松山出身の俳人といえば、幕末から明治に生きた正岡子規が有名ですが、
その前に江戸時代に活躍した俳人として栗田樗堂がいます。
酒蔵の三男として生まれ、17歳のときに同業の栗田家の養子に入り、その蔵を継ぐ。
養父及び妻が俳人であったことから自然と俳諧に慣れ親しむ。
松山藩の大年寄になるなど精力的に活躍していたが、五十を超える頃、
浮世を捨てて俳諧に専念するために草庵・庚申庵を建てました。
樗堂はここでの隠遁生活を望むも、その有能さゆえか周囲はそれを許さず、
庚申案での生活はわずかな期間だったと言います。
その後、樗堂は俗世から逃れるために御手洗島(現在の広島県・大崎下島)に移住し、
そこで66年の生涯を終えます。
俳人としての腕前は相当なものだったようで、
当時発行された俳人番付で、あの小林一茶が末席だったのに対し、
樗堂はかなりの上位に列せられていました。
実際、一茶はかなり樗堂をリスペクトしていたようで、二度ほど樗堂の元を訪れています。
とくに誹諧に興味があったわけではなく、
テレビでふじまつりの様子を見て、行きたくなりました。
少々満開の時期を過ぎていましたが、なかなか見事な藤棚でした。
月光を浴びて 藤棚に 幾千の花房けぶる 冷えびえとして みよ
松山駅から喜助の湯の裏手に出て、いよてつ線路沿いに歩くこと10分で到着。
ビル群の一角にひっそりと佇む。
一番の見所はやはり藤棚。
この草庵からの眺めがまた格別。
素朴な草庵もなかなか良い雰囲気。
四角の蹲。
江戸時代の俳人番付。
樗堂が前頭だったのに対し、一茶は...
当時樗堂がいかに全国に名を馳せていたかが伺えます。
GW十連休の真ん中でそれなりに人は多かったですが、行列ができるほどでもなく、
じっくり空間を堪能することができました。
【Information】オフィシャルサイト
アクセス: JR松山駅より徒歩10分
開園時間: 10:00〜18:00
休園日: 水曜日
入園料: 無料