年始の九州小旅行、武雄市図書館の次は市村記念体育館。
JR佐賀駅からバスで10分ほど。
佐嘉神社をお堀を挟んで向かい側にあります。
坂倉準三設計により1963年建造。
地元出身の元リコー社長・市村清が佐賀県に寄贈した体育館。
もちろん、わざわざ運動しに行ったわけではなく、
建築的興味から訪問しました。
竣工後50年を経過した今も健在で、その独特のフォルムは今も色褪せない。
地元県民が大切に使ってきたことが伺えます。
同タイプの建築がわが愛媛県は西条市にもあったのですが、
こちらは残念ながら取り壊されてしまったそうです。
なんとも残念な話です。
良いものを良いと認識し、大事に使い続ける習慣。
この基本感覚をいつまでも忘れてはならない。
札幌にきたときに見ておきたかった建築が、
イサム・ノグチのモエレ沼公園のほかにもう一つ。
それがアントニン・レーモンドの札幌聖ミカエル教会。
1960年に完成、北海道に現存する唯一のレーモンド建築。
東京の聖オルバン教会を気に入った教会がレーモンドに依頼、
レーモンドは無償でこの教会を設計したという。
竹中工務店のギャラリー「A4」での展示でこの教会の見事な模型を見て以来、
いつかは訪れたいと思っていたのだけど、こんなにも早く訪れる機会がくるなんて。
...神に感謝。
モエレ沼から車のナビの誘導だったので、
正直地理はよく把握していないけれど。
聖オルバン教会のX字の斜め梁、
聖アンセルモ教会の祭壇に集光する折板状の壁。
ミカエル教会はこの二つの見事な教会の良いところが融合した、
とても素晴らしい建物だった。
白井晟一の展示とアントニン・レーモンドの音楽センターを見に
高崎まで来ました。
群馬ってけっこう遠いなあ、と思ってたけど、
渋谷から湘南新宿ラインを使えば一本、2時間で行けちゃう。
いい具合に距離も離れているので学割も使える。
ちょっと早起きをして、
渋谷を7時前発の列車に乗って、高崎に9時前に到着。
午前中は群馬の森の群馬県立近代美術館で白井晟一展を観て、
午後2時前にまた高崎駅に戻ってくる。
東口には散策スポットがほとんどなく、西口へ。
駅から真っ直ぐ伸びる大通りが右側に曲がっていくあたりに
目指す高崎市役所はある。
世田谷区民の僕が、別にこの市役所に行政的な用があるわけでもない。
用があるのはこの建物の21階。
そう、この市役所の21階は展望台になっているのです。
そしてこの展望台から市役所の隣にある群馬音楽センターを見たかった。
ただ、それだけ。
しかし、この建物立派だわ。
潤ってんな〜、高崎市。
富山市役所もすごいなと思ったけど、ここも負けず劣らず。
高崎に来たもう一つの目的。
それはアントニン・レーモンドが設計した群馬音楽センターの見学。
「アントニン・レーモンドの建築」を読んで是が非でも見たくなった。
東京では聖アンセルモ教会と聖オルバン教会の、
2つのレーモンド建築を訪れていたけど教会以外の建築を訪れるのははじめて。
事前に見学可能か問い合わせてみると、
午前中は全館停電で、15時〜17時で見学可能、とのことなので、
午前中は群馬の森の群馬県美で白井晟一展を観て、
気分的に盛り上がったところでいざ見学。
...とそのまえに建物に入る前に建物全体を俯瞰するために
音楽センターの前にある高崎市役所へ。
ここの21階に展望階になっていて、絶好の俯瞰ポイントなのだ。
群馬音楽センターはレーモンド建築にしてはとても奇抜な外観をしている。
たとえて言うなら、尾のないサソリもしくはザリガニのような形。
白井晟一展を観に群馬県立近代美術館まで行ってきました。
高崎市郊外の広大な森のなかにある美しい箱。
最初は群馬音楽センターを設計したアントニン・レーモンドに設計を依頼する予定だったが、
斎藤義重氏の推薦により磯崎新氏が設計することになったそうです。
