瀬戸内国際芸術祭2019がはじまりました。
...といってもこの記事を書いてる時点で春会期が終わろうとしてますが^^;
昨年暮れに仕事を辞め、職業訓練に通いながら仕事を探している状況から、
今年は行くかどうか迷っていたのですが、
漠然とはいえ、一応人生の目標でもあるのでやはり行くことにして、
春会期がはじまる前に通年パスポートを購入。
会期前だと1,000円引きの3,800円で買えるし、複数スポット見るなら
これが一番安上がりだしね。
回を重ねるごとに規模が拡大し、今年は国内外からさらに多数の来場者が来ることが見込まれる上に、
今年は平日は職業訓練で休めないため週末にしか行くことができず。
さらに前回まではパスポート割引があった地中美術館や豊島美術館も今年はなし。
というわけで今回は混雑が予想されるメインの直島・豊島は避け、
今まで行ったことのないマイナースポットにターゲットを絞ることに。
まずは瀬戸大橋四国川の袂にある沙弥島会場へ。
かつては周囲を海に囲まれた島も1967年に埋め立てられて地続きに。
沙弥島会場は毎回春会期のみの開催で、これまで春会期に訪れたことがなく、
今回ようやく訪れることができました。
原爆ドームのそばにあるおりづるタワーに行ってきました。
元々は東京海上日動火災保険のビルが建っていたところを、
2010年に広島マツダが取得、2013年に改修計画が発表され、
三分一博志氏の設計で2016年に「おりづるタワー」としてリニューアルオープンしました。
広島出身で親が広島市内にお店を出していたこともあって、
市内へはよく足を運んでいましたが、おりづるタワーが建つ前にここに何があったか、
なんてまったく記憶にない。
まあオフィスビルなんて得てしてそんなもので、
おりづるタワーも3階から11階まではオフィスですが、
せっかくの好立地を生かして、1階と12階・最上階が一般開放されています。
12階以上は入場料が必要なのですが、これが大人1700円となかなかのお値段。
三分一さんの建築には2013年に犬島精錬所美術館、2016年に直島ホールと訪れ、
地球にやさしいエコロジカル建築はもちろん、
その環境思想をデザインにも反映させている点がとても好きになりました。
はたしておりづるタワーにもその三歩一節がふんだんに盛り込まれていました。
広島平和記念公園の南、吉島通りの終点にある広島市環境局中工場を後にして、
広島平和記念公園の東、平和大通りの終点ある比治山の広島市現代美術館へ。
1980年に広島市が政令指定都市になったのを記念して、
比治山が「芸術公園」として整備されることになり、
あわせて博物館建設構想が上がり、黒川紀章の設計で1989年に完成。
丘の上の美術館は、大都市の中心地とは思えないほど静かで穏やかな空間でした。
夏休み三日目は福井県。
現存十二天守の一つ、丸岡城を後にして、海岸へと車を走らせる。
国の天然記念物であり、名勝にも指定されている東尋坊へ。
自殺の名所として有名ですが、もちろん自殺願望があるわけではなく。
その昔、平泉寺というお寺には数千人もの僧侶がいて、
そのなかに東尋坊という暴れん坊の悪僧がおり、近隣の民百姓を苦しめていた。
東尋坊にはあや姫という娘をめぐって争う恋敵に真柄覚念がいて、
覚念と結託した僧侶たちはある日断崖絶壁で酒宴をはじめ、
泥酔した東尋坊を崖の上から突き落とした。
その後49日間、東尋坊の無念により海は大荒れとなった。
...というのが東尋坊の名の由来だそうです。
最初の犠牲者は東尋坊その人だったんですね。
次の目的地は兵庫県立美術館から車で10分のメリケンパークへ。
お目当てはフランク・ゲーリーの日本唯一の芸術作品「フィッシュダンス」。
神戸港開港120年を記念してゲーリーがデザインし、安藤忠雄の監修で1987年に製作された
高さ22mにもなる巨大な鯉のオブジェ。チェーンリンクメッシュで作られています。
日本ではなかなか建たない脱構築主義建築。
それはひとえに「建築は芸術である」という認識の低さなのだろうか。
