札幌にきたときに見ておきたかった建築が、
イサム・ノグチのモエレ沼公園のほかにもう一つ。
それがアントニン・レーモンドの札幌聖ミカエル教会。
1960年に完成、北海道に現存する唯一のレーモンド建築。
東京の聖オルバン教会を気に入った教会がレーモンドに依頼、
レーモンドは無償でこの教会を設計したという。
竹中工務店のギャラリー「A4」での展示でこの教会の見事な模型を見て以来、
いつかは訪れたいと思っていたのだけど、こんなにも早く訪れる機会がくるなんて。
...神に感謝。
モエレ沼から車のナビの誘導だったので、
正直地理はよく把握していないけれど。
聖オルバン教会のX字の斜め梁、
聖アンセルモ教会の祭壇に集光する折板状の壁。
ミカエル教会はこの二つの見事な教会の良いところが融合した、
とても素晴らしい建物だった。
ファサード。
途中で傾斜が緩やかになる、独特の屋根。
側面。
後ろ側。
正面扉。
扉内側。
独特の紋様。
目黒の聖アンセルモ教会でも見られる、
光を内部の祭壇に集光させる独特の折板状の壁。
...を内側から眺む。
前方祭壇を眺む。
祭壇上の窓から座席に光を取り込む。
紋様はただ装飾のためだけではなく、
光が入り過ぎないようにする役割もあるのだろうか。
東京タワーそばの聖オルバン教会にも見られるX字の斜め梁。
祭壇部。
札幌の第19番目の景観資産となっているようです。
小祭壇。
教会の付属幼稚園。
モダンだけど、教会の雰囲気と調和するようなデザインになってます。
平日昼間ということもあってか、中には誰も居ず、
勝手にお邪魔して見学させていただきました。
西洋の空間は明るいことを良しとする文化ですが、
日本は谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」にもあるように暗さの中に美を求める文化。
日本の良い教会は造形は一見西洋風でありながら、
空間そのものはその「暗さ」が生きる場所となっているような気がします。
だから人が大勢集まって、部屋の中を照明で明るく照らすミサのときよりも、
こうして天気の良い昼日中で照明をつけない状態のときのほうが、
格段に良い空間のように見える。
静謐で穏やかな時間。
それも神が与えてくれた安らぎなのだろうか。
【information】
アクセス:地下鉄南北線「北18条」下車、徒歩15分
※注意!:本来は神に祈りを捧げる神聖な場所です。
宗教に対する真摯な気持ちを持ち、節度ある行動を心がけましょう。