坂の上の雲ミュージアム。
安藤忠雄設計により2007年に開館。
「坂の上の雲」は司馬遼太郎の歴史小説。
1968年から1972年にかけて産経新聞夕刊紙に連載されました。
2009〜2011年にかけてNHKでドラマ化もされました。
三人の主人公秋山好古、真之兄弟と正岡子規の故郷、ということで、
本作の史料を展示するミュージアムが松山市のど真ん中、松山城の麓にあります。
愛媛に来て8年、ようやく来ることができました。
来媛直後から気にはなっていたのですが、なにぶん街なかにあって駐車場がなく、
田舎暮らしで公共交通機関がほとんど利用できない状況だったので、
なかなか訪れることができませんでした。
GWの中日、久しぶりに松山駅前の喜助の湯に入りに行くことにしました。
ここは4時間まで駐車場が無料になるので、その時間を利用して、
藤が見頃の庚申庵を見た後、市電で坂の上の雲ミュージアムへ行くことに。
外観は何度となく見ていたのですが、中に入ってはじめて、
あらためてこの空間の素晴らしさを実感しました。
小ぢんまりながら想像以上に素晴らしい空間でした。
待ちに待った夏休み。
まず最初に向かったのは神戸市内にある兵庫県立美術館。
大震災からの復興プロジェクトとして計画され、安藤忠雄氏の設計で2002年に開館。
海沿いに建つ美術館の周囲には市立のなぎさ公園が整備され、
ひとつの巨大なランドスケープを形成しています。
愛媛からは松山自動車道、徳島自動車道を経て淡路島を横断して本土に入り、
垂水インターチェンジで阪神高速3号神戸線に入り、摩耶インターまで。
高速降りて5分ほどで美術館に到着。
盆休みということで渋滞を心配してましたが、
阪神高速に入るまではほぼ渋滞なし。
阪神高速は断続的にノロノロ運転でしたが、想像してたよりは流れていてよかった。
それにしてもまあデカイ。
デカすぎて全体を把握するのが難しい。
真夏の昼間ということもあって周囲を一周する気にもなれず、
さらには一部工事をしている箇所もあって、なおさら全体像の把握を難しくしてました。
基本的には細長い長方形ブロックが3つ平行に並んだ構造で、
そんなに複雑な構造ではないはずなのに、いざその内部へ足を踏み入れると、
複雑に入り組んだ空間に戸惑いを感じてしまった。
まあ、面白いといえば面白く、安藤さんも意図的にそういう空間づくりをしたのかな、と。
建築に何が出来るのか、そもそも建築とは何なのかー私は建築の本質とは、人工と自然、個人と社会、現在と過去といった、人間社会にまつわる多様な事象のあいだの関係づくりと考えています。その意味で、人々共に木を植えて街に緑を取り戻す活動もまた、私にとっては建築です。既にある風景、社会制度の中に入り込んでいって、予定調和から外れた試みをしようとすれば、当然、摩擦や衝突が起こります。建築の原点たる住まいの問題、空間の光と影といった美学状の問題、あるいは都市空間、場所の風土の問題。つくる度にさまざまなテーマに直面し、それらに建築で応えるべく、悪戦苦闘してきました。その全てが挑戦でした。
半年ぶりの東京2日目。
朝一で六本木の国立新美術館へ。
建築家・安藤忠雄の半世紀に渡る建築活動を紹介する展覧会。
ギャラリー「間」、21_21、ANDO MUSEUMなど、
過去何度か安藤さんの展示は見に行ってますが、
これほど大規模なのははじめて。
270点もの資料や模型で89のプロジェクトを紹介する過去最大規模のもの。
この展示を見るだけでもよくまあ、これだけやってきたもんだと感服するのですが、
一方で安藤さんの「連戦連敗」という本では、
実現しなかったプロジェクトも山ほどあったというのだから、
展示ボリュームをはるかに超えるエネルギーを安藤さんは建築に注ぎ込んできた。
そう考えると、さらにその感服度合いが大きくなります。
それでも東京という日本でもっとも大きな街で、
日本で最も有名な建築家は自分の回顧展を自分の設計した美術館で開催できなかった。
そこに日本の建築界の窮屈さを垣間見たような気がします。
その意味においても、晩年に差し掛かって身体がボロボロになってなお、
夢を抱き続ける安藤さんの挑戦はまだまだ続くのでしょう。
「目標があるうちは青春だ」
自分もそういう人生をおくりたいと思う。
半年ぶりの東京。
今回も一泊二日の弾丸ツアー。
まずは竹橋の東京国立近代美術館で開催中の「日本の家」展へ。
地下鉄の地上出口を出ると外はあいにくの雨。
建築系の展示、ということで楽しみにしていたのですが...
