五台山 竹林寺【四国八十八ヶ所霊場:第三十一番】

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内藤建築のある牧野植物園

五台山という丘の上にあるのですが、
その植物園の隣に立派なお寺があるではないですか。

四国八十八ヶ所霊場の第三一番、竹林寺。

ここには、五重塔や仏陀像、日本庭園まであって、
これまで訪れた霊場(...といってもまだ四つですが)の中でも、
とりわけ立派なもの。

今回はとくに八十八ヶ所巡りをしてたわけではないのだけど、
立派な寺院を目の前にして素通りするわけににもいくまい。


日本の宗教建築は主にインドや中国から派生したもので、
それらの建築との共通点が多く見られるけれど、
それでもよく見ると、日本建築独自の雰囲気というものがあり、
その正体を見極めることが、日本の良さを再認識することになる。


「良さ」は新しく作る必要はない。
目の前にあるものをしっかり見つめるだけで、見えてくるものがある。


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開創は奈良時代(神亀元年)、
唐の五台山で文殊菩薩に拝する夢を見た聖武天皇の勅願を受けた行基によって
五台山に似た山として当地が選ばれ、行基は文殊菩薩を彫って山上に堂宇を建てた。
平安時代になって弘法大師がこの地を訪れ、荒廃した堂塔を修復し、霊場とした。

このお寺が一躍有名にしたのはかの「よさこい節」の一説である。

♪土佐の高知の播磨屋橋で〜 坊さんかんざし買うを見た〜

江戸時代末期、竹林寺の住職・純信と美しい娘・お馬との道ならぬ恋を唄ったもの。


五台山の展望台から、壁づたいに下り、西門から入る。

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積み重ねた年月の数だけ、深まる美。

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一瞬の華やかさ故の「儚い美」と対局する、「積層の美」。


仏陀像。

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五重塔。

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地蔵群。

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臥龍が睨みを利かす手水取り。

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わずかにアーチを描く渡り廊下。

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山門。

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山門を守る仁王像。

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本殿は平成二六年の本尊御開帳にあわせて工事中で、
残念ながら全体を拝むことができず。

このほか竹林寺には立派な日本庭園があって、
入場料400円を払って見学することができます。
せっかくなので、見学することに。

臨済宗の学僧・夢窓国師(疎石)の作と伝えられ、国の名勝に指定されています。
夢窓国師は五台山の山麓に「吸江庵」を建てて修行、2年余も後進の育成に努めました。


庭園入口。

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寺社には珍しく、絵画が飾ってある。

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こーいう斬新さもイイ。


地獄絵図。

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お寺に絵画。
意外と絵になる。


開放的な縁側廊下。

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最近は縁側のない家ばかり。
なにか大事なものが失われている気がする。


大広間。

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この遠近感がたまらない。


西側庭園。

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縁側からの見えない「窓」で切り取られた風景を意識して作られた庭。
これぞ借景。

縁側の柱があるからこそ、この眺めが生きる。


この椅子に座ってしばし庭を眺める。

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北側庭園。

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陽射しの強い南側ではなく、陽射しの弱い北側にあえて庭を作る。
陰影礼讃の文化。


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暑い日の午前。
風もなく、汗が滴り落ちる。

しかし、しばらくじっと座って庭を眺めていると、
かすかな空気の流れを感じ、涼を感じるようになる。

東京での最後の4年間、社会人学生として過ごしたときに建築に興味を持ち、
建築を包む空間に興味を持ち、その空間の一部である庭園にも興味を持つようになった。

日本庭園は、自然の再構成である。
それは自然を征服しようというスタンスではなく、
自然を知ろう、というスタンスである。
自然を知れば知るほど、自然に対して畏敬の念を持つようになる。

人間は自然の一部であり、自然から多くのものを享受している。
それに対して、人間はこの二十世紀で自然に対してどんな仕打ちをしてきたか。


庭園から学ぶべきことがある。
だから自分は庭園へと足を運ぶ。


多すぎることははたして人間にとって本当に良いことか。
余計なものを拭い去り、精神を集中してひたすら無を求める。

その先にあるものこそ、人間に本当に必要なものではなかろうか。


さて、心が和んだところで、午後は一転して西洋風へ。

モネの庭を目指します。


【Information】オフィシャルサイト