訪問日:2018年5月26日(土)
1ヶ月ほど前の話。
香川県立ミュージアムで開催中のイサム・ノグチ展に行ってきました。
イサム・ノグチの個展に行くのは、2006年高松市美術館での開催以来12年ぶり。
その最初の個展以降、香川とニューヨークの庭園美術館に行ったり、
ドウス昌代さんのイサム伝記を読んだりと、
それなりにイサムについて見識を深めたつもりだったけど。
2回目の個展も新しい発見の連続だった。
やっぱり奥が深いなあ、この日米混血の彫刻家は。
Architecture, Art, and sometimes Design.
訪問日:2018年5月26日(土)
1ヶ月ほど前の話。
香川県立ミュージアムで開催中のイサム・ノグチ展に行ってきました。
イサム・ノグチの個展に行くのは、2006年高松市美術館での開催以来12年ぶり。
その最初の個展以降、香川とニューヨークの庭園美術館に行ったり、
ドウス昌代さんのイサム伝記を読んだりと、
それなりにイサムについて見識を深めたつもりだったけど。
2回目の個展も新しい発見の連続だった。
やっぱり奥が深いなあ、この日米混血の彫刻家は。
西条市の愛媛民藝館を訪れた折、Googleマップのナビを頼りにに行ったのですが、
到着地で目に入ってきたのは伝統的なスタイルなんだけど、新しくてキレイな建物。
民藝館ってこんなに新しかったっけ?...とよくよく見たら、
民藝館ではなく、「五百亀記念館」とある。
とりあえずスルーしてまずは今回の一番の目的である民藝館へ。
民藝館のスタッフさんから「五百亀」は「いおき」と読み、
西条出身の彫刻家・伊藤五百亀の記念館だと教えてもらいました。
初めて聞く名ですが入場無料、ということで行ってきました。
こういう新しい出会いが嬉しい。
大三島の岩田健母と子のミュージアムに行ってきました。
設計:伊東豊雄建築設計事務所。
その名のとおり、母子像の彫刻作品が多く展示されています。
岩田健という彫刻家は今回はじめて知りました。
その作品は一見、彼ならではの作風があるようには見えません。
美術学校で見かけるような模範的な端正さを備えた彫像です。
しかしその作品をじっくり眺めていると、じんわりと魅力が滲み出てくる。
冷たい銅像なのに、人肌の温かさを感じる。
そこが彼の作品の魅力なのでしょうか...
桜の頃に川村記念美術館へ訪れたとき、釘付けになった作品。
モホリ・ナギ、カンディンスキーと同じコーナーに展示してたので、
てっきりバウハウスの人かなあ、と思いきや、
Wikipediaによれば、ロシア・アヴァンギャルドの彫刻家だったんですね。
ロシア構成主義の命名者の一人でもあったとか。
...といってもアヴァンギャルドも構成主義もよく知らないのだけど。
基本構成要素は線形的、幾何学的。
しかしそれで形成される形を全体的に眺めると有機的。
...まさに自然美。
美とは、独創的であるかどうか、ではなく、本質的であるかどうか。
...これに尽きるのではないだろうか。
クレマチスの丘。
ヴァンジ彫刻庭園美術館編。
ビュッフェ美術館エリアとヴァンジ彫刻庭園美術館エリアの間はバスで3分程度。
歩いていけなくもないですが、道に迷って断念。
イタリアの現代具象彫刻家ジュリアーノ・ヴァンジの、
世界で唯一の個人美術館として、2002年に開館しました。
ヴァンジ氏は今もご存命で、精力的に活動されているみたいです。
今回のクレマチスの丘訪問はビュフェ美術館が目的で、
こちらの彫刻庭園美術館についてはヴァンジの名さえ知りませんでした。
つまりノーチェックだったわけですが、意外に良かった。
が、ヴァンジの作風自体はちょっと自分の好みじゃないかな。
ちょっとグロすぎる。
彫刻に色を塗った作品などは蝋人形みたいでチープになってしまう気がした。
彫刻庭園といえばイサム・ノグチのものを思い浮かべますが、
今、あらためて彼の偉大さが分かったような気がします。
好きな彫刻シリーズ第五弾。
コンスタンティン・ブランクーシ『接吻』。
完全な抽象ではないけれど、これまで紹介した彫刻作品に比べると
かなりデフォルメされています。
幾何学は人間に近いものなんだ。
...この作品を見てふとそんなことを感じました。
(出典:Wikipedia)
好きな彫刻シリーズ第四弾。
ベルニーニの「アポロンとダフネ」。
これも大学の授業で知りました。
恋する金の矢を射られたアポロンと、逆に相手を疎む鉛の矢を射られたダフネ。
追うアポロンと逃げるダフネ。
捕まりそうになったダフネは自らの身を変えることを望む...