草間彌生『ハーイ、コンニチワ!ヤヨイちゃん』『ハーイ、コンニチワ!ポチ』(2004)
広島県尾道市の千光寺公園の中にある尾道市立美術館へ行ってきました。
国内の現代アートコレクターを代表する高橋龍太郎氏、田口弘氏、桶田夫妻の
膨大なコレクションから第一線で活躍する現代アーティストの作品約40点を展示する
企画展が開催中でしたが、自分のもっぱらの関心は、
安藤忠雄設計によりリニューアルされた美術館そのものでした。
開館当初の美術館の様子を知らないので、新旧の変化を探ることはできないのですが、
古い伝統的な寺社建築の前に安藤さん独特のコンクリートボックスが配置されるという
割りと分かりやすい構造なので安藤さんの行った改修ポイントがそれなりに見えた気がします。
外見的には比較的新旧の建物の区別がはっきりしているのですが、
内部はシームレスにつながっており、単に古い建物の前に新しい建物を加えただけでなく、
一つの美術空間としてトータル的に見直されたことが分かります。
10年前に買った「CasaBRUTUS特別編集 安藤忠雄×旅 総集編」を久しぶりに読み返していると、
愛媛にも安藤建築が、それも安藤さんにはめずらしい木造建築がある、
ということに改めて気づきました。
買った当初は東京に住んでていて、
遠い愛媛にある建物のことにはあまり興味が向かなかったんでしょうね。
...というわけで西条市の光明寺に行ってきました。
開基は戦国時代の1520年頃、現在の住職は22代目。
2000年に安藤忠雄設計で全伽藍(本堂、客殿、礼拝堂、庫裡)を新築。
戦国時代開基の古刹を現代建築界の巨匠が大胆に刷新する。
長年積み重ねてきた伝統的な寺社建築の枠を打ち破る。
いろんな面で批判は決して少なくなかったことでしょう。
しかし考えてみれば、伝統的な寺社建築も最初は革新からはじまったはず。
革新なきところに前進はなく、廃れゆくのみ。
実際、過疎化が進む地方においては檀家が減り、
寺社を維持していくのが難しくなっていると聞きます。
三方を格子に囲まれた本堂の中は格段に明るい。
従来の薄暗い本堂からすれば違和感はあるものの、
木材という昔から馴染みのある素材に囲まれているせいか、心地よさを感じました。
この建物はお寺にとっても、コンクリート造を得意とする安藤さんにとっても、
革新的な挑戦だったのでしょうね。
淡路夢舞台へ行ってきました。
本福寺水御堂から車で10分。
淡路夢舞台は兵庫県の第三セクターである株式会社夢舞台が運営する複合文化リゾート施設です。
安藤忠雄氏の設計で1999年竣工。
安藤さんのコンクリート哲学がこれでもか、と言わんばかりに詰め込まれた空間ですね。
ホテル、国際会議場、植物園、レストラン、野外劇場などの各施設と、
それら施設間をつなぐ複数の庭園で構成されており、
さらに国営明石海峡公園が併設されており、
...まあバカでかいエリアです。
初めて訪れる身としては、方向感覚がつかめずまるで迷宮の中にいるような気になってしまいました。
まさにコンクリートジャングル。
淡路島の本福寺水御堂(ほんぷくじみずみどう)に行ってきました。
安藤忠雄設計により1991年竣工。
安藤さんお得意のコンクリートに包まれた空間は、
これまでの寺社建築の常識を覆すものでありながら、
古来からの寺社建築の伝統が築き上げてきた雰囲気を妨げない。
瀬戸内国際芸術祭2013。
初日の小豆島から高松を経由して、念願の直島へ。
なんといってもこの瀬戸芸の元祖。
メジャーになりすぎて今やアートのメッカになりつつあります。
外国人の観光客もこの島はひときわ多い。
しかし、かつて巨大企業に勤めていた身としては思うわけです。
規模が大きくなりすぎると、目が行き届かなくなり、見失ってしまうものも出てくる。
それを看過していると、いずれはとりかえしのつかない衰退に向かってしまう。
