フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展【国立新美術館】

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[図録2300円]


フェルメール展、残り1日というところでようやく行ってきました。


正直行こうかどうか迷ってた。
フェルメールがそれほど好きというわけではなかったし、
オランダ風俗画にもそれほど興味があったわけでもない。

でもね。
たぶんこれからの人生でもこの大学にいる間ほど
たくさんの絵を観る機会ってもうないと思う。
だから行くことにした。


フェルメールの作品は現在世界に34点しかないそうです。
そしてオランダにある「牛乳を注ぐ女」がこの数百年で国外へ出たのはわずか五度。
そしてこの東京での展示はアジア初。

やっぱ行かなきゃ。


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[牛乳を注ぐ女](出典:Wikipedia)


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[夜の国立新美術館]

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チケット。
大学のメンバーズ割引で900円。

国立新美術館は夕方5時以降は混雑が緩和され空いてくる、という
話を聞いて午後5時頃に行ったのですが。

...やっぱ混んでた。
残り1日だからか、これでも空いてるほうなのかよく分かんないけど。


でも行ってよかった。

「牛乳を注ぐ女」は事前に小さいと聞いていたこともあってか、
意外に大きいじゃん、と思った。

そして実物は思った以上に美しかった。
描かれている女性が格別美しいと感じたわけではありません。
絵全体が放つオーラがとても美しいと感じました。

ラピスラズリの放つフェルメール・ブルーの美しさもさることながら、
画面右半分の壁の白がこの作品をことさら美しくしているように感じた。
遠方から当てられた2つの強いスポットライトが壁の白をいっそう明るくしている。

フェルメールは当初この壁に暖炉などを描いていたそうです。
しかし苦慮の末なにも描かず空白の白壁とした。

余白の美しさ。
美しさは何かを存在させることだけで表現するものではない。
「なにもない」余白の配置で際立つ美しさもあることをこの絵は教えてくれる。
シンプルの美学がそこにあると思います。

さらに砂状の物質を混ぜた顔料を使用したというパンのあたりは
きらきらときらめいているように見える。
この作品は光を浴びることでことさらその美しさが映えるようです。

思った以上の絵の美しさに、鑑賞の行列に二度並び、
さらにその後遠くから眺めることしばし。


そのほかのオランダの風俗画も思った以上のボリュームでした。
それまで聖書や古代神話を主題にした歴史画から
日常を題材にした親しみやすい風俗画へ。
それはこれまでの「絵は美を描くもの」から
「ありのままを描くこと」「教訓や風刺を表現すること」へと絵画の可能性を広げた。

個人的に気に入ったのは
アドリアーン・ムーレマンスの「ランプの明りに照らされた台所」、
ニコラス・ファン・デル・ヴァーイの「アムステルダムの孤児院の少女」、
あたりでしょうか。

絵だけじゃなくて陶器やワイングラスなどの工芸品も展示されてて
こちらもなかなか面白かった。

最後に映像解説を見てたら閉館時間になりました。

思った以上の満足で図録も購入。

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2300円なり。
普段は買わないポストカードまで買おうかと思ったほどでしたが、
そこはぐっとこらえてガマン。


やっぱり行ってよかった~