noguchi museum【ノグチ・ミュージアム】

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「Hanging Man(ぶら下がる男)」

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日米混血の彫刻家イサム・ノグチは、
日本とアメリカに自らの作品を展示する庭園美術館をつくりました。

アメリカ・ニューヨークにある美術館は、
イサム自らが生前に自身の作品を展示する場所として心血を注いで作ったもの。

今回そのニューヨークのノグチ・ミュージアムに行ってきました。
香川の庭園美術館を訪れてから、かねてよりこちらにも行ってみたいと思っていました。


建物の内外に所狭しと作品が展示されています。
展示数は日本よりも断然こちらのほうが多いようです。
日本の庭園美術館同様作品の解説はなく、
見たままを感じてもらいたい、という主旨のようです。
(ただし日本はツアー形式で係員がある程度説明はしますが)
こちらはエントランスとショップ以外には係員もいません。

平日昼間でクイーンズという場所柄もあってか、人も少なく、
ほとんどのエリアで一人きりで静かにゆっくり鑑賞することができました。
静観してもらいたい。
日本人の父を持つ彼の日本観を垣間見たような気がします。


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《彫刻家としての私の信念が最終的にたどりついた地点は、自然石に直接働きかけることを含めて、物質との抜き差しならない対決に専念することでした。その長年の実験的に展開の軌跡を保持するために、美術館を設立することに決めました。「ガーデン・ミュージアム」は彫刻作品だけでなく、舞台装置、庭、光の彫刻(あかり)など、環境に関連した私の仕事の別の側面をも含むものとなります》「イサム・ノグチ庭園美術館」の設立は、自分がこの世にのこす作品の処置を長いこと模索したはてに、イサムがたどりついた結論であった。...(中略)...「イサムは自分の死後も、自分の作品が生き延びる道を、自分で決めた」。イサムは、すべての私財を投じて、自らの作品の運命を決定した。...(中略)...《いつの日か、私はこの世を去るでしょう。私の意図の方向をお見せすることが私の遺言となることでしょう。それは、時間から解放されることかもしれません。美術館においては、真実を予言することにさえなるかもしれません》...(中略)...「イサム・ノグチ庭園美術館」は、西洋と東洋という文化の境界だけでなく、具象と抽象、伝統と革新、自然と人工素材、また、純粋美術と商業美術など、あらゆる「間」を綱渡りしたユニークなアーティストが、言葉ではわかりづらい表現の道程を、自ら手際よく提示した個人美術館である。(ドウス昌代「イサム・ノグチ 宿命の越境者」)


場所はクイーンズ、イーストリバーのほとり。
マンハッタンとはうって変わってさびれた雰囲気にびっくり。
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夜はけっこう歩くの怖いかも...


こんなところに本当にあるのか、と心配しながら駅から歩くこと20分。
なんとか辿りつく。
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入場料は大人10ドル。
入場チケットとかはなく、レシートを渡されるのみ。


建物マップ。
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area1、area2は屋外展示、それ以外は屋内展示です。
建物は2階建て構造。


area1。
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石廊展示。


area2。
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庭園展示。


area3。
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屋内1階部分。


area13。
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屋内2階部分。


area14。
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竹林の借景との調和が見事。


ヴォイドシリーズ。

「The Void」
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「Walking Void #2 (The Void)」
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香川にあるものの1/8くらいかな。
「無」を意識するために形あるものを作る。


「In Silence Walking」
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「Sun at Noon(真昼の太陽)」
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「Sun at Midnight(真夜中の太陽)」
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「Downward Pulling(下方へ引く力)」
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「スライド・マントラ」
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ヴェネチア・ビエンナーレに出品したもの。


広島平和記念公園の原爆慰霊碑模型。
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イサムの案では地下にも空間があったんですね。

丹下健三から依頼されたものの、結局実現には至らず。
くだらないナショナリズムに翻弄された。


メトロポリタンにも置いてあった井戸?噴水?
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中央の穴から水がこんこんと湧き出ます。


ミュージアムショップ。

彫刻家でありながら家具やAKARIなどのデザインもしてます。

ソファとテーブル。
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この形状と鮮やかなグリーンのバランスとても好き。
すわり心地もなかなか良い。


有名なAKARIシリーズ。
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1つくらい欲しいけど持って帰るの大変だし。


絵も描いてたんですね...
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ジャコメッティチックな人形。
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1時間半程度で鑑賞終了。
最後にイーストリバーまで出てマンハッタンを望む。
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次なる想いは北海道のモエレ沼へ。


【information】

アクセス:(オフィシャルサイトより)
クイーンズのブロードウェイ(Broadway)駅で下車。西に向かってマンハッタン/イースト・リバー方面に10ブロック進み、ヴァーノン・ブルヴァード(Vernon Boulevard)で左折。33丁目(33rd Road)まで2ブロック南下し、左折。美術館入口は左手 9-01 33rd Road にあります。

開館時間:水〜金:午前10時〜午後5時、土・日:午前11時〜午後6時、月・火:休館日

入館料:一般$10、シニア(65歳以上)$5、学生$5(要学生証)、
    ニューヨーク市立高校の学生無料(要学生証)、12歳以下無料、友の会会員:無料
    ※毎月第1金曜日は任意の入館料。