【訪問日:2017年3月30日(木)】
茨城県近代美術館で開催中の東山魁夷展に行ってきました。
唐招提寺御影堂が平成の大修理で2015年から調査に入っていますが、
修理計画の見通しが立ち、いよいよ工事に着工します。
それに伴う氏の畢生の大作である御影堂障壁画が、
茨城県近代美術館と豊田市美術館で公開されます。
(茨城県近代美術館は4/2をもって会期終了、豊田市美術館は4/22〜6/11で公開予定)
ミュシャのスラブ叙事詩がどうしても見たくて上京したのですが、
当初は5月のGW明けに行く予定でした。
それが仕事の都合で3月末に行くことになって、この一連の障壁画を見ることができた。
これも一つの縁なのでしょう。
水戸芸術館で開催中の藤森照信展に行ってきました。
2008年の松井龍哉展以来、じつに9年ぶりの水戸芸術館。
磯崎新が手がけたその空間は、相変わらずの存在感でした。
そして本展もそんな存在感溢れる空間に見合う、濃い建築の展示でした。
藤森さんの展示ですが2007年のオペラシティアートギャラリーでの展示以来、
10年ぶり二度目の鑑賞となります。
実際の建築も、ワイルドなその風貌はスマートな都会の街並みに合わないせいか、
地方に多いため、なかなか訪れることが叶わず。
昨年、ようやく神勝寺の中の「松堂」に訪れることができたくらい。
藤森さんの建築は、現在主流になっているモダニズムの延長にあるスマートな弥生式の建築とは
対極にある縄文式建築です。
できるだけ直線から離れ、幾何学から離れ、無機質から離れるオーガニックなものです。
ただ、それはモダニズムを知らないとか、嫌いだとか、批判するといったヘイト要素から
出発するものではなく、元は建築史家という立ち位置から過去の様式を研究し尽くした上で、
現在の延長線上の未来の建築がより良い姿であるように模索したものだと思うのです。
2016年最後の遠出。
今回は「お寺とミュージアム」をテーマに広島県のお寺二箇所を周りました。
一つは今回紹介する福山市の神勝禅寺、もう一つが生口島の耕三寺です。
共に開基が元々は実業家という異色のお寺であり、
いわゆる一般的な寺社とは一風変わった雰囲気が楽しめる場所ではないでしょうか。
神勝寺は正確には「臨済宗建仁寺派天心山 神勝禪寺」といい、
福山市は海際の閑静な山の中にあります。
本寺は当時常石造船の社長であった神原秀夫氏が益州宗進禅師を勧請開山として、
1965年に建立(宗教法人認可)された、臨済宗建仁寺派の特例地寺院です。
元々あった白隠禅師の禅画・墨跡のコレクションおよそ200点に加え、
2016年9月に名和晃平|SANDWICH設計によるアートパビリオン《洸庭》が新たに作られ、
お寺全体をミュージアムに見立てた「禅と庭のミュージマム」がオープンしました。
もちろん、この《洸庭》が一番の見所ではありますが、
それ以外にも藤原照信設計の寺務所「松堂」など、見どころ満載な空間です。
会場は《洸庭》のある賞心庭エリアと白隠コレクションのある無明院エリアの
大きく二つに分けられますが、本記事ではまず賞心庭エリアを紹介していきます。
渋谷の松濤美術館へ行ってきました。
群馬県美での白井晟一展以来、すっかりファンになってしまった。
Bunkamuraを通り過ぎて、しばらく進んだ住宅地の中に
こぢんまりと紛れ込むように建っている。
東京タワーそばのNOAビルと同じように石壁が独特の雰囲気を醸し出している。
人を寄せ付けない荘厳さと同時に、人を惹きつける美しさがある。
そして凄まじい建築のエネルギーを感じる。
ちょっと残念なのはそのスケールと立地。
規模としては桜新町の長谷川町子美術館と同じくらいの小規模で、
周囲を住宅や電線で囲まれてしまっているのが非常に惜しい。
この建物はもう10倍くらいのスケールで荒野にぽつんと建っていてほしい。
どんなに良い建築でも、環境が不十分だとその価値も半減してしまう。
環境ってやっぱり大事だよね。
TOKYO ART BEATで知って、見に行ってきました。
リサーチより手を動かしてモノを作れ、という段階なのですが、
ちょうど卒業制作で自分が創りたい、と思うものに近いイメージだったので、
どうしても見に行きたかったので。
場所は表参道の「Gallery 5610」。
spiralの真裏にこんな素敵なギャラリーがあったんですね。
spiralの正面側は良く通るのだけど、裏側は今回はじめて訪れました。
東大大学院農学生命科学研究科というなにやら小難しそうな研究所の
社会人向け木造建築コースの学生さんたちの作品展示らしい。
ギャラリーの内部に模型展示がしてあって、
外の中庭に実寸モデルの作品が3つほど展示してありました。
これこれ。
こういうことをやりたかったんだよ。
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[村野藤吾作品集]
個人美術館の課題で前人の偉大な建築群をリサーチしているわけですが。
あらためて村野藤吾氏と丹下健三氏の建築美を再認識。
両氏とも新建築社から分厚い作品集が出ています。
とてもイイです。
手元にそろえたい一冊ですが、値段がね...
