(出典:Wikipedia)
好きな彫刻シリーズ第四弾。
ベルニーニの「アポロンとダフネ」。
これも大学の授業で知りました。
恋する金の矢を射られたアポロンと、逆に相手を疎む鉛の矢を射られたダフネ。
追うアポロンと逃げるダフネ。
捕まりそうになったダフネは自らの身を変えることを望む...
...というギリシャ神話を表現したものですが、
自分が惹かれたのはその物語の内容ではない。
この彫刻のバランスがもたらす「調和」。
静止している像でありながら動きを感じさせる。
月桂樹になりかけているダフネをアポロンより上方へ置き、
アポロンの右手からダフネの両手へと流れる導線が
作品全体における対角線となっており、作品のバランスを保っている。
同時にこの導線が作品に動きを与える曲線になっている。
導線が作品全体に調和を与え、美しさを与えている。
いやはや素晴らしい。
ベルニーニの「女を追いかける男」の作品をもう一点。
【プロセルピナの掠奪】(出典:Wikipedia)
こちらはローマ神話。
女神プロセルピナを彼女に惹かれた冥界の王プルートに掠奪される。
アポロンとダフネ同様に、
プルートの手から逃れようとするプロセルピナの身体のねじれが
ダイナミズムを表現すると同時に調和も表現している。
まさしくバロックの真骨頂。
プロセルピナの柔肌に食い込むプルートの荒々しい手。
とても大理石でできているとは思えないほどの肉感。
まさしく天才のなせる技。
ベルニーニの作品はローマのボロネーゼ美術館で見ることができるようです。
いつか本物を必ず見に行く。
具象はこの辺にして、次は抽象彫刻のお気に入りを紹介したいと思います。