しぐれを観たときの感覚と似ていたからそう思ったのだと思う。
そして意外と笑えるところもあった。
ジョークも利いていて、しんみりさせるところはさせる。
実に抑えるところは抑えている、そんな感じでした。
キムタクは役者的には?と個人的には思っていました。
彼が出る月9ドラマはどうにもみる気がしなかったし、
草なぎ君の演技のほうが僕はずっと好きだったのですが、
この映画では主人公の持ち味を好演してたなあと感じました。
キムタクも良かったのだけど僕がなにより気に入ったのは檀れい。
元宝塚トップスターで宝塚卒業後初の出演作ながら
キムタクの妻というヒロインを立派に演じきっていました。
どこかとらえどころのないやわらかさを持ちつつ、
芯のしっかりしている女性...役どころによるものとは思いますが
いやはや一目ぼれです。
えがったー...

「蝉しぐれ」の藤沢周平著。
「蝉しぐれ」同様にドラマ化され主役も同じ内野聖陽が演じています。
ドラマ版は見たことないのですが、主役は銀次郎になっています。
原作では半十郎が主役なんですけどね。かなり脚本を変えてるのかな。
原作そのままだとどうみても銀次郎はカッコ悪いですから。
物語は老中の命を受け秘剣といわれる「馬の骨」の使い手を捜す
二人の藩士の物語、といったところでしょうか。
若くて血気盛んな銀次郎と面倒役としてそれを補佐する半十郎。
そして「馬の骨」の使い手と思われる五人の剣士たち...
それぞれに人生があり、銀次郎はその剣士の弱みをついて立合いを挑み、
秘剣の主かどうか探り当てようとする...
正直この物語は「蝉しぐれ」と違い正義のヒーローものではありません。
半十郎も銀次郎も剣士として、人間としてほどほど優れてはいますが
筆者はそれを前面に押し出しているわけでもない。
登場人物一人一人に人生があり、その人生は十人十色である。
まさに世の中というものをこの物語は映し出そうとしたのではないでしょうか。
人生の視野を広げたい人には必読の一冊です。
秘剣というものは意外なところに、しかし身近なところにあった。
あなたの探しものもそんなところにあるのかも知れません。
(2006/03/25 Tadaoh! Bookより移動)

この秋、公開を心待ちにしている映画。それが「蝉しぐれ」。
「いまあい」を越える感動作になること間違いなし!
...なんて勝手に思ったりしています。
この物語との出会いはドラマ版の再放送でした。
内野聖陽の牧文四郎、水野真紀のお福がまさにはまり役で、
すごく感動したものでした。
その後友達から藤沢周平の原作を借りて読んで、
その感動はさらに倍増したのでした。
そしてこの名作を手元に置いておきたく、自分でも買っちゃいました。
今こうしてこの物語について書いてるだけでも目頭が熱くなります。
それだけこの作品は人としてあるべき道を教えてくれる珠玉の名作なのです。
この映画を見て泣かぬやつは人ではない!
そういい切りたい。
ぜひともオススメしたい秋の映画なのであります。
心配なのは映画版がドラマ版を越える感動をくれるかということ。
原作を忠実に描くだけで十分感動は得られると思う。
変な脚色をしないでほしいのと、あとはキャスティング。
逸平がふかわ?
与之助が今田耕司?
...逆じゃないか?不安だ...
まあ普段の彼らのキャラで判断してはいけないんでしょうが。

「風の果て」に続いて藤沢周平著書を読みました。
「蝉しぐれ」は以前にドラマ版をテレビで見ました。
そのときは録画されていたものを見たのですが最後のほうがなぜか
録画されてなくて結末が分からずじまいだったのです。
そんなわけでおおかたのあらすじは分かっており、
あらためて小説を読んでみたのですが...
感動した。そしてせつない、せつなすぎる...
過酷な運命に立ち向かうとある藩士の物語。
彼は実直で、剣の腕もピカイチ。それでいて、単なる「ヒーローもの」
ではない。そこには恋と友情と家族と運命というテーマが見事に
ちりばめられている。私はそんな気がしました。
あらすじ自体はそんなに難しいものではないのでここで解説
するまでもないと思います。すぐに読んでほしい。
武士道とはなにか。それを考えたい人には必読の一冊です。
剣は人を切るためにあるのではない。大切な人を守るためにあるのだ。
あなたの秘剣やいかに?
(2006/03/25 Tadaoh! Bookより移動)
風の果て〈上〉
風の果て〈下〉
藤沢周平初挑戦。
あまり時代劇ものは好きじゃないですがこの本はすらすら読めました。
なかなか文章力がおありの方なのでしょうか。
内容はとある藩政にまつわる富と権力への執着を描いたもの、
とでもいいましょうか。主人公は身分の低い家の生まれであったにも
関わらず、チャンスと自身の能力を生かして次第に出世していくものの、
本人がのぞんだわけでもないのに権力抗争に巻き込まれ昔ながらの
友人を次々と失っていく...最後に無二の親友を斬らねばならなくなった
とき、言いようのない悲しさを感じました。主人公はけして権力欲に
おぼれたわけではなく、正義感をもって藩政に携わってきたはずなのに
最高権力と引き換えに失ったものの大きさは...
立身出世に燃えるあなたに必読の一冊です。
大切な友を犠牲にしてまで手に入れるほど権力は価値あるものですか?
僕はそんな権力はごめんだ。迷わず友を選びたい。
(Tadaoh! Bookより移動)