「撮影可」と一致するもの

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瀬戸内国際芸術祭2019夏会期がはじまりました。


...と思ってたら、その夏会期もあと一週間で閉幕です。
相変わらずの遅筆ですが、夏会期のレポートを随時していきたいと思います。
2013年・2016年と過去2度、芸術祭には行ってますが、
夏会期に行くのは今回がはじめてでした。

今回も早朝出発して下道でのんびり高松港に向かったのですが、
のんびりしすぎて船の時間が中途半端になってしまい、
やむなく高松市街エリアを回ることにしました。

まずは夏会期オープンの北浜エリアを経由して、
高松市美術館で開催されている宮永愛子展へ。


いやあ、暑い。
暑いときはクーラーの効いた館内でアート鑑賞するに限る。


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今年最初の美術鑑賞。

愛媛県美術館で開催中のバレル・コレクション展へ行ってきました。


英国スコットランドの海運王ウィリアム・バレルが蒐集した美術コレクション、
「バレル・コレクション」。
バレルはその膨大なコレクションを地元グラスゴー市に寄贈、
閑静な土地にコレクションを展示する美術館が建設され、1983年に開館しました。


コレクションは基本的に門外不出でしたが、
美術館のリニューアル工事に伴い初来日することになり、
本展はそのコレクションの中から73点と同市のケルヴィングローヴ美術館から7点、
計80点を展示するもので、福岡→愛媛→東京→静岡→広島の順で巡回します。

巡回展はなにかと都会の美術館が優先され、
遅れて田舎の美術館へ巡回してくるのが常だから、
めずらしく東京よりも先に愛媛で開催されるのも嬉しい。


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神戸で兵庫県立美術館メリケンパークを訪れた後、一路大阪へ。

お目当ては国立国際美術館で開催中のプーシキン美術館展。
プーシキン美術館はロシアの首都モスクワにあるヨーロッパ最大の美術館であり、
収蔵品数は約10万点でエルミタージュ美術館に次いで世界二位。
本展はその膨大なコレクションの中から、フランス風景画に焦点をあてたものになります。

金曜・土曜の午後5時〜9時のナイトタイムで会場内での写真撮影が可能、
ということで夕方5時に現地に到着して夜の美術館を堪能してきました。


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訪問日:2018年5月26日(土)


1ヶ月ほど前の話。
香川県立ミュージアムで開催中のイサム・ノグチ展に行ってきました。

イサム・ノグチの個展に行くのは、2006年高松市美術館での開催以来12年ぶり。
その最初の個展以降、香川ニューヨークの庭園美術館に行ったり、
ドウス昌代さんのイサム伝記を読んだりと、
それなりにイサムについて見識を深めたつもりだったけど。


2回目の個展も新しい発見の連続だった。

やっぱり奥が深いなあ、この日米混血の彫刻家は。


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訪問日:2017年11月19日(日)


これももう半年ほどの前の話なのだけど。
テレビのCMで流れているのを見て知った展覧会。

本展は一般財団法人地域創造の助成による平成29年度公立美術感共同巡回展として、
岡山県の新見美術館→佐賀県の唐津市近代図書館美術ホール→広島県の蘭島閣美術館に続いて
愛媛では八幡浜の市民ギャラリーで開催されたものです。


美術館のない八幡浜にこんな良い絵が集まるなんて..ということで急遽行ってきました。


安藤忠雄展 挑戦【国立新美術館】

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建築に何が出来るのか、そもそも建築とは何なのかー私は建築の本質とは、人工と自然、個人と社会、現在と過去といった、人間社会にまつわる多様な事象のあいだの関係づくりと考えています。その意味で、人々共に木を植えて街に緑を取り戻す活動もまた、私にとっては建築です。既にある風景、社会制度の中に入り込んでいって、予定調和から外れた試みをしようとすれば、当然、摩擦や衝突が起こります。建築の原点たる住まいの問題、空間の光と影といった美学状の問題、あるいは都市空間、場所の風土の問題。つくる度にさまざまなテーマに直面し、それらに建築で応えるべく、悪戦苦闘してきました。その全てが挑戦でした。


半年ぶりの東京2日目。
朝一で六本木の国立新美術館へ。

建築家・安藤忠雄の半世紀に渡る建築活動を紹介する展覧会。
ギャラリー「間」21_21、ANDO MUSEUMなど、
過去何度か安藤さんの展示は見に行ってますが、
これほど大規模なのははじめて。

270点もの資料や模型で89のプロジェクトを紹介する過去最大規模のもの。
この展示を見るだけでもよくまあ、これだけやってきたもんだと感服するのですが、
一方で安藤さんの「連戦連敗」という本では、
実現しなかったプロジェクトも山ほどあったというのだから、
展示ボリュームをはるかに超えるエネルギーを安藤さんは建築に注ぎ込んできた。
そう考えると、さらにその感服度合いが大きくなります。

それでも東京という日本でもっとも大きな街で、
日本で最も有名な建築家は自分の回顧展を自分の設計した美術館で開催できなかった。
そこに日本の建築界の窮屈さを垣間見たような気がします。
その意味においても、晩年に差し掛かって身体がボロボロになってなお、
夢を抱き続ける安藤さんの挑戦はまだまだ続くのでしょう。


「目標があるうちは青春だ」


自分もそういう人生をおくりたいと思う。


「紫舟」作品展【愛媛県美術館】

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9月の終わりからえひめ国体がはじまりました。
愛媛での開催はじつに64年ぶり、愛媛単独では初の開催だとか。

