「キリスト教」と一致するもの

ダ・ヴィンチ・コード【ダン・ブラウン】

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今さらだけど、再読。


中村先生の授業で神秘主義を習い、
ウンベルト・エーコの「薔薇の名前」を読み、
先生のお薦めの一冊として、
ダン・ブラウンのフリーメイソンを扱った最新作「ロスト・シンボル」を
読もうとするもまだ新しいが故に古本市場にも安く出回らず。

代わりに「ダ・ヴィンチ・コード」単行本版が目に止まる。
かつてのベストセラーも今や一冊100円。
...時の流れとは恐ろしいもんだ。

さらにセールで一冊90円になってたので上中下巻まとめ買い。
前に一度読んでいることもあり、一気に読み終える。
(犯人が誰だったか、すっかり忘れてたけど)

しかし「薔薇の名前」に比べたらなんと読みやすいことか。
これでもか、と詰め込まれた叡智の数々も、
「薔薇の名前」と比べてしまうとなんとも薄っぺらく思えてしまう。


この世で一番大切なものはなんだろう。

真実?

...だとしたら真実ってなんだ?

薔薇の名前【ウンベルト・エーコ】

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中村先生の授業において、
象徴主義・神秘主義を習う過程で紹介された本。

イタリアの記号学哲学者、ウンベルト・エーコによる小説。

舞台は教皇と皇帝の二極体制下で権力と欲望が渦巻く中世イタリア。
世界中のあらゆる書物が収められた異形の文書館を持つベネディクト会修道院で
ヨハネの黙示録に沿って次々と起こる奇怪な殺人事件。
その事件を解決すべく派遣されたフランチェスコ会修道僧バスカヴィルのウィリアムと
その弟子、ベネディクト会見習い修道士メルクのアドソのコンビが事件に立ち向かう。
物語は年老いたアドソが当時を回想する形で語られてゆく。

二人のコンビが難事件を解決してゆく、と書くと、
あたかも名探偵ホームズとその助手ワトソンによる、
推理小説のごときイメージを浮かべてしまうけど、
ただの推理小説なら、上下巻で800ページにもわたる大作である必要もない。

この物語は、キリスト教の世界観を描いたものであり、
さらにその奥深くには宗教VS哲学、あるいは宗教VS科学の対決が描かれている。


宗教だけで世界は成り立たず、
さりとて科学だけでも世界は成り立たない。

目に見えるものと、目に見えないもの。
世界はこの2つで成り立っており、どちらか一方だけで成り立つものでもない。


「花」のない「華」

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誕生日に花をもらった。


...と思ったら肝心の花がなく。

しかし家に帰っていざ花器代わりのコップに生けてみると...


...あら不思議。

確かに「花」はないのだけど全体として「華」があるように見える。


花を「生ける(活ける)」ってこういうことなのかな。

粗い石【フェルナン・プイヨン】

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「光の教会」を読んだときに、
安藤忠雄が読んだ本として紹介されいて、読んでみたのだけど。


...内容が難解すぎる。


ロマネスクの代表建築、ル・トロネ修道院の建築過程を、
修道士であり、建築家であり、工事監督者であった主人公の日記、
という形で綴った物語。

シトー会というキリスト教のなかでも最も戒律の厳しい宗団においては、
人里から離れた土地を開墾し、自分たちが暮らす建物を自分たちで建て、
自分たちが食べる食料を自分たちで育てる。

生きていく上で必要なすべてのものを自分たちの手で手がける。
それは生きていく上で何が必要かを常に意識させられる。
かつて僕らはそうやって生きていたはずだった。


それがいつしか、効率化という名の下に社会が分業化が進んでいった。
結果、ただ生きていくことに関しては格段に便利になったけど、
「より良く」生きていくことに関しては、逆にその道が閉ざされてしまったのではないか。


...難解ながらもこの本を読み終えて、現代社会の理不尽さを感じた一幕でした。


内井昭蔵の思想と建築【世田谷美術館】

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ついこの間まで、東京に何年かぶりに積雪するほどの寒さだったかと思えば、
早いところではすでに桜の花が開花しはじめているほどの陽気。

ふとテレビをぼーっ...と眺めていると、
天皇が住まわれる御所を設計した内井某という建築家の展示を、
陛下が見学されている...とのニュースが流れていました。

そこでググって見ると、世田谷美術館で今月一杯までの展示。


  内井昭蔵の思想と建築  自然の秩序を建築に


「自然の秩序を建築に」というフレーズに惹かれて、見に行ってきました。


隈研吾の「負ける建築」を読んでからというもの、
「建築は自然から断絶した存在である」ということが頭に引っかかっていた。

建築は自然と断絶するところからはじまるのだろうか。
建築が自然と「共生」する道はないのだろうか。


星の巡礼【パウロ・コエーリョ】

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春休みに入って早一週間。

毎回休みにはいると最初の一週間は放心したようになるのだけど、
今回はとくにその放心具合がひどかった。

忙しい割にはやりたくもない作業の積み重ねで、
良い終わり方ができなかったこともある。
いわば逃げ切った感で一杯で後味の悪さだけが残ってしまう、みたいな。


この本も春休み前の忙しくなる前になんとか読み終わっていたのだけど、
ようやくレビューする気になりました。

パウロ・コエーリョの処女作。

キリスト教三大聖地の一つ、サンティアゴ・コンポステーラへの道である「星の道」
への巡礼を通して人間が本当に辿るべき「道」と持つべき武器「剣」を発見する。


自分の道を知り、その道を歩んでいくための「剣」を持つことで、
人は本当に「良い人生」を送れる。


失われた薔薇【セルダル・オズカン】

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中村先生の授業で紹介された本。
神秘主義を説明する本として紹介されてました。

