「村野藤吾」と一致するもの

Best Shot 2009【建築編】

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佐川美術館


やっぱりやります、「今年のBest Shot 【建築編】」。

建築のベストショットを撮るのは風景以上に難しい。

外観は地理や地形の制約を受けるし、
内観はさらに撮影禁止の制約によりさらに条件は厳しくなる。


もちろん空間そのものを肌で体感することが第一目的ではあるけれど、
空間の良さをグラフィック上から引き出すこともこれまた大事。

というわけで今年1年で訪れ、撮影した中から
自分的に良い、と思うものをピックアップ。


デザインの領域【川添登】

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現代デザイン講座シリーズ第4巻。
1969年出版の年代物。

表題の「デザインの領域」ほか6編収録。

じつは「生活環境デザイン」の授業で紹介された、
鶴見俊輔氏の「限界芸術論」を探してて見つけました。

ただ本書に収められている限界芸術論は、
「限界芸術論再説」で、正確には別物。


新しさにこそ、価値がある。新しさこそ全てだ。
...昔はそう思っていた。

新しさには価値がある。しかしそれが価値あるものの全てではない。
...今はそう思う。


本質的なものは変わらない。
だから時を経てもその価値は失われない。

この本はそのことを教えてくれる。
デザインの本質は僕の生まれる前からすでに明快な定義がされていた。
そしてその本質は今も変わらないと思う。

負ける建築【隈研吾】

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隈研吾氏の「負ける建築」を"やっと"読んだ。


まだ建築に興味を持つ前の頃から、
安藤忠雄と隈研吾の名前は知っていた。
それほどこの二人の建築家の名前は社会の中でブランド化していた。

しかし今の自分は「ブランド」に対しては懐疑的。
この本の存在はけっこう前から知ってたけれど、なかなか手を出さずにいた。
「負ける建築」というネガティブなタイトルも好きになれなかった。


前回の個人美術館の課題で等々力の村井正誠紀念美術館を見学して、
隈氏の建築に触れる機会を得た。
そしてその空間の素晴らしさに魅了された。

そして現在乃木坂のギャラリー「間」で開催されている隈氏の個展
「有機的」を意識した氏の建築にさらに惹かれていった。
氏の建築思想をもっと知りたいと思った。


タイトルからエゴ丸出しの主観的な本かな、と思ったら、
全くの逆で、主観を殺し、あくまで客観的な語り口調。
自分の建築作品についてはほとんど語られていない。
その客観性が逆に自分の言説が絶対正義だという傲慢に写らなくもない。

そして建築家特有の文章の難解さ。
東大院卒のインテリだけに知性溢れる文章なんだけど、
決して読者には優しくない。
そしてこの本はすべての建築を志す者に夢を与える本ではない。
建築の現実の厳しさを説き、それでも君は建築を志すか?と読者に問う。
まさに子供を谷底に蹴落とす獅子のようなスタンス。


この本には賛同できる点が多い反面、疑問に思う点も多々。

いずれにせよ、この本は多くのことを考えさせられる。
その意味においてこの本は間違いなく良書といえる。

建築を志す人にぜひとも読んでもらいたい。
そして読んでどう思うか。
その声を聞いてみたい。


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羽田空港散策からの帰り、久々に品川に立ち寄りました。

村野藤吾設計の新高輪プリンスホテル(現・グランドプリンスホテル新高輪)。

そこは予想以上の濃い空気漂う空間だった。

プリンスホテル高輪エリアは正確には、

  「グランドプリンスホテル高輪」
  「グランドプリンスホテル新高輪」
  「ザ・プリンス さくらタワー東京」

の3つのホテルが1つのエリアに集まる巨大な複合体。
この3つのホテルに加えて「国際間パミール」と呼ばれるコンベンションセンターや、
「飛天」と呼ばれる大宴会場などの施設が付随しており、
ただのホテルというスケールには収まりきらない規模を誇る。
ただの「プリンスホテル」ではなく、
「グランドプリンス」というだけのことはあるってことか。

このうち、「グランドプリンスホテル新高輪」が村野藤吾が設計したものですが、
ここは一際スケール感の大きさを感じさせる空間となっています。
ホテルという場所柄、全敷地のほんの一部しか散策できないわけだけど、
それでもそのスケールのでかさを感じさせる。

ここまで大きいと半公共スペースの性格も帯びてきて、
「通り抜けはご遠慮願います」とありながらも、
第三者の入場を厳しくチェックすることもない。
おかげでそれなりに歩きまわることができました。