茨城の水戸芸術館も哲学色の強い素晴らしいものですが、
ここも負けず劣らず素晴らしい空間でした。
事前に許可を取れば内部の撮影可と聞いていたので楽しみにしていたのですが、
けっこうややこしいことになってました。
書類に名前や住所、連絡先を記入の上、注意事項を確認させられた上で、
許可証が渡されますが、企画展は撮影がNG、
常設展は遠景のみOK、実際自由に撮影ができるのは、
1,2階吹き抜けのホール周辺のみ、と制約が多いのが実情です。
西洋美術館や横浜美術館が常設展は自由に撮影OKなのに比べれば、
内部撮影の制約は多いようです。
とはいえ、平日の地方、ということもあって人は少なく、
撮影する環境としては概ね良かったです。
というわけで撮影OKだったエリアを中心に撮りまくりました〜
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「私と日本建築」に引き続いてレーモンド関連の本を読みました。
「私と日本建築」がレーモンド自身の言葉であるのに対し、
本書はレーモンドの弟子による記述。
前者が主観的記述であるのに対し。後者は客観的記述。
主観と客観を知ることで、対象をより深く理解できるようになる。
ライトやコルビュジエ、ミースほど知名度は及ばずとも、
間違いなく彼は近代建築の担い手であった。
それでいて、常に近代建築の悪しき風習から抜け出そうとしていた。
目先の効率に囚われ、生産性や経済性の機能を最優先とし、
人類幸福という至上命題を忘れがちになる、
インターナショナル・スタイルの欠点に早くから気づいていた。
ライトやミースが晩年になってようやく気づいたことを、
彼は早い時期から知っていた。
それを彼は日本の建築から学んだという。
日本の理想の建築を考えるにはまたとない逸材ではないだろうか。
アントニン・レーモンドの聖アンセルモ教会を見に目黒へ出かけた帰り道。
時間があれば東京都庭園美術館の隣にある国立科学博物館付属自然教育園へ
足を伸ばしたかったのだけど、教会が思ったより素晴らしくて長居してしまい、
間に合わず。
予定を変えて目黒雅叙園へ。
結婚式の専用量産工場。
幸せがたくさん集まる場所と思えば、幸せな場所なのかな。
レーモンドの教会を見た直後だけに、結婚式場としての対照性が際立つ。
結婚の誓いを立てる場にふさわしい空間とはいかなるものだろうか。
GW最終日。
卒制に取り組まねば、と思いつつ手は動かず。
外は晴れ。
少し前までの寒さが嘘みたいな真夏日。
これはもう出かけるっきゃない。
目黒に素敵な教会があるということで行ってきました。
カトリック目黒教会(聖アンセルモ教会)。
アントニン・レーモンドの設計で1956年献堂。
丹下健三の東京カテドラル聖マリア大聖堂に負けるとも劣らない、
とても素晴らしい空間でした。
私と日本建築 (SD選書 17)
A4ギャラリーでのアントニン・レーモンド展を見て、
この本を読むことにしました。
40年以上も日本に住みながら、日本語が書けなかったため、
原文は英語でそれを他人が訳した文章ですが、
建築家が書く文章にしては比較的分かりやすい文章でした。
本書は本としての執筆ではなく、
雑誌への論文や講演内容などをとりまとめたもの。
ここ3年、建築家の文章を読むようになって自分なりに思うことは、
訳の分からぬ文章を書く人ほど、スケールのでかい建築を創る、ということ。
はたしてレーモンドはどうだったのか。
A4ギャラリーでアントニン・レーモンド展を見て、
バイト先のすぐそばに彼の設計した教会があることを知り、
昼休みに訪れてみました。
灯台下暗し。
外見に騙されるな。
外観ではお隣の聖アンデレ教会にすっかり心を奪われていました。
木造モダニズム万歳。