兵庫県立美術館で開催中のプラド美術館展に行ってきました。
一番の目的は安藤忠雄設計の美術館そのものだったのですが、
スペイン・バロックの代表画家ベラスケスの作品が一度に7点も来日することは
そうそうない、ということと世界最大級の美術館のひとつであるプラド美術館の
コレクションは一度は見ておきたい、ということで見ることにしたのですが...
観覧料が高い!
当日券1600円という価格はまあなくはないものですが、
普通企画展のチケットを買えば常設展も併せて見ることができるものなのですが、
今回は常設展も特別展並みに豪華なためか、別料金になっており、
本展+常設展で1900円!
駐車場+図録代でトータル5千円もの出費となってしまいました;;
[ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ『マグダラのマリアの改悛』(1590年代半ば)]
(出典:Wikipedia)
秩序の支配を受けることとなったルネサンスへの反動から、
マニエリスムを経て時代はバロックへ。
不安定なときは安定を求めて人は動くが、
一度安定してしまうと、今度は退屈という感情が襲ってきて、
今の安定を捨て、新たな別の安定に向けてあえて不安定を選択する。
歴史はその繰り返しだ。
本記事は社会人学生時代の自分の西洋美術史のテスト答案を元に再構成したものです。
テストは授業内容(ルネサンス以降の美術史)の中から2つ、
自分にとって「最も大きな発見」をピックアップして自分の意見も含めて説明しろ、というもの。
自分は「バロック様式」と「ロマン主義」をピックアップ。
特にバロック様式は西洋美術史の中でも一番好きなジャンルでもある。
採点は見事100点をいただきましたが、
だからといって本記事が客観的に絶対正しい、ということを保証するものではありません。
あくまで一学生の主観に基づくレポートであることをご理解ください。
[モナ・リザ(レオナルド・ダ・ヴィンチ、1503年−1505年/1507年)]
大塚国際美術館での展示作品。
会場内は撮影可能ということで、気の向くままにお気に入りの作品を撮影しました。
本記事ではルネサンスからバロックまでをピックアップ。
近世の幕開けとなったルネサンス期は、もともと古代への復帰・再生を目指す運動であったが、
結果としてその後の近世期の芸術を大きく転換、発展させていくものとなった。
それゆえルネサンスの時代区分を近世に組み込んだのでしょうか。
古代における秩序や安定を規範としたルネサンスはやがてその反動として、
ねじれや不安定、ダイナミズムを求めるマニエリスムやバロックへと展開してゆく。
...あくまで素人の自分なりの独自の解釈です。
知識不足、勘違い、根拠に欠ける部分も多々あることをご了承ください。
照明がやや暗めで暖色系のため、作品画像はピンぼけ気味でやや赤っぽくなっています。
また、陶板特有の光沢もあります。
さらに傾き補正やレンズ補正をかけているため、
必ずしも本物作品の内容や構成を忠実・正確に表すものではないことをあらかじめご了承ください。
「だいたいこんな感じのもの」という感じで見ていただけたらと思います。
日曜美術館でバロック芸術特集をしてました。
「歪んだ真珠」を意味する近世の文化様式。
ルネサンスの完全なる調和に退屈した人々は円の中でうごめき、やがて拡散していく。
そして...真珠は歪んだ。
バロックを知るにはその前のルネサンスと比較すると分かりやすい。
...ということでラファエロとカラバッジョ、ミケランジェロとベルニーニを比較。
秩序と渾沌。
静と動。
シンプルさと複雑さ。
質素と豪奢。
生とは波動だ。
だから時代はいつだって繰り返す。
文化はいつだって繰り返す。
[真珠の耳飾りの少女](出典:Wikipedia)
好きな絵画シリーズ。
『美の巨人』ですっかりおなじみ。
青のターバンと赤い口紅のコントラストがイイ。
ここでもフェルメール・ブルーが効果的に使われてるようで。
フェルメールは色彩の美しさが魅力。
とくにブルー。
ラピスラズリを使ったフェルメール・ブルーは
ブルーの中で砂金がきらめくがごとく。
魁夷の東山ブルーとはまたひと味違った魅力です。
(出典:Wikipedia)
好きな彫刻シリーズ第四弾。
ベルニーニの「アポロンとダフネ」。
これも大学の授業で知りました。
恋する金の矢を射られたアポロンと、逆に相手を疎む鉛の矢を射られたダフネ。
追うアポロンと逃げるダフネ。
捕まりそうになったダフネは自らの身を変えることを望む...