等々力の森自然美術館【最終プレゼン】

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課題の最終プレゼンが無事終わりました。

2年生の見学、授業風景の取材、といつになく見学者が多い、ということもあって
いつもは遅刻してくる学生が多いのに、今回はほぼ定刻に8割方そろう。


正直この歳になってもプレゼンは苦手。
高専にいた頃はほとんどプレゼンなんてしたことなかった。
社会に出て、それなりにプレゼンをする機会はあったけど、
課題の最後に毎回プレゼンをする、という美大のスタイルに触れることで、
ようやくプレゼンの本質が見えてきたような気がする。


短い時間の中で自分の伝えたいことを的確に伝える。
手が技術に追いつかず、想いが言葉に追いつかない。
毎回それを痛感します。


スピーディーにプレゼンして、スピーディーに相手に想いを届かせる。
それが効率化社会における現代のプレゼンの本質なのだと思います。

しかし。
どんなに文明が進めど、本質そのものはゆっくり浸透する。

それを信じて自分の想いをじっくり整理する。
それがこのブログなのです。


村野藤吾と丹下健三

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murano1.jpgmurano2.jpgmurano3.jpg [村野藤吾作品集]


個人美術館の課題で前人の偉大な建築群をリサーチしているわけですが。

あらためて村野藤吾氏と丹下健三氏の建築美を再認識。

両氏とも新建築社から分厚い作品集が出ています。
とてもイイです。
手元にそろえたい一冊ですが、値段がね...

...いつか必ず。


まず村野藤吾。
年代別に1928-1963、1964-1974、1975-1988の三巻構成。
上野毛の図書館には晩年の1975-1988しか置いてなく。
八王子には全巻あるみたいなので今度取り寄せよう。

ネットで検索したところ、装丁が縦縞と横縞の二種類あるんだけど何が違うんだろ?

murano1y.jpgmurano2y.jpgmurano3y.jpg [横縞バージョン]


新しいものは新しいものから生まれるのではなく、
故きを温めて新しきを知る。
建築の正しい評価は時間をかけて行われる。

だから僕はまずはクラシックを学ぶ。


等々力の森自然美術館【中間プレゼン】

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第3セッションも中盤越え。
中間プレゼンが終わりました。

大どんでん返しがあったけど、もう時間がない。

各自のアイデアによってはこのセッションはリサーチのみでよい、
みたいな雰囲気もあるけれど、僕はやはり形に残すことにこだわりたい。
今後はこれまでのリサーチを元に最終プレゼンに向けて
形にしていくことに注力していきたいと思います。


けっこう自由度の高い課題なので、各人さまざまな提案があるのですが、
大きく分けて堅実な「現実型」と、突飛な「未来型」に分かれるようです。

年齢に反して僕はどうやら突飛な「未来型」らしい。


現実型は提案が実感できるので、受け入れやすい。
それに対して未来型は現実を離脱するために反発を受けやすい。
しかし建築は時間をかけてゆっくりと評価されるものと僕は信じる。

自分の感性を信じて突き進もう。


汐留エリア2【東京都港区】

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[汐留シティセンター]


坂倉準三展を見に久々に汐留エリアへ。

以前村野藤吾展を見に行ったときはあいにくの曇天模様でした。

今回は晴天だったので、あらためて汐留のビル群を撮りなおしてみました。


やっぱり晴れているとガラス窓への光の反射がキレイです。


僕が建てたい10の建物

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東京国際フォーラム


石材を、木材を、セメントを工事にうつし家屋や宮殿をつくる。これは建設である。知性の働きだ。しかし突然、私の心をとらえ、私によいことをしてくれ、私は幸福となり、これは美しいといったとしたら、これは建築である。芸術はここにある。(ル・コルビジェ『建築をめざして』)


自分が究極だと信じる建築を最低1つは創る。
これが僕の人生の目標である。

生きているうちに心から建てたい、と思う建築が1つでも建てられればいいのだけど、
仮に自由にいくつでも建てられるとしたら...という妄想は常にしている。

これは決して無駄な行為ではなく、
究極の建築を1つでも実現させるためにはとても重要なことだと思っている。

まずはイメージだ。
それを少しずつ段階を踏んで形にしていく。


...というわけで僕がつくりたいと思っている10ジャンルをピックアップしてみる。


汐留エリア1【東京都港区】

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[松下電工ビル]


村野藤吾展へ見に汐留に行ってきました。

汐留の見所はなんといっても海外有名建築家が設計した3つのビル。

ジャン・ヌーヴェルによる電通ビル。

ケヴィン・ローチによる汐留シティセンター。

そしてリチャード・ロジャースによる日本テレビタワー。


いやー、有名どころが3人もそろうと圧巻ですね。

日曜日だから混むかなあと思ったけど、
オフィス街だから逆に空いていて写真も撮りやすかったです。

ただ、この日はあいにくの曇天だったので、
外観はまた別の日に撮影することとして、今回は内部の様子を中心にお届けします。