...というギリシャ神話を表現したものですが、
自分が惹かれたのはその物語の内容ではない。
この彫刻のバランスがもたらす「調和」。
静止している像でありながら動きを感じさせる。
月桂樹になりかけているダフネをアポロンより上方へ置き、
アポロンの右手からダフネの両手へと流れる導線が
作品全体における対角線となっており、作品のバランスを保っている。
同時にこの導線が作品に動きを与える曲線になっている。
導線が作品全体に調和を与え、美しさを与えている。
いやはや素晴らしい。
(出典:Wikipedia)
好きな彫刻シリーズ第三弾。
ジャン・ロレンツォ・ベルニーニの「聖テレジアの法悦」。
(ローマ、サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会堂コルナロ礼拝堂)
バロック彫刻の最高傑作。
神に魅入られた聖女が浮かべる恍惚の表情。
絵画でも十分美しい光景なんだろうけど、
彫刻という三次元がこの作品をさらに神々しいものにしている。
聖女の聖衣のひだ。
聖女と天使に降り注ぐ光の矢。
究極のエクスタシーがここにある。
(出典:Wikipedia)
続いて好きな彫刻シリーズ第二弾。
ミケランジェロの「ピエタ」。
ミケランジェロは生涯に4つのピエタを作っているのですが、
その中でもサン・ピエトロのピエタが傑作として有名。
着衣の「ひだ」のリアルさが大理石素材と調和して
ひときわマリアの神々しさを際立たせています。
美はときに癒しをも与えてくれる。
(出典:Wikipedia)
「『おまえは鉄の武器をもってやって来た。わたしは主の御名においてやってきたのだから、おまえは主にいどむことになるのだ。今日、主はおまえをわたしの手にあたえられる。そしてわたしはおまえをたおし、イスラエルには神がおられることを地上のすべてのものが知るのだ』少年だ。ゴリアトは面食らった。唇がちぢこまった。恥をかかされた巨大な戦士の、不明瞭なうなり声がサウルにきこえた。あらたにわきあがった怒りにつき動かされて巨人は前にすすんだ。坂をかけおり、ダビデにむかっていった。若者の胸の高さに槍をかまえていた。そして右手にもった剣をふりあげた。サウルは立ちすくみ、巨人と同じように言葉も出なかった。しかしダビデは歩みの速度を変えることはなかった。投石器を頭の上でまわしはじめ、革ひもが風をきる音がした。音をたててダビデは石をはなった。石はゴリアトの頭蓋骨めざしてとんでいった」(ウォルター・ワンゲリン『小説「聖書」旧約篇』)
「好きな絵」ならぬ「好きな彫刻」シリーズ。
二次元より三次元が好きだから。
本来なら絵画より彫刻のほうが好きなはずなのですが、
好きな絵画より好きな彫刻が少ないのは、
やはり三次元での表現が難しいからだろうか。
ミケランジェロのダビデ像。
今なおその美しさは輝きを失われない。
つまりはこの頃から人間の外形は変わらず、美意識もそんなに変わってない、
ということなのでしょうか。
石山修展に続いてダニ・カラヴァン展を見に世田谷美術館へ行ってきました。
またもや建築系の展示ということでワクワクです。
この展示会はGA Galleryに置いてあったチラシで知りました。
もちろんダニ・カラヴァンなんて初耳。
「環境彫刻家」という肩書きのイスラエル人だとか。
オフィシャルサイトを見る限りでは建築に近い作品を作る人みたいです。
ゲーリーやリベスキンドなど、ユダヤ系には意外と著名な建築家がいますよね。
本展では二次元と三次元での表現の違いをまざまざと感じました。
二次元と三次元の両方を極めることはできない。
二次元を極める人は三次元に進む必要はないし、
三次元を極める人は二次元では満足できない。
さらに造形の意味というか、魅力というか、
そういうものについても考えさせられました。
幾何学図形はなぜゆえに存在するのだろう。
どうして僕らは幾何学図形に惹かれるのだろう。
...僕が惹かれるものの原点について考えるヒントを与えてくれる気がした。
「Hanging Man(ぶら下がる男)」
日米混血の彫刻家イサム・ノグチは、
日本とアメリカに自らの作品を展示する庭園美術館をつくりました。
アメリカ・ニューヨークにある美術館は、
イサム自らが生前に自身の作品を展示する場所として心血を注いで作ったもの。
今回そのニューヨークのノグチ・ミュージアムに行ってきました。
香川の庭園美術館を訪れてから、かねてよりこちらにも行ってみたいと思っていました。
建物の内外に所狭しと作品が展示されています。
展示数は日本よりも断然こちらのほうが多いようです。
日本の庭園美術館同様作品の解説はなく、
見たままを感じてもらいたい、という主旨のようです。
(ただし日本はツアー形式で係員がある程度説明はしますが)
こちらはエントランスとショップ以外には係員もいません。
平日昼間でクイーンズという場所柄もあってか、人も少なく、
ほとんどのエリアで一人きりで静かにゆっくり鑑賞することができました。
静観してもらいたい。
日本人の父を持つ彼の日本観を垣間見たような気がします。
プータロー旅行第二弾にて渋川へ。
そしてHARA MUSEUM ARC(ハラ ミュージアム アーク)へ。
東京品川にある原美術館の別館、ということで訪れてみたかったのです。
磯崎新の設計により1988年に開館。
グリーン牧場という牧場の一番奥にありました。
なんでわざわざ牧場の中に作ったんだろ。
あまり意味がないような気がしますが...
