「民藝」という新しい美の概念の普及と「美の生活化」を目指す民藝運動の本拠地として、
1936年に日本民藝館が東京駒場に思想家の柳宗悦により企画され、
大原美術館を設立した実業家の大原孫三郎をはじめ多くの賛同者の援助を得て設立されました。
柳は「民藝品」を次のように定義しています。
- 実用性。鑑賞するためにつくられたものではなく、なんらかの実用性を供えたものである。
- 無銘性。特別な作家ではなく、無名の職人によってつくられたものである。
- 複数性。民衆の要求に応えるために、数多くつくられたものである。
- 廉価性。誰もが買い求められる程に値段が安いものである。
- 労働性。くり返しの激しい労働によって得られる熟練した技術をともなうものである。
- 地方性。それぞれの地域の暮らしに根ざした独自の色や形など、地方色が豊かである。
- 分業性。数を多くつくるため、複数の人間による共同作業が必要である。
- 伝統性。伝統という先人たちの技や知識の積み重ねによって守られている。
- 他力性。個人の力というより、風土や自然の恵み、そして伝統の力など、目に見えない大きな力によって支えられているものである。
その後民藝運動は全国へ拡散し、運動の賛同者らによって日本各地に民藝館が建てられました。
各地の民藝館は日本民芸協会という組織で繋がっていますが、
中には「民藝」の解釈を異にするものも出てくる。
大阪支部の三宅忠一は柳宗悦の民藝ネットワークから離れ、
日本工芸館を拠点とする日本民芸協団を設立しました。
愛媛では1967年に当時の日本民藝協会長であった大原総一郎(大原孫三郎の息子)氏の提唱に
地元の有志、企業が応え、西条市の中心地の堀に囲まれた旧陣屋跡地に
「愛媛民藝館」が四国における民藝運動拠点となるべく設立されました。
設計は倉敷出身で大原美術館分館や倉敷アイビースクエアなどを手がけた浦辺鎮太郎。
在京時代に駒場の日本民藝館に訪れる機会がないまま愛媛に移住して6年、
愛媛にも民藝館があることをはじめて知り、喜び勇んで出かけてきました。
ちなみに高松の栗林公園内に讃岐民芸館がありますが、
日本民芸協会には入ってないようです。
日本民芸協団に入っているかどうかは不明。
民芸にもいろいろあるんですね。
大原美術館に行ってきました。
岡山県倉敷市、美しい白壁の伝統的建造物が立ち並ぶ美観地区の中にあります。
大原美術館は日本ではじめて西洋美術を展示する美術館として1930年(昭和5年)に開館しました。
倉敷の実業家・大原孫三郎が画家・児島虎次郎に依頼して収集したコレクションが、
この美術館の作品群のベースとなっています。
同じように西洋美術を展示する美術館としては東京上野の国立西洋美術館がありますが、
こちらは実業家・松方幸次郎が収集した松方コレクションをベースに1959年(昭和34年)に開館。
国立西洋美術館は近代建築の巨匠ル・コルビュジエによる統一感あるモダニズム建築であるのに対し、
大原美術館は本館はギリシャ風、分館はモダニズム、工芸館は倉敷の伝統建造物風、と
割とカオス。
自分はどちらかといえば、国立西洋美術館のように明確なコンセプトの元、
統一感あるデザインのほうが好きですが、大原美術館のようなカオス感も悪くない。
やっぱりいろいろあるから世の中面白いのかな。
2014年8月、岡山県・倉敷市の美観地区に行ってきました。
この年は地域おこし協力隊が任期終了となり、
木工作家になるために職業訓練校に通った一年でしたが、
地域おこし協力隊時代にはたいした貯蓄もできなかった上に、
基本的に失業保険で生活していかなければならない苦しい時期でした。
そのためにほとんど旅行らしい旅行もできず、
唯一日帰りで訪れたのがこの倉敷の街でした。
一番の目当ては大原美術館でしたが、
江戸時代の雰囲気が色濃く残る伝統的建造物が立ち並ぶ町並みは美しく、
なかなか感慨深いものがありました。
大原美術館については別途レポートすることとして、
ここでは美観地区についてレポートします。
原美術館は大好きな美術館のひとつです。
元々は実業家・原邦造の邸宅として、渡辺仁の設計で1938年に建てられた洋館を、
1979年に美術館に転用されたものです。
いわゆる個性的な建築、というわけではないけれど、
全体として心地よい空間となっている気がします。
