隠し剣孤影抄・秋風抄を読んでどうしても観たくなって。
Amazonで安く売ってたので買っちゃいました。
やっぱえーですわ、藤沢周平+山田洋次。
絶妙の組み合わせですな。
しかし予想したとおり原作とは多少内容が異なっていました。
さらには隠し剣シリーズの他の物語の設定が盛り込まれていたり。
例えば最後の果し合いでは隠し剣孤影抄のうちの「邪剣竜尾がえし」
の秘剣が使われていたり、きえが嫁入り先で虐待された、という設定は
同じく隠し剣孤影抄のうちの「必死剣鳥刺し」に似ています。
ただそれで物語がつまらなくなった、とかそういうことはなく、
むしろシンプルすぎた原作に色を加えてさらに面白くなった、
僕はそう感じました。
あえて不服点をあげるなら、映像化された宗蔵は原作よりも浄化されて、
「いいひと」にされていたことかな...
予告編(『たそがれ清兵衛』と二本立て)。
原作の宗蔵は...
藩命でかつての同門、狭間を討つこととなった。
討ち入りの前夜、狭間の美しい妻がその身と引き換えに
討ち入りを断念してもらうよう直談判にくるも断る。
断るもその妻の美しさにもんもんしてそばにいた女中きえを手込めに...
しちゃう男。
もちろんきえを好いてのことなんだけど、
宗蔵はいいところもあれば悪いところもある。
藤沢文学のヒーローはそういう平凡さが持ち味なのに、
あまりに美化しすぎてはその味を損なってしまう...
...と思う部分もあるのだけどやっぱりいい作品だった。
一度全部観て、すぐさまもうち一度観てしまった。
たそがれ清兵衛同様何度でも観たくなる作品です。
武士道には仁・義・礼・智など日本の誇るべき精神が数多くある。
しかし士農工商などの身分制度など同時に恥ずべき精神も存在する。
武士のエゴが他の農民、町人はもちろん同じ武士をも苦しめた。
藤沢+山田作品では武士道の美しい部分だけでなく、
そうした醜い部分も描くことで人間として守るべきこと、恥ずべきことを
教えてくれる。
だから好きです。
武士の一分もはやくDVDでねーかなー...
...まだ劇場公開中だからとうぶんでねーか。
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