淡路夢舞台へ行ってきました。
本福寺水御堂から車で10分。
淡路夢舞台は兵庫県の第三セクターである株式会社夢舞台が運営する複合文化リゾート施設です。
安藤忠雄氏の設計で1999年竣工。
安藤さんのコンクリート哲学がこれでもか、と言わんばかりに詰め込まれた空間ですね。
ホテル、国際会議場、植物園、レストラン、野外劇場などの各施設と、
それら施設間をつなぐ複数の庭園で構成されており、
さらに国営明石海峡公園が併設されており、
...まあバカでかいエリアです。
初めて訪れる身としては、方向感覚がつかめずまるで迷宮の中にいるような気になってしまいました。
まさにコンクリートジャングル。
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カーサ・ブルータスが選ぶ「いつかは行きたい!世界の名建築100選」。
...建築好きならば間違いなく興味が喚起されるテーマですよね。
数多ある建築群から限られた状況でどれだけ多くの名建築に巡り会えるか。
それは事前に知識として名建築を知っておくことにほかならない。
東京の会社を辞めて美大に行くことを決めたときから、
多くの情報をリサーチし、実際に訪れてもいるけれど、
次から次へと名建築は現れる。
まあ、それは幸せなことなんだろうけども。
自分の場合はどれだけ多くの名建築を訪れることができるか、ではなく、
死ぬまでに自分で思う究極の建築を一つ作るのが最終的なゴールではあるけども、
そのためにはやはりリサーチし続けなければならない。
金毘羅参りに続いて瀬戸大橋記念公園に行きました。
目的は公園内にある東山魁夷せとうち美術館だったのですが、
行ってみたら美術館以外にもいろいろあって、なかなか面白い空間でした。
瀬戸大橋の開通を記念して1988年に開かれた博覧会の跡地として再整備された場所みたいです。
基本的に海に入るのは嫌いなので、海水浴とは一切しない人間ですが、
海を見るのは大好きです。
青、という色が好き。
奇しくも山間部の地域である遊子川も、その地域カラーはなぜかブルー。
だから性に合ってるのかな。
かつて博覧会で賑わった場所も、今は閑散としている。
まあ正月、という時期もあるのかもしれないけど、
良い空間として長く使われていくことの難しさ、厳しさというものを感じずにはいられない。
札幌にきたときに見ておきたかった建築が、
イサム・ノグチのモエレ沼公園のほかにもう一つ。
それがアントニン・レーモンドの札幌聖ミカエル教会。
1960年に完成、北海道に現存する唯一のレーモンド建築。
東京の聖オルバン教会を気に入った教会がレーモンドに依頼、
レーモンドは無償でこの教会を設計したという。
竹中工務店のギャラリー「A4」での展示でこの教会の見事な模型を見て以来、
いつかは訪れたいと思っていたのだけど、こんなにも早く訪れる機会がくるなんて。
...神に感謝。
モエレ沼から車のナビの誘導だったので、
正直地理はよく把握していないけれど。
聖オルバン教会のX字の斜め梁、
聖アンセルモ教会の祭壇に集光する折板状の壁。
ミカエル教会はこの二つの見事な教会の良いところが融合した、
とても素晴らしい建物だった。
渋谷の松濤美術館へ行ってきました。
群馬県美での白井晟一展以来、すっかりファンになってしまった。
Bunkamuraを通り過ぎて、しばらく進んだ住宅地の中に
こぢんまりと紛れ込むように建っている。
東京タワーそばのNOAビルと同じように石壁が独特の雰囲気を醸し出している。
人を寄せ付けない荘厳さと同時に、人を惹きつける美しさがある。
そして凄まじい建築のエネルギーを感じる。
ちょっと残念なのはそのスケールと立地。
規模としては桜新町の長谷川町子美術館と同じくらいの小規模で、
周囲を住宅や電線で囲まれてしまっているのが非常に惜しい。
この建物はもう10倍くらいのスケールで荒野にぽつんと建っていてほしい。
どんなに良い建築でも、環境が不十分だとその価値も半減してしまう。
環境ってやっぱり大事だよね。