どちらかといえば「これでもかっ!」と主張する建築が好きですが、
こういう建築も悪くない。
美術館訪問三番目は原美術館。
(一つ目/二つ目)
先の二つはどちらかといえばネガティブなレポートになってしまいました。
これでは都会の良さを伝えるどころか、都会の批判になってしまう。
都会には魅力が一杯だ。
が、その原石の多くは都会にはなく、周辺から持ち込まれたものである。
都会はパワーの源だ。
多くのエネルギーが集約し、費やされることで、驚異的な数の魅力が創造される。
が、しかし同時に驚異的に不要なゴミも生み出されるのである。
都会は余剰の源でもある。
ゴミと魅力の両方があるおかげで、魅力の見分けがしやすくなる。
多くの魅力と出会うことで、より良い魅力を作りあげることが出来る。
都会とはそういう場所である。
悪くはないけれど、魅力の原石そのものに出会うチャンスは意外と少ない。
...というわけで、三度目の正直。
魅力を作りあげる方法を学ぼう。
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ブックオフで不要本を売った後、近くの古本屋で見つけました。
つい最近ドウス昌代さんのイサム・ノグチ評伝を読んだばっかり。
評伝はあくまでイサム・ノグチの人物像を追求するもの。
作品情報も文章中心で、写真があったとしてもモノクロ。
...となるとやはりカラー写真情報が欲しくなるもの。
ちゃんとした作品集は高価だし...
...というときにこういうムック本は便利。
で、つい購入。
定価1,260円に対し700円。
作品の所在情報なども載っていて、今後訪れる際の参考にもなる。
半分日本人というだけあって、予想以上に日本に作品が多いのにびっくり。
機会あれば訪れてみたい。
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同級生に教えてもらった自由が丘の古本屋。
デザインやアート関係の古書がそろってます。
6月に刊行されたばかりのCasa Brutusが早くも半額程度で置いてありました。
本の具合もよかったので購入しちゃいました。
タイトル通りニッポンのモダニズム建築が特集されたものですが、
その厳選作業はドコモモ(DOCOMOMO)という団体が行ったものだとか。
ドコモモ?
...NTTドコモとは関係ないみたいです。
会期も終了間際になってようやくピピロッティ・リストの展示を観に原美術館へ行ってきました。
毎度のことながら行動が遅い。
平日の午前中に出かけたのですが、会期終了間際とあってか、
思ったより人が多かったです。
でもまあそれほど待つこともなく、ストレスなく鑑賞でき、
じっくり鑑賞できました。
インスタレーションがメインでしたが、
確実にインスタレーションを楽しめるようになった気がする。
人間受け入れる努力をすれば、なんだって好きになれる。
プレデザイン9日目。
グループワーク7日目。
今日のテーマは「自分のカリキュラムをつくる」。
これまでの総まとめ的な感じです。
具体的にはグループディスカッション中心みたいな。
地味といえば地味な回でした。
お題は3つ。
「大学はどんな人間を育てようとしているのか?」
「大学に来るのがいいのか?」
「自分の仕事」
今日の実習は弱者の弱みをつくような、敗者に鞭打つような、
強烈なボディーブローを喰らうような。
そしてそのダメージがじわじわ効いてくるような。
...2回目の休息を前にしてノックダウンです。
奈良さんの映画が25日まで渋谷シネ・ラ・セットで上映されていると
聞き、急ぎ観てきました。
奈良さんはなんとなくテレビや雑誌などで目にしてたけど。
今回初めてその実像を垣間見ることができました。
映画は世界各地を奈良美智と豊嶋秀樹をはじめとする
大阪のクリエイティブ集団"graf"との共同行脚を追いかけるドキュメンタリー。
ソウル、ニューヨーク、ロンドン、東京、横浜、奈良の地元、青森...
世界各地で繰り広げられる奈良美智の絵とgrafが作る小屋。
そういえば原美術館でその小屋を見たけどあれもこの一環だったんですね。
独特の女の子や犬の表情。
以前は可愛らしい中にもどこか刹那的で、心に棘と刃を持っていて、
容易に触れがたい雰囲気だった。
それがこの映画の中で観る奈良作品は心なしか、
柔らかく、優しくなっている気がした。