神戸で兵庫県立美術館、メリケンパークを訪れた後、一路大阪へ。
お目当ては国立国際美術館で開催中のプーシキン美術館展。
プーシキン美術館はロシアの首都モスクワにあるヨーロッパ最大の美術館であり、
収蔵品数は約10万点でエルミタージュ美術館に次いで世界二位。
本展はその膨大なコレクションの中から、フランス風景画に焦点をあてたものになります。
金曜・土曜の午後5時〜9時のナイトタイムで会場内での写真撮影が可能、
ということで夕方5時に現地に到着して夜の美術館を堪能してきました。
Architecture, Art, and sometimes Design.
淡路夢舞台へ行ってきました。
本福寺水御堂から車で10分。
淡路夢舞台は兵庫県の第三セクターである株式会社夢舞台が運営する複合文化リゾート施設です。
安藤忠雄氏の設計で1999年竣工。
安藤さんのコンクリート哲学がこれでもか、と言わんばかりに詰め込まれた空間ですね。
ホテル、国際会議場、植物園、レストラン、野外劇場などの各施設と、
それら施設間をつなぐ複数の庭園で構成されており、
さらに国営明石海峡公園が併設されており、
...まあバカでかいエリアです。
初めて訪れる身としては、方向感覚がつかめずまるで迷宮の中にいるような気になってしまいました。
まさにコンクリートジャングル。
五台山という丘の上にあるのですが、
その植物園の隣に立派なお寺があるではないですか。
四国八十八ヶ所霊場の第三一番、竹林寺。
ここには、五重塔や仏陀像、日本庭園まであって、
これまで訪れた霊場(...といってもまだ四つですが)の中でも、
とりわけ立派なもの。
今回はとくに八十八ヶ所巡りをしてたわけではないのだけど、
立派な寺院を目の前にして素通りするわけににもいくまい。
日本の宗教建築は主にインドや中国から派生したもので、
それらの建築との共通点が多く見られるけれど、
それでもよく見ると、日本建築独自の雰囲気というものがあり、
その正体を見極めることが、日本の良さを再認識することになる。
「良さ」は新しく作る必要はない。
目の前にあるものをしっかり見つめるだけで、見えてくるものがある。
高知が生んだ日本の植物分類学の父、牧野富太郎氏の業績を称えて
1958年に開園した牧野植物園。
その園内に建つ、牧野富太郎記念館。
内藤廣設計で1999年に建てられました。
建築家 内藤廣氏設計のこの牧野富太郎記念館は、サスティナビリティー(持続性)という考え方がひとつのテーマになっています。自然と人間が共生している仕組みを壊さず持続させていくための工夫が構造や設備などに生かされています。最新のコンピューター解析技術と土佐の伝統技術との共同作業でつくられたこの建物は、景観に配慮した環境保全型建築の方向性を示す優れた建築物として全国的な評価を受け、第13回村野藤吾賞をはじめ数々の賞を受賞しました。
木の温もりを生かし入園者を優しく包み込み、自らを「草木の精」と呼んだ牧野富太郎にふさわしい空間をつくりだしています。(牧野植物園オフィシャルサイトより)
本館と展示館の二棟構成で、
その特徴は、中央の庭園を馬蹄形に取り囲んだカーブする切妻屋根の建物。
そしてその曲面で構成された二つの建物を直線で構成された通路で結んでいます。
内藤建築独特の木の架構。
直線要素の反復で全体として曲面を構成する有機要素が魅力的。
さらにその骨組を自然材の木で構成することでさらにその有機性が増す。
その木の架構を暖色系の照明でライトアップすると、
温かみが生まれ、空間は生命力に溢れるものとなる。
反復された木材はあたかも骨で、
その骨にくるまれる空間はあたかも母胎にいるかのような心地良さ。
(母胎にいた頃の記憶は皆無ですが...)