...というギリシャ神話を表現したものですが、
自分が惹かれたのはその物語の内容ではない。
この彫刻のバランスがもたらす「調和」。
静止している像でありながら動きを感じさせる。
月桂樹になりかけているダフネをアポロンより上方へ置き、
アポロンの右手からダフネの両手へと流れる導線が
作品全体における対角線となっており、作品のバランスを保っている。
同時にこの導線が作品に動きを与える曲線になっている。
導線が作品全体に調和を与え、美しさを与えている。
いやはや素晴らしい。
(出典:Wikipedia)
好きな彫刻シリーズ第三弾。
ジャン・ロレンツォ・ベルニーニの「聖テレジアの法悦」。
(ローマ、サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会堂コルナロ礼拝堂)
バロック彫刻の最高傑作。
神に魅入られた聖女が浮かべる恍惚の表情。
絵画でも十分美しい光景なんだろうけど、
彫刻という三次元がこの作品をさらに神々しいものにしている。
聖女の聖衣のひだ。
聖女と天使に降り注ぐ光の矢。
究極のエクスタシーがここにある。
(出典:Wikipedia)
「『おまえは鉄の武器をもってやって来た。わたしは主の御名においてやってきたのだから、おまえは主にいどむことになるのだ。今日、主はおまえをわたしの手にあたえられる。そしてわたしはおまえをたおし、イスラエルには神がおられることを地上のすべてのものが知るのだ』少年だ。ゴリアトは面食らった。唇がちぢこまった。恥をかかされた巨大な戦士の、不明瞭なうなり声がサウルにきこえた。あらたにわきあがった怒りにつき動かされて巨人は前にすすんだ。坂をかけおり、ダビデにむかっていった。若者の胸の高さに槍をかまえていた。そして右手にもった剣をふりあげた。サウルは立ちすくみ、巨人と同じように言葉も出なかった。しかしダビデは歩みの速度を変えることはなかった。投石器を頭の上でまわしはじめ、革ひもが風をきる音がした。音をたててダビデは石をはなった。石はゴリアトの頭蓋骨めざしてとんでいった」(ウォルター・ワンゲリン『小説「聖書」旧約篇』)
「好きな絵」ならぬ「好きな彫刻」シリーズ。
二次元より三次元が好きだから。
本来なら絵画より彫刻のほうが好きなはずなのですが、
好きな絵画より好きな彫刻が少ないのは、
やはり三次元での表現が難しいからだろうか。
ミケランジェロのダビデ像。
今なおその美しさは輝きを失われない。
つまりはこの頃から人間の外形は変わらず、美意識もそんなに変わってない、
ということなのでしょうか。
[図録2300円]
フェルメール展、残り1日というところでようやく行ってきました。
正直行こうかどうか迷ってた。
フェルメールがそれほど好きというわけではなかったし、
オランダ風俗画にもそれほど興味があったわけでもない。
でもね。
たぶんこれからの人生でもこの大学にいる間ほど
たくさんの絵を観る機会ってもうないと思う。
だから行くことにした。
フェルメールの作品は現在世界に34点しかないそうです。
そしてオランダにある「牛乳を注ぐ女」がこの数百年で国外へ出たのはわずか五度。
そしてこの東京での展示はアジア初。
やっぱ行かなきゃ。