この本と並行して「ソフィーの世界」を読んでいたのですが、
ちょうど「失われた薔薇」を読み終わった直後に
ギリシャの三賢人(ソクラテス、プラトン、アリストテレス)の後登場した
新プラトン主義のプロティノスによる神秘主義の部分を読んだのです。

なんたるセレンディピティ!
おかげで神秘主義が少し理解できた気がします。


美しく才気溢れるセレブな女性ダイアナは周囲の称賛を受けながらも
どこか満たされない日々を送る。
自信のなさと堅実な道の選択から本当は小説家になりたいのに、
法律家の道を選ぼうとしていた。

そんな中、彼女の最大の理解者である母が亡くなってしまう。
死に際に母が娘に残した言葉は彼女をさらなる悲しみへと突き落とす。

なんとダイアナには双子の妹メアリがいて、
幼い頃に死んだはずの父の元で育っている。
母の病気を知った父はメアリに母に連絡先を教え、
メアリは母へ4通の手紙を出す。
どうやらメアリは幸せではないようだ。
心配した母はダイアナにメアリを探すように、という遺言を残して逝った。

ダイアナは最初はそんな母親の遺言を無視していたが、
やがてメアリが立ち寄ったと思われるイスタンブールを訪れる決心をする。
そこでダイアナを待ち受けていたものは...


この本はあくまである母娘の物語であって、神秘主義の解説本ではありません。
本文中に「神秘主義」の文字は一切出てこないし、
「ソフィーの世界」を併読していなければ、この本を読んだだけでは
神秘主義を意識することはないでしょう。

それでもこの本を読み終わると、なにか満たされた気になる。
それは僕だけじゃない。

世界30カ国で翻訳されて世界中で読まれていることを考えれば、
神秘主義は今の世界に必要な「考え方」だと言えます。


人は一生自分のエゴから抜け出ることはできない。
しかしそのエゴを殺さなければ、人は誰とも分かち合えない。

エゴを殺すことで人は真に自由になれる。
人は神になれる。神と一体化する。


宗教建築の存在意義

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[東京カテドラル地下聖堂側廊の天使像]


創価学会の本部へ行く機会がありました。

僕自身は信者ではありません。
今はまだ、宗教に対しては客観的でいるべき時期だと思う。


宗教もまた、その機能を発揮するには時間が必要だと思う。
キリスト教、仏教、イスラム教...
偉大な宗教は幾多の苦難を乗り越え、
人々の思いを悠久の時を経て積み重ねることでその価値を上げてきた。


かつてエンジニアだった頃、
頭の中を論理的思考で支配されていた頃には
宗教の存在意義が分からなかった。
いや、考えたことさえなかった。


今は宗教建築がとても好きだ。
その空間が持つ、独特の雰囲気。
「信じる」ことによる力を感じさせてくれる場所。

...宗教にはそういう場所が必要だ。

かもめのジョナサン【リチャード・バック】

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リチャード・バック著。
五木寛之訳。

ほとんどのカモメは、飛ぶという行為をしごく簡単に考えていて、それ以上のことをあえて学ぼうとは思わないものである。つまり、どうやって岸から食物のあるところまでたどりつき。さらにまた岸へもどってくるか、それさえ判れば充分なのだ。すべてのカモメにとって、重要なことは飛ぶことではなく、食べることだった。だが、この風変わりなカモメ、ジョナサン・リヴィングストンにとって重要なのは、食べることよりも飛ぶことそれ自体だったのだ。その他のどんなことよりも、彼は飛ぶことが好きだった。(Part One)


この本はタイトル通り、カモメのジョナサンの物語。

しかし。
これは本当は人間自身の物語であることは、
誰の目にも明らかではないだろうか。


好き嫌いはどんな生物にも見られる志向ではあるけれど、
好きなものにエネルギーつぎ込むことができる生きものは
人間だけではないだろうか。


そこが人間だけが唯一持っている性癖であり、
知恵の根源であり、諸悪の根源でもある。


「学ぶ」ということについてあらためて考えさせられた一冊。


The Book of Tea(茶の本)【岡倉天心】:レポート

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2年次に選択履修した共通教育科目、『特講Ⅱ』。


前期は世阿弥「風姿花伝」、後期は岡倉天心「茶の本」を、
受講生持ち回りで読んで感ずるところを講師を交えて考察する、という授業。


評価は「A」でした。

前後期ともレポート課題です。
あまり優劣をつけるような授業ではなく、
きちんと出席して自分の担当パートをこなせば単位はもらえる感じでした。