...というのは考えすぎだろうか。
ひと言でいえば、人多すぎ、待ち時間多すぎ。
都会で行列をなすのとなんら変りない。
平日でさえこうなのだから、休日はもっとひどい込みようだと思われます。
まあ、もうじき会期を終える時期だからこれが当然の状況なのかもしれないけど。
人が多く来ればそれだけ潤うのかもしれないけど、
それだけ地域は疲弊もしていくのではないでしょうか。
芸術は心に余裕をもって向き合うもの。
直島が芸術の聖地として長らえるには、混雑に対する何らかの対策が必要だと思う。
でなければ商業主義の波にのみこまれていずれは消えていってしまう気がしてなりません。
すばらしい場所だけに心配はつのります。
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安藤忠雄著書「連戦連敗」のレビュー記事へのコメントで、
けいあすぱぱさんから教えていただいた本。
茨木春日丘教会、通称「光の教会」。
今、最も訪れてみたい教会の一つ。
本書は光の教会の設計から施工、完成までの道のりを、
意匠設計者、構造設計者、施工業者、施主などあらゆる関係者の声を、
自身も建築構造設計の経験のある著者が客観的にとりまとめたもの。
第三者ゆえに冷静に、かつ客観的に関係者それぞれの声をまとめることができる。
そして、建築への造詣があるがゆえに客観的でありながら、現場に肉薄できる。
建築は建築家だけでできあがるのではない。
一つの建築の中で建築家の果たす役割なんて全体のほんの一部で、
そこには様々な人と仕事が入り交じっていることをこの本は教えてくれる。
建築とは極めて多面的で多様的な集合体なのだ。
建築家の仕事とは、
その多岐にわたるそれぞれの要素を一つの同じ方向に向けることではないだろうか。
だから良い建築家には人を惹きつける何かがある。
それぞれの個性を持った人々に同じものを感じさせる「イメージ」がある。
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自分が一番最初に知った建築家、それが安藤忠雄だった。
名前が同じ「忠雄」ということで勝手に親近感を感じたりしてた。
...でも、どこかで彼の建築を敬遠していたような気がする。
この本も早くから知っていたけど今の今まで読まずにきた。
メジャーなものへの敬遠。
それはただの天邪鬼なのかもしれない。
一方でメジャーなものは分かりやすい反面、賛否両論が多すぎて、
その真価を見極めるのが難しい、という警戒心もあるかもしれない。
でも、やはり敬遠していては永遠に真価を知ることもない。
...というわけでようやく読みました。
2年生いっぱいはPDコース。
しかし心はすでに建築モード。
隣でやってるSCコースの授業が気になるところ。
テーマはどうやら「教会」らしい。
...面白そうなテーマじゃないですか。
...ってなわけで「僕の好きな教会」シリーズPart2。
年末年始にかけて「美の巨人」でフランスの礼拝堂が特集されてました。
レオナール・フジタ(藤田嗣治)の礼拝堂、マティスのロザリオ教会、
そしてコルビジェのロンシャンの礼拝堂。
教会が好きだ。
とくに熱心なキリスト教信者ではないけれど。
キリスト教に限らず、
日本の神社や仏閣、中国やインドの仏教寺院、イスラムのモスクなど、
宗教建築はいずれも美しい。
どうして宗教建築はかくも美しいのだろうか。
それは人々の「信じる心」を具現化したものだからだろうか。
...信じる心は美しく、疑う心は醜い。
乃木坂のTOTOのギャラリー「間」と北参道のGA Galleryと
2つの建築系ギャラリーをはしごしてきました。
まずはギャラリー『間』。
こちらは安藤忠雄の展示。
ここは無料でしかも基本的に会場内の撮影OK、なので
デジタル一眼をもって喜び勇んで出かけていったのですが...
