原爆ドームのそばにあるおりづるタワーに行ってきました。
元々は東京海上日動火災保険のビルが建っていたところを、
2010年に広島マツダが取得、2013年に改修計画が発表され、
三分一博志氏の設計で2016年に「おりづるタワー」としてリニューアルオープンしました。
広島出身で親が広島市内にお店を出していたこともあって、
市内へはよく足を運んでいましたが、おりづるタワーが建つ前にここに何があったか、
なんてまったく記憶にない。
まあオフィスビルなんて得てしてそんなもので、
おりづるタワーも3階から11階まではオフィスですが、
せっかくの好立地を生かして、1階と12階・最上階が一般開放されています。
12階以上は入場料が必要なのですが、これが大人1700円となかなかのお値段。
三分一さんの建築には2013年に犬島精錬所美術館、2016年に直島ホールと訪れ、
地球にやさしいエコロジカル建築はもちろん、
その環境思想をデザインにも反映させている点がとても好きになりました。
はたしておりづるタワーにもその三歩一節がふんだんに盛り込まれていました。
まずは外観から。
世界遺産である原爆ドームのすぐそば、という立地から市条例によって
外観には厳しい制限がかけられており、市との協議を重ねた結果だとか。
確かに洗練されてはいるけれど、
三分一さんにしてはどこかノーマルというか、おとなしめというか。
ちょっと物足りない気がするなあ。
さて、中にはいてまずはエレベーターで最上階へ。
エレベーターを出ると前室とでもいうべき空間に出て...
茶室でいうところの「待合」なのかな。
ここでワクワク感を蓄積させておくと、次のメイン空間に入ったときの感動が倍増する、みたいな。
最上階のメイン空間「ひろしまの丘」。
広島市街地を借景とした見事な眺望が目に飛び込んでくる。
特徴的な多数の柱に支えられた巨大な屋根と、壁のない開放的な吹き抜け。
床を普通のまっ平らな平面ではなく、緩やかな「丘」とすることで、
実際の空間は狭くなるはずなのに、逆に拡がりを感じさせるところが素晴らしい。
一見して、四方が壁のない吹き抜けのように見えるけど...
実際は東側は鏡の壁になっていて、西側の景色を反転しているのです。
こうするほうが四方を吹き抜けにするより視覚的に開放感が広がる気がする。
壁がないどころか、ガラス窓すらないエッジ部分。
安全上メッシュ状のワイヤーが張られていますが、
風が吹き抜けるので残暑厳しいこの時期でもとても心地よく感じます。
眼下には広がる見事な眺望。
原爆ドーム。
平和公園。
相生通り。
芋虫のように見える路面電車。
市民球場跡地。
イベント会場として利用されているみたいでしたが、
広島東洋カープの本拠地として長年愛されてきた場所だけに、
もっと丁寧な跡地利用を考えてもらいたいなあ。
広島城。
通常、城下町というとお城がその街の中心的シンボルになるものだけど、
広島はやはり平和記念公園が中心であり、お城は脇役になってる気がする。
科学博物館。
小学生の頃、初めてここのプラネタリウムを訪れて感動したなあ。
12階のおりづる広場。
折り紙に関する様々な作品が展示されてます。
折り紙でできた自分の分身。
爆心地。
水色の建物の右側にある島外科内科の上空600メートルで原子爆弾は炸裂した。
地元の小学生たちが作った折り鶴でできた折り鶴。
おりづるの壁
まずは折り鶴を折って...
巨大な吹き抜け空間に上から投函します。
こんなふうに折り鶴で積み重ねられてゆきます。
満杯になるまであと2〜3年は掛かりそうです。
帰りはスパイラルスロープ状の散歩坂で降りてゆきます。
階段の中心部分が滑り台になっています。
ちょっとした遊び心であり、避難手段でもあるんでしょうが、
安全を考慮してかあまり滑りはよくないので、
遊び心的にはちょっと物足りなく、
非常時の利用においては駆け下りたほうが早い気がしました。
とまあ、ちょっと入場料はお高いですが、その値段分は楽しめる空間だと思います。
今後、この空間はきっと記憶に残る場所になることでしょう。
訪問日:2018年8月26日(日)AM
【Information】オフィシャルサイト
アクセス:広島駅より路面電車で20分
営業時間: 10:00〜19:00(7月〜9月は9:00〜20:00)
入場料金: 大人1700円、中高生900円、小学生700円、幼児(4歳以上)500円