「チェア」と一致するもの

安藤忠雄展 挑戦【国立新美術館】

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建築に何が出来るのか、そもそも建築とは何なのかー私は建築の本質とは、人工と自然、個人と社会、現在と過去といった、人間社会にまつわる多様な事象のあいだの関係づくりと考えています。その意味で、人々共に木を植えて街に緑を取り戻す活動もまた、私にとっては建築です。既にある風景、社会制度の中に入り込んでいって、予定調和から外れた試みをしようとすれば、当然、摩擦や衝突が起こります。建築の原点たる住まいの問題、空間の光と影といった美学状の問題、あるいは都市空間、場所の風土の問題。つくる度にさまざまなテーマに直面し、それらに建築で応えるべく、悪戦苦闘してきました。その全てが挑戦でした。


半年ぶりの東京2日目。
朝一で六本木の国立新美術館へ。

建築家・安藤忠雄の半世紀に渡る建築活動を紹介する展覧会。
ギャラリー「間」21_21、ANDO MUSEUMなど、
過去何度か安藤さんの展示は見に行ってますが、
これほど大規模なのははじめて。

270点もの資料や模型で89のプロジェクトを紹介する過去最大規模のもの。
この展示を見るだけでもよくまあ、これだけやってきたもんだと感服するのですが、
一方で安藤さんの「連戦連敗」という本では、
実現しなかったプロジェクトも山ほどあったというのだから、
展示ボリュームをはるかに超えるエネルギーを安藤さんは建築に注ぎ込んできた。
そう考えると、さらにその感服度合いが大きくなります。

それでも東京という日本でもっとも大きな街で、
日本で最も有名な建築家は自分の回顧展を自分の設計した美術館で開催できなかった。
そこに日本の建築界の窮屈さを垣間見たような気がします。
その意味においても、晩年に差し掛かって身体がボロボロになってなお、
夢を抱き続ける安藤さんの挑戦はまだまだ続くのでしょう。


「目標があるうちは青春だ」


自分もそういう人生をおくりたいと思う。


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草間彌生『ハーイ、コンニチワ!ヤヨイちゃん』『ハーイ、コンニチワ!ポチ』(2004)

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広島県尾道市の千光寺公園の中にある尾道市立美術館へ行ってきました。

国内の現代アートコレクターを代表する高橋龍太郎氏、田口弘氏、桶田夫妻の
膨大なコレクションから第一線で活躍する現代アーティストの作品約40点を展示する
企画展が開催中でしたが、自分のもっぱらの関心は、
安藤忠雄設計によりリニューアルされた美術館そのものでした。
開館当初の美術館の様子を知らないので、新旧の変化を探ることはできないのですが、
古い伝統的な寺社建築の前に安藤さん独特のコンクリートボックスが配置されるという
割りと分かりやすい構造なので安藤さんの行った改修ポイントがそれなりに見えた気がします。

外見的には比較的新旧の建物の区別がはっきりしているのですが、
内部はシームレスにつながっており、単に古い建物の前に新しい建物を加えただけでなく、
一つの美術空間としてトータル的に見直されたことが分かります。


I'm pinterested in !

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インスタ同様、pinterestの画像もブログに簡単に貼り付けられるようです。

pinterstはいわゆる画像のブックマークツールですが、
del.cio.usなどのいわゆるURLブックマークツールよりも浸透しつつあるのは、
画像のもつ可視性によって、質の高い画像が集まることでpinterstそのものが
自然と「おしゃれツール」になるところにあるんでしょうね。
その点はインスタと共通する部分ではないでしょうか。

pinterestではどのような画像をセレクトして、どのようにカテゴライズするかが、
個々のアカウントの個性となるわけですが、
赤の他人の画像を無作為に集めてくる場合は自己主張というよりは、
アイデアの参考に、というスタンスで使うのが主目的になります。
アイデアを他人に盗用されたくない、という旧来の考え方の世代には浸透しないのでしょうが、
ネット文化が浸透し、「アイデアの共有」が基本のオープンソース世代が増えつつある
時代になって成立するようになったWebサービスといえます。


SketchUpでの制作物

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このブログでGoogleが3Dデザインツールである「SketchUp」の開発会社を
買収したニュースを取り上げたのが2006年

当時早々に無料トライアル版をダウンロードして試用し、
そのレビューも報告しているが、
実際にこのツールを本格的に使うようになったのは、
2014年に通った職業訓練での授業を受けてからだった。

実に遅々としたペースだが、これがまあ自分のペースなのだろう。


本記事ではそんなSketchUpでの制作物を実制作物と一緒に紹介していきます。


宇和島高等技術専門校での制作物(2014)

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タマビを卒業後、愛媛県西予市に移住し木工による地域おこし活動に三年間従事した。

木工経験がほとんどなく、手探りしながらの活動ではあったが、
木工の何たるかを知る一助となった。

一方で、木工に関する専門的な技術と知識の必要性を思い知る機会ともなり、
地域おこし協力隊卒業後、宇和島市にある高等技術専門校(職業訓練校)の
木工クラフト科に2014年4月より入学し、一年間学んだ。