...この展示に限って撮影はNG。
がーん。
まあそれでも展示は面白かった。
あまりにもメジャーになりすぎて、
逆に氏の建築哲学が分かりにくくなっていた気がするのですが、
この展示で少し理解することができた気がします。
6月に東京メトロ副都心線の池袋−渋谷間が開通し、全線開通となりました。
あまり利用することのない路線ですが、
一つ便利になったのが、建築系の展示をよくやっているGAギャラリーに
渋谷から行きやすくなりました。
(GAギャラリーの最寄り駅は北参道)
副都心線の渋谷駅を安藤さんが手がけたということで、見に行ってきました。
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大学の研究室で借りたDVD。
日本を代表する14人の現代建築家を外国人が取材してまとめたDVD。
よって日本人の建築家を扱っていながら基本解説は英語です。
といっても解説よりは建築家自身の声がメインとなっており、
磯崎新氏と坂茂氏以外は日本語で話してるのでそれほど海外色は感じません。
自分はデザインを学ぶにあたり、
できるだけ自分から遠いものを参照するようにしています。
たとえば同級生の作品については、流す程度であまり気に留めないようにしています。
それはレベル云々の問題ではなく、自分に近いものばかり見ていると、
同じような色に染まってしまい、オリジナリティが出せなくなる気がするから。
そのような理由からデザインよりはアートの展示を、
日本よりは海外のものを参考するようにしています。
...とはいってもあくまでも傾向的なものであって、絶対的なものではない。
たまには自分に近いものを参考するのも悪くない。
Amazonのパッケージ写真と実際のパッケージが若干異なるのが気になったのですが、
何パターンかあるんですかね...
[CasaBRUTUS特別編集 安藤忠雄×旅 総集編]
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Amazonのギフト券が手に入ったので久々にほしかった本を二冊購入。
「CasaBRUTUS特別編集 安藤忠雄×旅 総集編」と「GA JAPAN」No.85。
どちらも雑誌なんですけどね。
自分はデザインの分野の中でも建築に興味がある、ということが
最近分かってきて、過去にこんな建築家がいた、とかいうことは
勉強してきてなんとなく分かってきたけれど、
どの建築家がどんな特性を持っているのか。
その辺は今もってまだよく分かっていません。
安藤忠雄さんは今、日本で一番有名な建築家じゃないでしょうか。
たまたま名前が自分と同じ「忠雄」ということもあって、
名前だけはデザインに興味を持つ前から知っていました。
でもはたしてどんな建築をするのか、その辺はよく分かってませんでした。
昨年、直島の地中美術館の存在を知り、
そして今年アブダビの海洋博物館の存在を知って、
あらためて「この人すげーなー」と思ったのでした。
[アブダビ海洋博物館:安藤忠雄設計]
中東なんてかつて一度も行ったことないけど。
21_21 DESIGN SIGHTでの安藤忠雄展で海洋博物館の模型をみて、
一躍行きたくなりました。
といっても完成するのは2018年と、かなり先ですけどね。
[追記]
2019年現在、残念ながら計画は実現されていないようです。
延期されたとも、中止されたとも聞きますが、はっきりした情報が得られず不明。
メキシコに似たようなコンセプトの建物が建ったらしいですが...
21_21 DESIGN SIGHTオープニングイベント、
「安藤忠雄 2006年の現場 悪戦苦闘」に行ってきました。
21_21 DESIGN SIGHTは衣服デザイナー三宅一生の
「日本の最新デザインを紹介する場所」という概念の元、
それに賛同した佐藤卓、深澤直人らが共に三人のディレクターとして、
デザインジャーナリストの川上典李子がアソシエイトディレクターとして
運営されています。
過去を展示する「ミュージアム」ではなく、今を展示する「サイト」。
なかなか面白いコンセプトだとは思うのだけど。
21_21 DESIGN SIGHT内は展覧会場はおろか、建物内は一切撮影禁止。
ちょっとこれはイタダケナイ。
海外の美術館は(...といってもニューヨークしか知らないですが^^;)
だいたい館内はおろか作品も撮影OK、スケッチもOKとオープン。
オープンソース。
これからの時代はそういうスタンスでなければ進化のスピードに
ついていけないと思うんだけどな。
あれもだめ、これもだめ、じゃいかんですよ。
...とぶつくさ思いながら入場。
チケット。
ここでも学生料金適用で800円。
3月末に東京ミッドタウンがオープンして、
デザインサイト、21_21もオープンしましたね。
サイトといってもWebサイトじゃありません、安藤忠雄氏設計の立派なArchitectureです。
その21_21最初のイベントとして、21_21の設計者、安藤忠雄氏の
「安藤忠雄 2006年の現場 悪戦苦闘」が開催されてます。
会期:2007年3月30日(金)~4月18日(水)会期中無休
時間:11:00~21:00(入場は20:30まで)
入場料:一般1,000円、大学生800円、中高生500円、小学生以下無料
(僕の中では)日本で最も著名な建築家さんですが、
まだその展示、展覧会などは行ったことなかったので
デザインサイトの見学がてらに行ってこよう。
4/7以降学生証が手に入れば学生料金で行ける...はず。