丸亀市猪熊弦一郎現代美術館【谷口吉生|香川県丸亀市】

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アートが好きだ。
デザインも好きだ。

でも、「アートやデザインで飯を食う」という表現がまだイマイチピンとこない。

上手く言えないけど、「呼吸をする」ことで飯を食う、と言ってるような感覚。
頭のいい人間なら、それで飯を食うこともできるんだろうけど、
少なくとも僕のような凡人には雲をつかむような感覚だ。

アートもデザインもあらゆる人間に欠かせないものだと思う。
意識して有効に活用すべきなんだろうけど、それだけでは個性にはならない。
これらはいわば「機能」であって、機能を行なうだけでは個性の表現にはならない。
その機能をいかに使って創造を行い、それをいかに表現するか。
「アーティスト」「デザイナー」と呼ばれるだけではもはや個性とはならない時代。

人間はいかにしてアート、デザインを扱うべきなんだろうか。


高松に行ってきました。

人生二度目。
遊子川に来てからははじめて。

遊子川からは内子まで出て、高速で3時間ほど。
東京から長野にスキーへ行く、と思えばそれほどの距離ではないけれど、
日帰りとなるとやはり結構な距離。


今回はとある地域のイベント取材がメインの目的。
それはまた別途報告しますが、
せっかくここまで来たので、前から行きたいと思ってた場所へ行くことに。


それがここ、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館。


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丸亀市猪熊弦一郎現代美術館は、画家猪熊弦一郎氏の協力のもと、
1991年に全国でも類を見ない「駅前美術館」として開館したそうです。

といっても、猪熊弦一郎氏のファン、というわけではありません。
ここで開催されている企画展に興味があったわけでもない。
建築家・谷口吉生氏が設計した美術館そのものが見たかった。


美大でデザインを学んでいる過程で「箱型建築」というものに疑問を感じるようになりました。
現代社会では当たり前のように立ち並んでいるこれらの建物に、
普段あまり違和感を感じることはないはず。

しかし、よくよく考えてみてほしい。
自然界において「箱」はメジャーな形・空間だろうか。
原子構造からはじまって、葉の形、木の形、森の形、生きものの巣の形など、
自然界では「箱」は極めてめずらしいかたちと言える。

「箱」は人間が効率・生産性を再優先させて創りだした「人工」の産物だ。
しかしその結果、現在、人はハッピーに過ごせているのだろうか。


そんな疑問から、美大での卒業制作にこんなものを作ったわけですが。
...が、すべての「箱」を否定しているわけじゃない。

美を意識して作られた「箱」はやはり美しい。
この美術館やミースの建築のように。


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いつもなら事前に場所を確認してから来るのだけど、
今回は来る途中に思いついて、出たとこ勝負。
丸亀駅まではすんなり来れたけれど、なかなか場所が分からず。

駅の案内を見て愕然。
思いっきり駅の目の前じゃないですか。
しかも思いっきり目立つ外観。

なんで分かんなかったんだろ。
やはり箱型だけにすんなり周囲の景観にとけこむからだろうか。


丸亀駅前ではなにやらアキバ系のイベントが。
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人の趣味をとやかくいう趣味はないけれど。
こんなんでいいのだろうか、日本の未来。
...と思ってしまう僕は立派なオッサンなのだろうか。


目の前にこれだけ美しく巨大な箱が横たわっているというのに。
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美術館前から駅前を眺む。
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英語では「Marugame Genichiro-Inokuma Museum of Contemporary Art」。
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略してMIMOCA(ミモカ)というそうです。


美術館前に佇む巨大な針山を持った貝。
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向かって左側に階段スペース。
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現在開催中の企画展。
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杉本博司はよく知らないけど、「アートの起源」というタイトルが気に入った。
展示もなかなか良かった。
企画展は著作権の関係で撮影禁止、常設展はOK、という日本の美術館お決まりのスタイル。

というわけで、常設展エリア。
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猪熊弦一郎さんの絵の中で一番気に入った作品。
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ピカソみたいな絵を描くんだね。
ファサードの巨大な絵もイイ。


2階上部。
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基本的には箱反対派だけど、
ここまで丁寧に作られていると、箱も悪くないな、って思ってしまう。

世の中いろいろあるねえ。

東京でさんざんアートとかデザイン見たからしばらくいいかなあ、
って思ってたけど、やっぱりイイね、こういう場所。


食には無頓着なほうだけど、せっかく香川に来たのだから、とランチにうどん。
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さて、本日の主目的である檀紙地区へ

...と思ったけど時間が少々あったので、五色台へ。


【Information】オフィシャルサイト

アクセス:JR丸亀駅南口より徒歩1分
     JR丸亀駅前地下駐車場・2時間無料

開館時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)

休館日:年末12月25日から31日、および展示替え等による臨時休館日
   (詳しくはオフィシャルサイトをご覧ください)

入館料:常設展 一般300円 大学生200円 高校生以下無料
    企画展は展覧会ごとに定める