木工に関する専門技術・知識を学ぶには良い場所ではあったが、
木工業界の厳しさををさらに思い知ることにもなった。


ユスモクでの制作物(2011〜2014)

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[ユスモクロゴ]


2011〜2014年の三年間、
総務省の「地域おこし協力隊」制度により、
愛媛県西予市の特別職員として過疎地域の地域活性化活動に従事してきました。

「木工による地域おこし」活動を「ユスモク」という愛称でブランド化し、
地域内の使われなくなった保育所を木工所に転用して活動拠点とし、
制作活動や木工教室の開催などをしてきました。

本記事ではこの三年間で創った制作物を紹介します。


吉岡徳仁 クリスタライズ【東京都現代美術館】

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せっかく東京にきた、ということで。
東京でやっている最先端のデザイン・アート関連の展示を見に行くことに。

まずは東京都現代美術館で開催中の吉岡徳仁の『クリスタライズ』。

実は彼の展示を見るのはこれで四度目。

2006年にAXISギャラリーで開催された『スーパーファイバーレボリューション』、
2008年に21_21DesignSightで開催された『Second Nature』、
単独展ではないけれど、
2010年に森美術館で開催された『ネイチャー・センス』、

そして、本展。


デザインとアートの中間。吉岡の立ち位置はそこにある。デザインは設計できるが、アートは設計できない。デザインは心理学的だが、アートは精神分析的である。デザインの前提は「複製」だ。いっぽうアートの前提は常に「複製への抵抗」である。(本展図録P170、斎藤環「デザインの意志」)


この記述に概ね反論はないけれど、
僕が彼の好きな部分はアーティストとしての側面である。
とくに素材の特性を生かした空間づくり。
そこに感動させられるし、自分もそのような空間づくりをしてみたいと思う。

本展のタイトルのとおり、本展で使われているマテリアルは
ガラスやアクリル、クリスタル、プラスチックといった透明感のあるもの。
自分が現在使おうとしている木とはまったく性質の異なるものではあるけれど、
素材の特性の引き出し方、空間表現への使い方を学ぶ、という点においては、
使われるマテリアルの種類はあまり重要じゃない。


そして、本展のサブタイトルは「人の記憶に眠る自然の姿結実させる」。

ここに、マテリアルの魅力を引き出す秘訣があるのだろうか。


瀬戸内国際芸術祭2013【犬島】

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念願の瀬戸内国際芸術祭を見に行ってきました。
本当は夏会期に行きたかったのですが、バタバタして行けず。
秋会期も終わりに近付いてようやく行くことができました。

芸術がどのように地域活性化に寄与できるのか。
それが学べる絶好の機会。

二泊三日の日程で行ってきました。

まずは犬島。
ちっぽけな島、と侮るなかれ。

小さな島には魅力がいっぱい詰まってました。


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丹下健三設計の香川県庁舎の内観編。
(外観編はこちら

最初に訪れた時は閉庁日で中に入れませんでした。
二度目の来庁は、香川県立ミュージアムで開催されている、
丹下健三展のチケットを入手したことがきっかけでした。
丹下さんの生誕百年ということで、いろいろイベントも開催されており、
普段は入れない県庁舎内を巡るツアーガイドに参加しました。


前日21:30に西予市明浜町を出発。
R56→R11を経由してひたすら下道で高松へと向かいます。

深夜1時半頃、四国中央市の24時間スーパーの駐車場にて仮眠、
2時間ほど寝てたら警備員に起こされて移動、近くの道の駅でさらに1時間仮眠を取り、
朝8時頃には高松に到着。
1時間ほどサンポート高松をぶらぶらした後、香川県庁へ。
10時からツアーガイドスタート。


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高知県・桂浜の坂本龍馬記念館に行ってきました。

設計:高橋晶子+高橋寛(ワークステーション)

とくに熱心な龍馬ファンというわけではなく、
去年桂浜に来て、奇抜な外観のこの建物に出会い、
建築好きとしてはおおいに興味をそそられたのですが、
このときは桂浜の浜辺が見たく、結局中には入らずじまいでした。
浜辺のそばにありながら、この記念館は浜辺へのアクセスが悪い。
浜辺に行くには専用の有料駐車場に車を止めさせたいのでしょうが、
結局は浜辺に行きたい人、記念館に行きたい人を分散させて、
経済効果は逆に悪くなる気がするのは僕だけでしょうか。

奇抜な造形は好き嫌い分かれるところだと思います。
また、モダンな造形が幕末の志士の記念館に相応しいか、
という意見もあると思いますが、自分はこの外観、結構好きです。
海に向かって突き出すような長い箱は、外界に繰り出す舟のようだし、
日本の夜明けのために実際に船に乗って奔走した龍馬のイメージと
合ってるように思います。

ただ、いざ中に入ってみると。

正直少しがっかりした。
海に向かって突き出す箱の「長さ」がこの建築の特徴のはずなのに、
内部は細かく空間を区切ってしまってる。
長さが生きてるのは出口のスロープくらい。
これではせっかくの大空間が活きない。

あらためて建築の外観は内部空間とつながるものでなければ、
魅力的にならないことを実感。