大学の研究室で借りたDVD。
日本を代表する14人の現代建築家を外国人が取材してまとめたDVD。
よって日本人の建築家を扱っていながら基本解説は英語です。
といっても解説よりは建築家自身の声がメインとなっており、
磯崎新氏と坂茂氏以外は日本語で話してるのでそれほど海外色は感じません。
自分はデザインを学ぶにあたり、
できるだけ自分から遠いものを参照するようにしています。
たとえば同級生の作品については、流す程度であまり気に留めないようにしています。
それはレベル云々の問題ではなく、自分に近いものばかり見ていると、
同じような色に染まってしまい、オリジナリティが出せなくなる気がするから。
そのような理由からデザインよりはアートの展示を、
日本よりは海外のものを参考するようにしています。
...とはいってもあくまでも傾向的なものであって、絶対的なものではない。
たまには自分に近いものを参考するのも悪くない。
Amazonのパッケージ写真と実際のパッケージが若干異なるのが気になったのですが、
何パターンかあるんですかね...
このDVDに登場する建築家とその代表作品は以下のとおり。
とくに解説がないものについては残念ながら
現段階ではその建築家の思想がよく分からなかった、見えてこなかったということです。
勉強を進めていく過程で見えてくる部分があれば加筆していきたいと思います。
【内藤廣-最上川ふるさと総合公園センターハウス】
(出典不詳)
構造が美しい外観として視覚的に伝わる建築。
実際に訪れた建築としては、
高知駅、牧野富太郎記念館など。
【伊東豊雄-せんだいメディアテーク】
このほか実際に訪れた建築としては、
多摩美の新しい図書館、体験学習施設ぐりんぐりん、伊東豊雄建築ミュージアムなど。
【原広司-京都駅】
ここは実際に訪れました。ほかには梅田スカイビルが有名ですね。
訪れたことはないけど。
実際に訪れた建築としては、
21世紀美術館、豊島美術館など。
今は亡き日本の巨匠。彼はこのコンベンションセンターにより
スーパーストラクチャー、スーパードミノ、メカニカルウェハーという3つの要素で
狭い敷地に大規模施設を建築することで21世紀の都市建物のあるべき姿を提唱しています。
実際に訪れた建築としては、国立新美術館、愛媛県総合科学博物館、福井県立恐竜博物館、広島市現代美術館など。
【磯崎新-水戸芸術館アートタワー】
その昔、日本には建築はなかった。
もちろん建物は昔からあったが建築の「概念」はなかった。
桂離宮は美しい建造物だけれど建築ではない。
建築をいかに検証し解釈するか。これからの日本の建築にはそれが必要だと。
かの巨匠コルビュジエは1日のうち建築設計の仕事以外に
絵を描く時間や本執筆する時間を持っていた。
それが巨匠が巨匠たる所以である。
建築設計が建築の全てではない。
建築により形成される空間に足を踏み入れることで喚起される感覚。
それを考慮するのが建築思想で、建築にはその思想が必要ではないのか。
建物に思想も愛着もなく、毎日のように無節操に立ち替わる今の東京は
はたして都市としてあるべき姿なのか...この疑問にはおおいに共感します。
水戸芸術館は実際に訪れましたが実にステキな空間です。
そのほか訪れた建築は、群馬県立近代美術館。
【長谷川逸子-新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)】
(出典不詳)
建物を外から見た景観ではなく、建物の中から見た景観を重要視。
これは日本の伝統的なスタイルなんだそうですが、
建築をより空間的に捉えようとする彼のアプローチは新しく、かつ難しい方法だと思う。
頭のいい人のやり方なのかな。
だって見えない空間を考えるのはやっぱり難しいもの。
実際に訪れた建築は、
村井正誠記念美術館、梼原町役場、雲の上ホテル、亀老山展望台、九州芸文館など。
良い親を持つことが自分の資質を形成していく上でどれだけ重要か、
ということを感じさせてくれます。
他に実際に訪れた建築としては、NYのMoMA、東京都葛西臨海水族園、広島市環境局中工場。
【安藤忠雄-淡路夢舞台】
たぶん今もっとも活躍している日本人の建築家ではないでしょうか。
広く、数多く手がけるほどにその思想は見えにくくなる。
彼について僕が持つイメージは独学で建築を身につけた努力家で、
元ボクサーのハングリー精神あふれる建築家で、コンクリートを多用する、ということだけ。
有名になれば褒める人だけでなく、非難する人も表れます。
それが余計建築家の思想を分からなくする。
その意味では僕は安藤忠雄は日本のライトのような気がするのです。
本人はコルビュジエが好きなようですが...
他に実際に訪れた建築としては、
21_21 Design Sight、地中美術館、ベネッセミュージアム、本福寺水御堂、光明寺など。
【槇文彦-風の丘葬斎場】
(出典不詳)
実際に訪れた建築としては、代官山ヒルサイドテラス、表参道スパイラル。
三宅一生のギャラリーとして建てられたこの建物は紙で建つ恒久建築です。
紙の素材は1986年アアルトの展覧会で最初に使用。
紙は再生紙を使えばコストが低く、サイズも自由にカスタマイズできる。
彼の建築では一貫して紙を使用することで紙が構造材として
最適な部材であることを証明しています。
日本は若い建築家にも仕事のチャンスがある自由な環境である反面、
建築家がやりたい放題の環境を疑問視する。
自由はあるが秩序はない。
建築設計にコンピュータは使わない。
コンピュータでは良い建築はできないから、だそうだ。
さらに日本の社会制度についても疑問視する。
教育制度がなっていなくて日本の大学は世界でも最低レベル。
学生は勉強する必要がない、授業にも出ない。
政治家かが頼りないから政治を志すものもいない。
疑問視だらけのその理論自体を疑問視する気持ちがある一方で
的確な指摘だと思う部分もある。
どちらにせよ、この人も建築に思想を持っている人で、
周囲にも建築を持たせようとする雰囲気が感じられて僕は好きになりました。
実際に訪れた建築は、お台場に来たノマディック美術館、OPAMなど。
(出典不詳)
ビデオの映像では橋のカッコ良さが伝わって来ませんでした。
オフィシャルサイトの写真はさすがにキレイです。
【丹下憲孝-フジテレビ本社ビル】
映像では丹下健三氏のご子息が登場してました。
父親が偉大なだけに影が薄く見えてしまいます。
逆に父親は偉大すぎてその全貌が客観的に把握できない感じですけど。
他に実際に訪れた丹下健三建築は、
東京カテドラル、代々木競技場、香川県庁、香川県立体育館、広島平和記念公園、若人の広場公園など。
最後に系譜で登場した建築家を整理。
・丹下健三の研究室出身: 槇文彦、磯崎新、谷口吉生、黒川紀章
・菊竹清訓事務所出身: 内藤廣、伊藤豊雄、長谷川逸子
・磯崎新事務所出身: 青木淳、坂茂
・伊東豊雄事務所出身: 妹島和世
・親子で建築家: 谷口吉郎-吉生、丹下健三-憲孝
菊竹清訓氏についてはノーマークだな。
勉強しよ。