...いつか必ず。
まず村野藤吾。
年代別に1928-1963、1964-1974、1975-1988の三巻構成。
上野毛の図書館には晩年の1975-1988しか置いてなく。
八王子には全巻あるみたいなので今度取り寄せよう。
ネットで検索したところ、装丁が縦縞と横縞の二種類あるんだけど何が違うんだろ?
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[横縞バージョン]
新しいものは新しいものから生まれるのではなく、
故きを温めて新しきを知る。
建築の正しい評価は時間をかけて行われる。
だから僕はまずはクラシックを学ぶ。
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自由が丘のブックオフで見つけました。
元々海外向けとして出版されたものを日本語版に再出版したもののようです。
日本の著名な建築家による住宅のインテリアデザインが紹介されています。
僕が知っているところでは、
藤森照信、隈研吾、坂茂、山本理顕、鈴木了二氏あたり。
人体と同じく、建築の心臓もその内部にある。
インテリアデザインはその心臓を設計すること。
つまりは建築の核となる部分を考えることではないでしょうか。
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大学の助手さんの薦めで読みました。
タイトルのごとく現代建築に関する16のキーワードについて語るもの。
著者は東大・東大大学院卒の工学博士というエリート建築批評家。
別にエリートとか批評家というものを毛嫌いするわけではないのですが、
自分的にはあまり好きになれる内容ではなかったかな。
とは言っても建築家自身の言葉ばかりじゃ主観的な意見しか出てこない。
たまにはこういう建築家の周囲の声を客観的に聞くことも重要なのかもね。
キーワードごとに建築を語ることで、
自分の建築に対する考えを整理することもできるし。
建築とは多要素の集合体だ。
好きな側面もあれば嫌いな側面もある。
[船、山にのぼるパンフレット(700円)]
4月5日初日にアートドキュメンタリー映画「船、山にのぼる」を観てきました。
初日に映画を観に行ったのははじめてです。
別にPHスタジオや本田監督の大ファンというわけではありません。
関係者でもありません。
お目当ては初日先着30名にプレゼントされる、というPHスタジオの作品集。
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PHスタジオの人気度がいまいち分からないので
21時上映開始に対し、18時20分ごろ劇場のユーロスペースへ向かう。
ユーロスペースは入場時に整理券を発行するシステム。
整理券の番号は18番。
無事作品集もゲット。
上映開始まで時間があるので近くのマックで読書。
もらった作品集をパラパラめくったあと、
なかなか読み進まないフランク・ロイド・ライトの本を読む。
15分前に再び劇場に向かうとすごい人ごみ。
初日ってやっぱこんなものなんだ...と思いながら入場を待つ。
定刻から5分遅れで入場していよいよ上映開始...
...の前に初日ということで関係者による舞台挨拶。
ナレーションを担当した川野誠一さん、
PHスタジオの池田修さんと細淵太麻紀さん、
そして監督の本田孝義さん。
ダムを造るということはどういうことか。
全ての生き物は自然に隷属して生きている。
それが自然界に生きる生きものたちの「自然」な姿だと思う。
でも。
人間だけが自然を隷属させようとしている。
そしてその行為が地球規模で無視できないところまできている。
水戸芸術館の中庭には、ひときわ目立つ塔が立っています。
ここをはじめて訪れたのは、2006年、佐藤卓展を鑑賞するためだったのですが、
そのときは風が強くてこの塔に登ることができませんでした。
2年後の2008年、
松井龍哉フラワー・ロボティクス展に行ったときに念願かなってタワーに登ることができました。
さらに9年後の2017年、
藤森照信展を観に来たときに、夜のライトアップを拝むことができました。
というわけで、本記事では、水戸芸術館のタワーをメインに紹介します~