人間に最適な空間は単一的な箱によってもたらされるものではない。
もっと複雑で有機的なものではないだろうか。
高知駅を堪能した翌日、
同じく高知市内の五台山という丘の上にある牧野植物園へ。
ここにもう一つの内藤建築、牧野富太郎記念館があります。
ま、この建物のレポートは後のお楽しみ、にして、
まずは植物園のレポート。
意外とユニークで美しい植物たちに溢れていて良かった。
理想の「形」のお手本は、いつだって自然にある。
自然はいつだって完璧だ。
その秩序を崩すのは、いつだって人間。
でも、その「偏り」が人間「らしさ」なのかな。
高知市内の高知駅へ。
夕刻の帰宅ラッシュにぶつかってしまい、渋滞の中へ。
久々の渋滞経験。
身体が田舎モードになりつつあるだけにストレスが溜まる溜まる。
...別に都会が恋しくてここに来たわけじゃない。
梼原町にある四つの隈建築に加えて、高知市にある二つの内藤建築。
駅は都市の顔である。
駅を見れば、その都市がどういう都市か、だいたい分かる(...と思う)。
大学で建築に興味をもつようになり、
さらにその構造に興味をもつようになり、
自然材の木に興味をもつようなり、
...僕は現代の「箱」社会に疑問をもつようになった。
曲面で構成された人間の体を包むものとして、
直線で構成された箱は果たして最適な空間なのだろうか。
有機体を包むものは、有機的な空間と材料であるべきではないのか。
大アーチを描くかまぼこ状の屋根に、未来の建築の姿を見る。
ソフトはハードの中でしか生きられないことを忘れ、
ハードをないがしろにしてソフトが一人歩きをする時代。
自分にはそれがとても異様な光景に見える。
同時にこの状況がはたして良い状態なのか、
ソフトの一人歩きに加担するような仕事にやり甲斐があるのか、
平日はそんな疑問を抱えながら過ごす日々。
金曜日、バイトからの帰り道、自由が丘のブックオフで、
ガウディのムック本を見つけた。
ソフトカバーながらしっかりとした造りで、写真もテキストも充実していそうだった。
値段も定価の半額、ということもあってちょっと悩んだ末に購入した。
人間は創造しているのではない。
自然という偉大な書物にすでに記されている、
すべての答えをただトレースしているだけなのだ。
ガウディがパワーをくれた。
今の自分に必要なのはスキル以上に前に進むためのパワーなのだ。
ここのところの連日の酷暑故に躊躇していた、
自然教育園に行くことにした。
答えを求めに。
[アオノリュウゼツラン]
夢の島熱帯植物館に行ってきました。
通常は夕方5時で終わるのですが、この日は夜間開館日で21時まで延長。
夕涼みがてら行ってきました。
とにかく緑が見たかった。
建築と自然の良い関係を見たかった。
大きな鉄骨フレームとその中の自然。
デザイン黎明期の水晶宮(クリスタル・パレス)が頭の中に浮かぶ。
建築は自然から切り離してきた。
それが「人間らしさ」だと思っていた。
が、それは人間ではあっても、生命体としてあるべき姿ではなかった。
だから建築は自然との良い関係を取り戻さねばならない。
アントニン・レーモンド展を見るために、竹中工務店東京本店まで行ってきました。
場所は江東区は東陽町。
東陽町の駅からおよそ3分。
何ともオシャレなビルが。
2005年度にグッドデザイン受賞してます。
ギャラリー「A4(エー・クワッド)」はこのビルの1階にあります。
残念ながらギャラリー内は撮影禁止ですが、
エントランスロビー内は撮影OKでした。
造形的にはとりたててユニークなところはないのだけれど、
壁の素材の質感がすごく心地良かった。
素材感、ってやっぱり大切なんだな。
第4セッションの課題にて。
今回の自分のテーマを前の課題から展開して、
等々力渓谷南部の橋を含めた導線計画を先生に提案したら、
参考にするように、と貸してくれた本。
エミリオ・アンバース、1943年アルゼンチン生まれの建築家。
本書は1993年に開催されたエミリオ・アンバース展の図録で、
1973-1993年の20年間にわたる活動の軌跡を紹介。
氏の名前は今回はじめて知ったのですが、
実はあの「アクロス福岡」の基本設計をした人なんですね。
(アクロス福岡は1995年に竣工したのでこの図録には載ってません)
アクロス福岡に代表されるように、
建物と自然との融合を意識した建築を創る人らしい。
自然と融合する建築。
先生がこの建築家を紹介してくれた理由が一目で理解できました。
そして僕が建築に求めるものもこの中にある。