「谷口吉生」と一致するもの

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仕事で広島に一週間出張でした。

月曜から金曜までの五日間だったので、
その前後で前入り・延泊して久々の広島を満喫することに。


まず最初はずっと行きたいと思っていた広島市環境局中工場。
いわゆるゴミ処理場なのですが、
誰もが敬遠するこの場所をあえて社会にアピールする空間として、
谷口吉生が設計し、2004年に竣工しました。

ゴミ処理場そのものは平日のみの営業で、訪れたのは土曜日でお休みだったのですが、
外観及び2階のエコリウムと呼ばれる開放スペースは休日も自由に見学できます。


ゴミは人間が生み出した「悪」だと思う。
そのままだと美しい地球を汚染する。
人間はそのことを知りながら忌み嫌い、目を背けようとする。

ゴミと向き合うことは地球と向き合うことだ。
それを世間に積極的にアピールする空間がこれからの社会には必要なんじゃないだろうか。


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2016年の瀬戸内国際芸術祭最終日、
粟島での消化不良感を解消すべく丸亀のMIMOCAを訪れた
そこの企画展も好みに合うものではなく、更に消化不良感が増しそうだったのだが、
2階の造形スタジオで開催されていた公募展「みんなで選ぶミモカアート賞」。
これに救われた。

応募対象を丸亀市在住・在勤在学者に限っていながら、
とても魅力的な作品が並んでいた。
自分が好きな作品3点を選んで投票するのだけど、
平面作品が多い中、数少ない立体作品の中に一際輝くガラスのヒマワリに惹きつけられた。
それが東條裕志さんの作品で、彼の作品が見事1位に輝き、
凱旋展示を同じ造形スタジオで開催してる、ということで見に行ってきました。


しかし丸亀日帰りは遠かった〜
帰りはトラブル発生するし。

まあ、それを差し引いても実りある1日でした。


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瀬戸内国際芸術祭2016最終日。

粟島での消化不良感が残ったまま帰る気にならず、丸亀まで戻って
猪熊弦一郎現代美術館に行くことにしました。
この美術館には瀬戸芸の作品はなかったのですが、さすがに高松まで引き返す気にはならず、
須田港から一番近くのアートスポット、ということで。

丸亀の駅前に立つその美しく巨大な箱は、建物そのものが強烈なインパクトを放っている。
基本的に猪熊弦一郎の作品を展示する美術館だけれど、格別この作家が好きなわけでもなく、
今回訪れたときにやっていた企画展もさほど興味をそそるものではなかったけれど、
MoMAの改築を手掛けた谷口吉生による美術空間を見るだけでもそれはそれで面白い。


美術館の前は何度となく通っているのですが、
中に入るのは2011年に訪れて以来、実に5年ぶり。


瀬戸大橋記念公園【山本忠司ほか|香川県坂出市】

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金毘羅参りに続いて瀬戸大橋記念公園に行きました。

目的は公園内にある東山魁夷せとうち美術館だったのですが、
行ってみたら美術館以外にもいろいろあって、なかなか面白い空間でした。
瀬戸大橋の開通を記念して1988年に開かれた博覧会の跡地として再整備された場所みたいです。

基本的に海に入るのは嫌いなので、海水浴とは一切しない人間ですが、
海を見るのは大好きです。
青、という色が好き。

奇しくも山間部の地域である遊子川も、その地域カラーはなぜかブルー。
だから性に合ってるのかな。

かつて博覧会で賑わった場所も、今は閑散としている。
まあ正月、という時期もあるのかもしれないけど、
良い空間として長く使われていくことの難しさ、厳しさというものを感じずにはいられない。


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アートが好きだ。
デザインも好きだ。

でも、「アートやデザインで飯を食う」という表現がまだイマイチピンとこない。

上手く言えないけど、「呼吸をする」ことで飯を食う、と言ってるような感覚。
頭のいい人間なら、それで飯を食うこともできるんだろうけど、
少なくとも僕のような凡人には雲をつかむような感覚だ。

アートもデザインもあらゆる人間に欠かせないものだと思う。
意識して有効に活用すべきなんだろうけど、それだけでは個性にはならない。
これらはいわば「機能」であって、機能を行なうだけでは個性の表現にはならない。
その機能をいかに使って創造を行い、それをいかに表現するか。
「アーティスト」「デザイナー」と呼ばれるだけではもはや個性とはならない時代。

