年始の九州小旅行、武雄市図書館の次は市村記念体育館。
JR佐賀駅からバスで10分ほど。
佐嘉神社をお堀を挟んで向かい側にあります。
坂倉準三設計により1963年建造。
地元出身の元リコー社長・市村清が佐賀県に寄贈した体育館。
もちろん、わざわざ運動しに行ったわけではなく、
建築的興味から訪問しました。
竣工後50年を経過した今も健在で、その独特のフォルムは今も色褪せない。
地元県民が大切に使ってきたことが伺えます。
同タイプの建築がわが愛媛県は西条市にもあったのですが、
こちらは残念ながら取り壊されてしまったそうです。
なんとも残念な話です。
良いものを良いと認識し、大事に使い続ける習慣。
この基本感覚をいつまでも忘れてはならない。
正面からの眺めをもう少し引きで眺めると...
目の前の円型の芝生との対比がまた良い。
ただ、周囲を木々で囲まれているのがまた良い雰囲気を出しているのに、
大量の鳥の糞があるのがちょっと残念。
正面か眺めると半円状に見えますが、側面に回りこんでいくと...
あら不思議。凹状になってしまいました。
中央の凹部が雨樋になっているのが合理的。
さらに後ろ側に回りこんでいくと...
また半円状に戻ります。
これぞHPシェルの美しさ。
さらにこの建物を特徴付けているのが、イガグリみたいなギザギザの壁。
折板状の壁といえば、アントニン・レーモンドの建築を思い浮かべますが、
HPシェルの折板壁、というのはあまりないと思います。
階段の裏側もジグザグ。
時の流れにより、いい具合に風化したコンクリート壁。
カンティレバーが特徴的なエントランス。
中に入って、一階ロビー部分。
比較的こじんまり。
フロアマップ。
完全な正円ではなく、楕円状なんですね。
アリーナが外形とは違って方形となっているのが残念。
2階と3階のホワイエは吹き抜けとなっています。
アリーナ。
床面は外形とは違って方形ですが、天井は外形と同じシェル天井。
この体育館と同じように奇妙な形の体育館に丹下健三設計の香川県立体育館がありますが、
この体育館は香川県立体育館より一回り小さいです。
その香川県立体育館は1964年に建てられましたが、
残念ながら2014年に老朽化による耐震問題で閉館となってしまいました。
さらにこの体育館と同型の西条市体育館が愛媛県西条市に1961年に建てられましたが、
こちらは残念ながら2012年に解体されて現存していません。
市村記念体育館は今のところ存続問題は出てないみたいですが、
すでに築50年を越えており、油断はできません。
せっかくこれまで大切に使われてきたのだから、
これからも長く使い続けてもらうためにも、
建物はもちろん、周囲の環境の手入れもしっかりしてほしいなあ。
訪問日:2014年1月3日AM
【Information】オフィシャルサイト
アクセス:佐賀駅よりバスで7分