建物はギャラリーが3つあって、
それが中央の受付デッキから三方へ伸びているという
これまたスター形の珍しい形状の建物です。
金沢21世紀美術館のときと違って人っ子一人いず。
一人でじっくり鑑賞できました。
イサム・ノグチ庭園美術館を見学後、牟礼町から高松市へ移動。
高松市美術館へ。
タイミングよく、「イサム・ノグチ 世界とつながる彫刻展」開催中。
横浜でもやってたみたいです、この展示会。
抽象的な石の彫刻しかしてないのかと思ったら。
頭像、プレイグラウンド、家具、照明...
石像、銅像、ブロンズ像、陶像、ステンレス像...
さまざまな作品を手がけているんだな。
広い視野と広い見識。
アメリカ人と日本人との間に生まれ、自分がどこに帰属するのかが
分からず、それを求め続けたといいます。
それが彼を際限なく広い視野へと駆り立てていった...
彼ほどの素養は僕にはかけらもないかもしれないけど、
心理的にはどこか似通うものがあると感じた。
幼い頃に両親に見放され、本当の親を知らずに育った。
大人になるにつれ、自分がますます分からなくなった。
親を知らないことで自分を半分見失ってる気がした。
それでがむしゃらにいろんなものにしがみついた。
彼はどのようにして世界とつながりたかったのだろう。
日米混血の彫刻家イサム・ノグチは、
日本とアメリカに自らの作品を展示する庭園美術館をつくりました。
アメリカ・ニューヨークにあるノグチ・ミュージアムが
イサム自らが生前に自身の作品を展示する場所として整備したものであるのに対し、
日本のイサム・ノグチ庭園美術館はイサムが生前に日本での制作場所(アトリエ)兼住居として
使用していた場所を美術館として整備したものになります。
今回、日本の庭園美術館へようやく訪れることができました。
場所は香川県牟礼町。
高松駅からことでんバスで30分ほどのところにあります。
見学には事前の予約が必要です。
10/3(火)13:00に予約。
午前中は隣町のセカチューのロケ地、庵治町を散策してました。
定刻に受付に行ってみると、平日昼間だというのに40人くらいの人。
すこし多めとのことですが、やっぱり有名な美術館なんだなー。
人数が多いので2グループに分かれて、それぞれ1時間ほどの
ツアー形式で見学、というスタイル。
ツアー参加者には上記写真中のパンフに貼ってあるシールが
配られ、服など見えやすいところに貼り付けます。
気をつけないとうっかり落ちてしまうので注意!
僕は何度も落として危うくなくしてしまうところでした^^;
[フリーフォームソファ&オットマン:noguchi museumにて]
日米混血の芸術家、イサム・ノグチ。
彫刻家であり、画家であり、インテリアデザイナーであり、
造園家・作庭家であり、舞台芸術家だった。
その存在を知ったのはmixiのコミュニティだった。
彼の素性をよく知らないままに、なぜか惹きつけられた。
日本とアメリカの両国に彼の遺志を実現した庭園美術館があります。
彼の中にある二つのナショナリティで自分のアイデンティティを確立したかったのでしょう。
地球を彫刻した男。
そう呼ばれた男が地球をどんな風に彫刻して、どんなものを遺したのか。
そしてどんなデザインをしたのか。