人間はいかにしてアート、デザインを扱うべきなんだろうか。


高松に行ってきました。

人生二度目。
遊子川に来てからははじめて。

遊子川からは内子まで出て、高速で3時間ほど。
東京から長野にスキーへ行く、と思えばそれほどの距離ではないけれど、
日帰りとなるとやはり結構な距離。


今回はとある地域のイベント取材がメインの目的。
それはまた別途報告しますが、
せっかくここまで来たので、前から行きたいと思ってた場所へ行くことに。


それがここ、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館。


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...而してこの聖堂によりて恒に伝へられるべきものは、虚偽に非ずして真実、権力に非ずして正義、憎悪に非ずして慈愛、即ち人類に平和をもたらす神への道たるべし。故にこの聖堂に来り拝するすべての人々は、逝ける犠牲者の永遠の安息と人類相互の恒久の平安とのために祈られんことを。(聖堂記 昭和29年8月6日)


外観編


村野藤吾設計、世界平和記念聖堂。
この教会が故郷広島にあることを心から誇りに思う。

ここを案内してくれたガイドの方が言うには、
広島市内は業者による癒着が少なく、建築家が自由に建てやすい土壌だと。
そのため、魅力的な建築が多い、と。

丹下健三の平和記念公園をはじめ、
村野藤吾の世界平和記念聖堂、黒川記章の広島市現代美術館、
原広司の基町高校、谷口吉生の環境局中工場、山本理顕の西消防署など...
著名な建築家の建物が多くあるようです。


さて、話を世界平和記念聖堂に戻して。

外観編に続いて内観編。


ピーター・ズントーが世界文化賞受賞

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[ブラザー・クラウス野外礼拝堂(2007年) ](出典:Wikipedia)


ふとテレビを見てたら。
世界文化賞の授賞式が近々あって、受賞者が来日している、というニュース。
建築部門はピーター・ズントーが受賞。


ピーター・ズントー...?
はて、どこかで聞いた名だ...と思ったら
以前見たLANDSCAPE OF ARCHITECTURES Vol.2のDVDで
出てきた建築家だ。

ここではスイスの温泉施設(ヴァルス)が紹介されていたけど、
あまりクセのない建築でよく分からないままだった...
そしてそれ以外の建築についてもWikipediaで見てもあまり作品の数はないみたい。


自分にとってはまだまだ未知の建築家なわけで。


sur / FACE 14人の現代建築家たち【DVD】

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大学の研究室で借りたDVD。

日本を代表する14人の現代建築家を外国人が取材してまとめたDVD。
よって日本人の建築家を扱っていながら基本解説は英語です。
といっても解説よりは建築家自身の声がメインとなっており、
磯崎新氏と坂茂氏以外は日本語で話してるのでそれほど海外色は感じません。


自分はデザインを学ぶにあたり、
できるだけ自分から遠いものを参照するようにしています。

たとえば同級生の作品については、流す程度であまり気に留めないようにしています。
それはレベル云々の問題ではなく、自分に近いものばかり見ていると、
同じような色に染まってしまい、オリジナリティが出せなくなる気がするから。

そのような理由からデザインよりはアートの展示を、
日本よりは海外のものを参考するようにしています。

...とはいってもあくまでも傾向的なものであって、絶対的なものではない。
たまには自分に近いものを参考するのも悪くない。


Amazonのパッケージ写真と実際のパッケージが若干異なるのが気になったのですが、
何パターンかあるんですかね...
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エーロ・サーリネン【穂積信夫】

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新住居での生活も慣れてきて、大学のセッションもまだ山場前...
ということでしばらく中断していた読書を再開。

最近はもっぱら建築系の本が多いです。
やっぱ建築が一番やりたいのかな。

建築系の読み物...というとやはりSD選書。
今回はフィンランドの建築家、エーロサーリネン。
著者は実際にエエロ・サーリネンの事務所で働いた経験のあるという穂積信夫氏。


エエロ・サーリネンはアルヴァ・アアルトと同じフィンランド人ですが、
エエロは13歳の時にアメリカに移住しており、
その活動の場はアメリカ中心で作品の多くもアメリカにあります。
アメリカのミッドセンチュリーを代表する建築家、という位置づけみたいです。

意外だったのはあのチャールズ・イームズと親友だったこと。
エーロの息子に彼の名前をつける(イームズ・サーリネン)ほどだったとか。

エーロの父親、エリエル・サーリネンも著名な建築家で、
親子そろって優れた建築家だったようです。
ちなみにエリエル・サーリネンの代表作はヘルシンキの中央駅。
日本の親子建築家、といえば谷口吉郎、谷口吉生の両氏が有名ですよね。


SD選書の写真は小さく、白黒なので様子が分かりにくい、ということで
作品集を探したところ、多摩美八王子の図書館に
建築と都市a+uの1984年4月臨時増刊号で
エーロ・サーリネンを特集したものがあったので借りました。

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大きめカラー写真もさることながら、穂積信夫氏による解説や、
ケヴィン・ローチやシーザー・ペリなどエーロの弟子へのインタビューなど
内容は盛りだくさん。うーんこれは欲しいかも。
が、現在は絶版になっているようで古本屋で探すしかなさそうです。