会期も終了間際になってようやくピピロッティ・リストの展示を観に原美術館へ行ってきました。
毎度のことながら行動が遅い。
平日の午前中に出かけたのですが、会期終了間際とあってか、
思ったより人が多かったです。
でもまあそれほど待つこともなく、ストレスなく鑑賞でき、
じっくり鑑賞できました。
インスタレーションがメインでしたが、
確実にインスタレーションを楽しめるようになった気がする。
人間受け入れる努力をすれば、なんだって好きになれる。
原美術館はこじんまりとして、展示スペースはそれほど広くないですが、
アール・デコ調の建物が落ち着いた雰囲気を醸しだしていて、
比較的リラックスして、それでいて集中して展示を観ることができるので
けっこう好きです。
今回はその美術館内に11点ほどのピピロッティ リストの作品が
1F-2Fにわたって展示してあります。
1F:「星空の下で」
天井から床面に向かって映像が映りだされる。
口や耳からミクロ人間になって体内宇宙へ入っていくような、
スピード感、浮遊感、スケール感あふれる映像作品。
1F:「ヒーリング」
壁に取り付けられた救急箱に取り付けられた小さなモニターに
映しだされる映像は「星空の下で」と同じくミクロ人間になって
体内に入っていくような感じですがこちらはとくに「血」をイメージして
巨大な赤血球が溢れる。
1F:「溶岩の坩堝で我を忘れて」
係員に言われなければそのまま見過ごしてしまいそうなほど、
床に取り付けられた極小なモニターからリスト自身が呼びかける。
1F:「部屋」
巨大なソファーとその前に置かれたごく普通のテレビに映しだされる映像。
映像そのものよりモニタと巨大なソファの大きさの対比を楽しむものですが
写真で見るより意外とインパクトなかったな。
1F:「ダイヤモンドの丘の無垢な林檎の木」
気に吊り下げられたガラクタの数々に向かって映像が投影される。
けっこう幻想的で床に座ってけっこう長くぼーっと見つめてました。
1F:「膝ランプ」
イスとシェードランプが置いてあって、イスに座るとシェードランプに
取り付けられたプロジェクタから膝に向かって映像が映しだされる。
膝の部分は何か白いものであるほうが映像が見やすいです。
僕は白いバッグを膝に置きました。
これもなかなか面白い感覚に包まれて好きだったな。
2F:「ジーナのモビール」
涙型の小さなスクリーンに皮膚をモチーフにした映像作品が投影されます。
表裏両方から映像を眺めることができるのが面白かった。
2F:「あなたの宇宙カプセル」
箱の中に作られたミニチュアの部屋と宇宙。
その中心から壁に向かって映像が360度回転しながら映し出される。
見るオルゴールみたいでこれもしばらくぼーっと眺めてました。
2F:「あなたに大賛成」
1つのスクリーンに2つの映像が合成的に映しだされる。
1つはスクリーン一杯に女性(リストなのかな?)がぶらぶら歩いている映像。
もう1つはその女性の周囲に小さい裸の男女の映像が。
まるでぶらぶら歩く女性の頭の中を見ているような感覚。
これも不思議な感覚でしばらくぼーっと眺めてました。
2F:「エヴァー イズ オーヴァー オール」
2つのプロジェクタから2つの映像が隣り合わせに映しだされる。
左側は花の杖みたいなものをリストが振り回しながら
一列に駐車している車の窓を次々と叩き割る。
右側はのどかに花がそよぐさまが映し出されている。
人間に虐げられた自然の逆襲、みたいな。
そんな気がした。
1F トイレ:「隠れたサーキット」
21_21でのwater展でトイレに展示物を展示してた作品があったけど、
あれによく似てるかな。
ただ、water展は洗面所の蛇口に細工がしてあったのに対し、
こちらはなんとトイレの排泄口にカメラを設置していて、
排泄の様子を作品としたもの。ちょっと過激。
別のトイレで用を足していたので尿意も便意もなかったので実際に
排泄はしなかったのだけど、ズボン、パンツを下ろして便座に
座るだけでもかなり恥ずかしい。勇気がいる。
さすがにくっきり映像が判別できちゃうと不快感が強いだろう、
という判断からか映像はやや暗めで判別しにくい粗さになってました。
わずか11展ながらそれぞれの作品をじっくり鑑賞して、
リストの作品に混じって何気なく置いてある常設展示作品やショップを
鑑賞してたらあっというまに1時間半。
図録は筒状の入れ物に巻いて入っているというちょっと変ったスタイル。
4800円とちょっと高いのとインスタレーション作品を静止した図録でみてもなあ、
ということで今回はパス。
本展は2/11まで。残りわずかですが興味ある方はぜひ。
トイレの作品を他の人がどのように楽しんだか、聞いてみたいなあ...