国体は「国民体育大会」の略ですが、開催されるのはスポーツだけじゃないんですよね。
「文化プログラム事業」なるものがあって、文化イベントも開催されているのです。

愛媛県美術館で開催されている「紫舟」作品展もその一つ。
国体の開会式前日の9月29日には天皇陛下と皇后陛下が本展を鑑賞され、
紫舟さん自らが案内されていました。

「天皇陛下が、作品価値の定まっていない現存作家の作品展を御覧になることは極めて稀で、
 まして、作家本人が自身の作品をご案内ご説明できることは非常に貴重な機会」

...なのだそうです。(オフィシャルサイトより)

このニュースがテレビで流れているのを見て本展を知りました。
NHK大河ドラマ「龍馬伝」のタイトルを手掛けた書家・アーティストなんですね。

通常紙の上に書かれる二次元の書が、厚みを持った三次元作品となっている。
これは新しい書の形だ。書の進化だ。

これはもう見に行くっきゃない、ということでさっそく出かけてきました。


愛媛民藝館【浦辺鎮太郎|愛媛県西条市】

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「民藝」という新しい美の概念の普及と「美の生活化」を目指す民藝運動の本拠地として、
1936年に日本民藝館が東京駒場に思想家の柳宗悦により企画され、
大原美術館を設立した実業家の大原孫三郎をはじめ多くの賛同者の援助を得て設立されました。

柳は「民藝品」を次のように定義しています。

  1. 実用性。鑑賞するためにつくられたものではなく、なんらかの実用性を供えたものである。
  2. 無銘性。特別な作家ではなく、無名の職人によってつくられたものである。
  3. 複数性。民衆の要求に応えるために、数多くつくられたものである。
  4. 廉価性。誰もが買い求められる程に値段が安いものである。
  5. 労働性。くり返しの激しい労働によって得られる熟練した技術をともなうものである。
  6. 地方性。それぞれの地域の暮らしに根ざした独自の色や形など、地方色が豊かである。
  7. 分業性。数を多くつくるため、複数の人間による共同作業が必要である。
  8. 伝統性。伝統という先人たちの技や知識の積み重ねによって守られている。
  9. 他力性。個人の力というより、風土や自然の恵み、そして伝統の力など、目に見えない大きな力によって支えられているものである。


その後民藝運動は全国へ拡散し、運動の賛同者らによって日本各地に民藝館が建てられました。
各地の民藝館は日本民芸協会という組織で繋がっていますが、
中には「民藝」の解釈を異にするものも出てくる。
大阪支部の三宅忠一は柳宗悦の民藝ネットワークから離れ、
日本工芸館を拠点とする日本民芸協団を設立しました。


愛媛では1967年に当時の日本民藝協会長であった大原総一郎(大原孫三郎の息子)氏の提唱に
地元の有志、企業が応え、西条市の中心地の堀に囲まれた旧陣屋跡地に
「愛媛民藝館」が四国における民藝運動拠点となるべく設立されました。
設計は倉敷出身で大原美術館分館や倉敷アイビースクエアなどを手がけた浦辺鎮太郎。


在京時代に駒場の日本民藝館に訪れる機会がないまま愛媛に移住して6年、
愛媛にも民藝館があることをはじめて知り、喜び勇んで出かけてきました。

ちなみに高松の栗林公園内に讃岐民芸館がありますが、
日本民芸協会には入ってないようです。
日本民芸協団に入っているかどうかは不明。

民芸にもいろいろあるんですね。


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ミウラート・ヴィレッジで開催中の伊東昭義展に行ってきました。

伊東昭義氏のことは全く知らなかったのですが、
テレビのCMで流れてるのを見て、
そう言えばかねてより訪れたいと思っていたミウラート、まだ行ってないなあ、と。


ミウラート・ヴィレッジ(三浦美術館)は三浦工業グループの創業者三浦保氏が1998年に設立。
三浦氏自身熱心な芸術家であり、茶陶をはじめとする陶芸において独自の境地を開拓し
「ミウラート」と呼ばれる独自の陶板画に到達しました。
美術館外壁及び中庭にはこの三浦氏の「ミウラート」を中心とした作品群が常設してあります。

美術館の設計は長谷川逸子氏。
地上に平行に置かれた二つの直方体の上にさらにもう一つの直方体を垂直に配した
独特のデザインはホキ美術館を彷彿とさせます(ホキほど曲線性はないですが)。


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水戸芸術館で開催中の藤森照信展に行ってきました。

2008年の松井龍哉展以来、じつに9年ぶりの水戸芸術館。
磯崎新が手がけたその空間は、相変わらずの存在感でした。
そして本展もそんな存在感溢れる空間に見合う、濃い建築の展示でした。

藤森さんの展示ですが2007年のオペラシティアートギャラリーでの展示以来、
10年ぶり二度目の鑑賞となります。
実際の建築も、ワイルドなその風貌はスマートな都会の街並みに合わないせいか、
地方に多いため、なかなか訪れることが叶わず。
昨年、ようやく神勝寺の中の「松堂」に訪れることができたくらい。


藤森さんの建築は、現在主流になっているモダニズムの延長にあるスマートな弥生式の建築とは
対極にある縄文式建築です。
できるだけ直線から離れ、幾何学から離れ、無機質から離れるオーガニックなものです。
ただ、それはモダニズムを知らないとか、嫌いだとか、批判するといったヘイト要素から
出発するものではなく、元は建築史家という立ち位置から過去の様式を研究し尽くした上で、
現在の延長線上の未来の建築がより良い姿であるように模索したものだと思うのです。