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2008年8月 6日

対決-巨匠たちの日本美術【東京国立博物館】

アート/ 展示・イベント

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  asahi.com 朝日新聞社 - 特別展「対決-巨匠たちの日本美術」「対決」作品たち


大学の日本美術史の授業でチケットをもらったので見に行ってきました。
久々の上野の国立博物館。


かつては日本画はあまり好きじゃありませんでした。
近代以前のものはとくに。
だから大学でも西洋美術の授業を多くとった。


生まれてからずっと日本で暮らしてきた。
武道をずっとやってきたし、西洋の合理主義には抵抗を感じることもある。
だから自分は典型的な日本人ではないかと自覚していた。
...それでいて、日本画は関心が向かなかった。


なぜなんだろう。

...それが今回の展覧会でちょっと分かった気がします。



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[チケット]


本展覧会では11組の巨匠を対決形式で展示するもの。

  運慶 VS 快慶
  雪舟 VS 雪村
  永徳 VS 等伯
  長次郎 VS 光悦
  宗達 VS 光琳
  仁清 VS 乾山
  円空 VS 木喰
  大雅 VS 蕪村
  若冲 VS 蕭白
  応挙 VS 芦雪
  歌麿 VS 写楽
  鉄斎 VS 大観

対決を決するのは見る人それぞれ。

大学の授業ではあらかじめ若冲 VS 蕭白、応挙 VS 芦雪について
日本史の専門家をゲストに招いて解説してくれました。
おかげでいつもよりも展示を楽しんで見ることができたと思います。


会場内は撮影禁止のため、ネットで展示作品を探してきました。
個人的な偏見で勝負をつけたいと思います。


運慶 VS 快慶


[地蔵菩薩坐像(京都六波羅蜜寺)・運慶作]



[地蔵菩薩立像(奈良東大寺)・快慶作]


鎌倉の仏師対決。
運慶の父親の営む工房仲間同士だっただけに作風も似たような感じであまり違いが感じられません。
ドローかな。


雪舟 VS 雪村


[慧可断臂図・雪舟作]



[呂洞賓図・雪村作]


雪村は雪舟の百年後を生きた人であり、雪村にとって雪舟は憧れの人だった。
雪村の「雪」の字も雪舟に由来するという。
自分は重厚感のある雪舟のほうが好きかな。


永徳 VS 等伯

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[檜図屏風・狩野永徳作](出典:Wikipedia)


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[松林図屏風・長谷川等伯作](出典:Wikipedia)


重厚感ある檜と繊細な松。
やっぱり永徳の重厚感のほうが好きかなあ。


長次郎 VS 光悦


[黒楽茶碗 銘俊寛・長次郎作]



[黒楽茶碗 銘時雨・本阿弥光悦作]


重厚感の長次郎と繊細さの光悦。
やっぱり長次郎かなあ。


宗達 VS 光琳

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[風神雷神図屏風・俵屋宗達作](出典:Wikipedia)


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[風神雷神図屏風・尾形光琳](出典:Wikipedia)


「ほとんど同じやん!」
光琳の燕子花図は大好きだけど、この絵で対決する限りはドローかな。


仁清 VS 乾山


[色絵吉野山図茶壺・野々村仁清作]



[色絵紅葉図透彫反鉢・尾形乾山作]


これまた同じような色彩で甲乙つけがたい。
やっぱりドロー。


円空 VS 木喰


[自刻像(賓頭盧尊者)・円空作]


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[自身象・木喰作](出典:Wikipedia)


一見粗雑に見える円空と超絶技巧を駆使する木喰。
技術的には圧倒的に木喰の方に軍配があがるのだけど、
作品としての迫力、という点では圧倒的に円空のほうがすごかった。
...というわけでこの対決は円空の勝利!

作品の魅力というのは決して技巧のみで決まるものじゃないんだね。


大雅 VS 蕪村

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[十便帖・池大雅作](出典:Wikipedia)


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[鳶鴉図・与謝蕪村作](出典:Wikipedia)


実際は大雅の十便帖と蕪村の十宣帖での対決なんだけど、
正直これらはごちゃごちゃしてて興味が喚起されなかった。
蕪村の鳶鴉図の迫力で(あまりフェアじゃないかもしれないけど)蕪村の勝ち。


若冲 VS 蕭白


[旭日鳳凰図・伊藤若冲作]



[鷹図・曽我蕭白作]


どちらも緻密で繊細なんだけど、若冲の独自のデフォルメは好き嫌い分かれるところではないでしょうか。
自分はあんまり好きじゃないんで、蕭白に軍配が上がるかな。


応挙 VS 芦雪


[猛虎図屏風・円山応挙作]



[虎図襖・長沢芦雪作]


こちらも応挙の独自のデフォルメが好き嫌い分かれるところだと思うのだけど、
やはり自分はあまり好きじゃないし、芦雪の虎のほうが迫力あるように感じるので芦雪の勝ち。


歌麿 VS 写楽

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[婦人相学十躰・浮気之相・喜多川歌麿作](出典:Wikipedia)


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[市川鰕蔵の竹村定之進・東洲斎写楽作](出典:Wikipedia)


スッキリな歌麿とクセのある写楽。
どちらも甲乙つけがたいけど、あえてつけるのなら歌麿。
スッキリなのに漂う色気はタダモノではない、みたいな。


鉄斎 VS 大観

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[富士山図屏風・富岡鉄斎作](出典:bitecho


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[雲中富士図屏風・横山大観作](出典不詳)


リアリズムの鉄斎とデフォルメの大観。
迫力、という点では大観の富士が良いかなあ。


自分はリアリストである。
想像上の世界がどんなに無限に広がるものであっても、
実際の世界で触れられるものでなければそれは自分にとっては魅力あるものではない。
だから自分はグラフィックデザインにあまり興味がないんだと思う。
襖に描かれた虎がどんなに迫力があっても、
それが襖から出てこなければ...ってこと。

西洋絵画は古くから遠近法が取り入れられ、その表現法は三次元的。
一方日本美術の多くは遠近法を無視した二次元的なもの。
自分が日本画より西洋絵画が好きな理由はそこにある。

本展でも絵画よりも彫刻や陶器などの三次元作品のほうが分かりやすかった。

とくに分かりやすかったのは[円空 VS 木喰]。
円空が木の形が残ったままで粗野なのに対し、木喰のキレイな仕上げ。
円空の場合視線の届かない背中側はほとんど手を加えず真っ平らなのに対し、
木喰はどこからみても同じ仕上げで完璧な作り。

...にもかかわらず自分は円空の仏に惹かれた。
ライティングがすごくイイ。
光に反射して浮かび上がるその表情に仏の慈悲を感じた。


そのほか[光悦 VS 長次郎]の楽茶碗も興味深かった。
装飾のないシンプルなもので形や焼き具合、色というきわめて原始的な感覚に
訴えるそのスタイルがイイ。


絵画では芦雪の日本で一番大きな虎、蕪村の鳶鴉図が良かった。
たぶん日本画でも比較的三次元的なのかな。


図録は迷ったけど結局購入。
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少し日本美術が面白くなってきた展覧会でした。



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