2016年最後の遠出。
今回は「お寺とミュージアム」をテーマに広島県のお寺二箇所を周りました。
一つは今回紹介する福山市の神勝禅寺、もう一つが生口島の耕三寺です。
共に開基が元々は実業家という異色のお寺であり、
いわゆる一般的な寺社とは一風変わった雰囲気が楽しめる場所ではないでしょうか。
神勝寺は正確には「臨済宗建仁寺派天心山 神勝禪寺」といい、
福山市は海際の閑静な山の中にあります。
本寺は当時常石造船の社長であった神原秀夫氏が益州宗進禅師を勧請開山として、
1965年に建立(宗教法人認可)された、臨済宗建仁寺派の特例地寺院です。
元々あった白隠禅師の禅画・墨跡のコレクションおよそ200点に加え、
2016年9月に名和晃平|SANDWICH設計によるアートパビリオン《洸庭》が新たに作られ、
お寺全体をミュージアムに見立てた「禅と庭のミュージマム」がオープンしました。
もちろん、この《洸庭》が一番の見所ではありますが、
それ以外にも藤原照信設計の寺務所「松堂」など、見どころ満載な空間です。
会場は《洸庭》のある賞心庭エリアと白隠コレクションのある無明院エリアの
大きく二つに分けられますが、本記事ではまず賞心庭エリアを紹介していきます。
総門。
まずはここから中に入ってゆきます。
境内マップ。
賞心庭エリアの模型。
洸庭から眺めた総門部分。
総門を入ってすぐに眼前に広がる賞心庭。
前半はこの賞心庭を中心に回遊する池泉回遊式庭園。
受付&ミュージアムショップ「松堂」。
藤森照信設計。
特徴的な屋根。
ここで入場チケットを購入。
柱も独特。
片屋根の通路。
屋根のてっぺんにちょこんと生えてる木がカワイイ。
ミュージアムショップ。
含空院(お食事処)
滋賀県の臨済宗永源寺派大本山永源寺より移築、再建したもの。
甘味処、湯豆腐などがいただけます。
入口の衝立。
なんて読むんだろ。
「森」?
浴室
別料金800円にて入ることができます。
入りたかったんだけど、生憎の天気で男風呂は屋根なし露天、ということでやむなく断念。
非佛堂(写経道場)
写経をする場所らしい。
国際禅道場
臨済禅の修行道場。
一般には非公開。
慈正庵
滋賀県 臨済宗永源寺派蔵六庵の旧本堂を移築再建したもの。
多宝塔
滋賀県大津市石山寺の国宝 多宝塔を模して建立されたもの。
そして一番のお目当て、《洸庭》。
総門前からの眺め。
細い柱で持ち上げられた巨大な方舟。
ピロティ。
薄い木片を少しずつずらしながら積層して曲面を実現。
気が遠くなりそうな作業だったんだろうなあ...
ピロティからの見事な借景。
手前の地面からにょきにょき黒いものが...
巨大なワラビのような...
雨粒が落ちる池の風情もまた良し。
見事な庭。
微妙に湾曲する庇。
内部への入口。
さて内部ですが、自由に出入りできるわけではなくて、
1回30分毎の入れ替え制になっています。
外部からの干渉を一切シャットアウトして、
おおよそ30分のインスタレーション作品を鑑賞するわけです。
これだけ巨大な箱でありながら、内部の人が入れるスペースは全体の1/4〜1/5程度しかなく、
残りは床面に水が張ってあり、入口と反対側の端部にスリットを仕込み、
そこから差し込んでくる光を調整することで光のインスタレーションを実現しているようです。
中は基本真っ暗で、中の様子を窺い知ることは最初はまったくできません。
これが時間が経過していくごとに光量が増え、また目が慣れてくることで、
空間の様子が分かって来るようになります。
直島のジェームズ・タレル/安藤忠雄による南寺のインスタレーションに似てる気がしました。
最初に「何があるか分からない」という未知に対する不安が最初にあることが大切で、
未知のものがだんだん明らかになってくる喜び、というのがこの作品の魅力なのかな。
そういう意味ではこの作品は面白いからといって連続して何度も鑑賞するものではないのかもしれない。
実際、自分は2回鑑賞したのですが、2回目は1回目に比べるとやはり感動は薄まってしまった。
このインスタレーションの印象を自分なりに表現してみました。
(鉛筆でスケッチしたものをフォトショで加工)
あくまで自分の心象を表現するもので実際の内部の様子を再現するものではありません。
中がどうなっているかはぜひ、実際に訪れて体験してください。
【Information】オフィシャルサイト
アクセス:JR福山駅から鞆鉄バスで30分、 福山駅から車で25分
拝観時間:9:00〜17:00(最終入場は16:30まで)
拝観料:大人1200円、学生(高校生以上)900円、中学生500円、小学生以下無料
※注意!:本来は仏に祈りを捧げる神聖な場所です。
宗教に対する真摯な気持ちを持ち、節度ある行動を心がけましょう。