CasaBRUTUS特別編集 ニッポンのモダニズム建築100

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この本をAmazonで買う


同級生に教えてもらった自由が丘の古本屋。
デザインやアート関係の古書がそろってます。

6月に刊行されたばかりのCasa Brutusが早くも半額程度で置いてありました。
本の具合もよかったので購入しちゃいました。

タイトル通りニッポンのモダニズム建築が特集されたものですが、
その厳選作業はドコモモ(DOCOMOMO)という団体が行ったものだとか。


ドコモモ?
...NTTドコモとは関係ないみたいです。


DOcumentation and COnservation of buildings,
sites and neighborhoods of the MOdern MOvement

...略してDOCOMOMO(ドコモモ)。うーん無理矢理だなあ。


近代建築の記録と保存を目的とする国際学術組織だそうです。
パリの本部を中心に世界中に展開されているとか。
要はユネスコ世界遺産の近代建築版みたいなものでしょうか。

本号はその日本支部が2000年に選定した20選、
さらに2003年に80選追加して100選、
2005-2006年に25選を追加された計125選が紹介されています。
Wikipediaによればその後さらに追加されて現在は184選になってるようですが。


表紙の東京カテドラルのようにスケールの大きいものから
阿佐ヶ谷テラスハウスのように地味目のものまで実にさまざま。

考えてみれば世界遺産に登録されている近代建築はブラジリアくらいだよね。
近代建築がもたらすモニュメント性を考えればもっともっと登録されるべきだと
思うんだけどなあ...


この125選の中から自分が訪れたことがあるものを以下に紹介します。


【2003年 100選】

005 自由学園明日館(フランク・ロイド・ライト)
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(2009年撮影)

関東で唯一のライトの建築作品。
小ぢんまりとしているけど、そこにはライトの建築エッセンスが詰まっていました。


020 東京市中央卸売市場築地本場(現・東京都中央卸売市場築地市場、東京市土木局建築課)
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(2008年撮影)

築地市場に豊洲新市場。いったいどうなっていくんでしょうね、ここ。
画像は汐留のビル群からの眺望。
場所柄、市場の内部はじっくり巡ったことはなく。


026 原邸(現・原美術館、渡辺仁)
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(2012年撮影)

都会のど真ん中にありながら静かで落ち着いた雰囲気の良い美術館ですよね。


032 神奈川県立近代美術館 鎌倉(坂倉準三)
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(2009年撮影)

残念ながら2016年3月末日で閉鎖となってしまいましたね...


036 世界平和記念聖堂(村野藤吾)
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(2011年撮影)

丹下健三の平和公園と並んで広島の誇るべき平和を願う施設。
巨匠二人の平和施設が広島にあることが誇らしい。


038 広島ピースセンター(丹下健三)
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(2011年撮影)

村野藤吾の世界平和記念聖堂と並んで広島の誇るべき平和を願う施設。
巨匠二人の平和施設が広島にあることが誇らしい。


047 香川県庁舎(丹下健三)
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(2013年撮影)

誰でも気軽に入ることのできる「開かれた行政」の拠点となった施設。
それは偉大な建築家と芸術家が手を組むことにより実現した。


055 国立西洋美術館(ル・コルビュジエ)
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(2009年撮影)

ル・コルビュジエの無限成長美術館。
2016年に世界複数の地域にまたがって世界遺産に登録されましたね。


062 群馬音楽センター(アントニン・レーモンド)
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(2010年撮影)

サソリのような上面に独特な折板構造のホール。
奇抜な外観の割には落ち着いた感じの内部空間。


064 大原美術館 分館(浦辺鎮太郎)
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(2014年撮影)

メディアにはよく建物の裏の画像が紹介されているのだけど、
訪れた時はモダニズム建築としての関心よりは美術館としての美術鑑賞に夢中になり、
建物にはあまり目を向けなかったのが悔やまれれます;;


065 東京文化会館(前川國男)
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(2009年撮影)

上野界隈の美術館に行く折によくこの建物の前を通ったものだけど、
中をじっくり観察する機会には恵まれず。


074 国立屋内総合競技場(丹下健三)
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(2010年撮影)

1964年に建てられた丹下健三の3つの傑作のうちの一つ。
残念ながら、まだ中には入ったことがないんだよなあ...


077 東京カテドラル聖マリア大聖堂(丹下健三)
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(2009年撮影)

1964年に建てられた丹下健三の3つの傑作のうちの一つ。
HPシェルの曲面屋根に十字の窓から入ってくる光で最高の神聖空間を演出。


084 ソニービル(芦原義信)
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(2009年撮影)

隣の銀座エルメスとともに銀座のシンボルでしたが、
残念ながら取り壊されることになりましたね...


086 パレスサイドビル(林昌二)
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(2008年撮影)

アクセントとなる円柱状の建物が奥にあり、アングルとしてはあまり良い絵ではないですね。
国立近代美術館のそばにあるのでそこへ行く時よく通ったけれど、
建築物としてじっくり鑑賞したことはなかったなあ。


090 新宿駅西口広場・駐車場(坂倉準三)
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在京時代はよく往来した場所ではあるけれど、
建築物としてじっくり眺めることはなかったなあ。
それだけ都市にしっくり溶け込んでいた、ということなのでしょう。
画像は2009年に神奈川県立近代美術館鎌倉館で開催された坂倉準三展のパネルから。


099 代官山ヒルサイドテラス(槇文彦)
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(2008年撮影・模型)

全体を捉えるのが難しい建築なので、中においてあった模型で。


【2005年 +15選】

005 日本電波塔/東京タワー(日建設計・内藤多仲)
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(2010年撮影)

東京のシンボル。
スカイツリーが建っても、その存在感が揺らぐことはない。


011 駒沢オリンピック公園総合運動場体育館・管制塔
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(2011年撮影)

オリンピックでの役目を終えてなお、
その美しいフォルムは市民の憩いの場であり続ける。


【2006年 +10選】

003 日本生命日比谷ビル/日生劇場(村野藤吾)
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(2010年撮影)

この建物もまだ中にはいったことがなく。
見学ツアーがあるらしいので、行けるうちに行っておきたい。


008 中銀カプセルタワー(黒川紀章)
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(2011年撮影)

メタボリズムを代表する建物。
住居という性格上、なかなか中に入る機会はないようです。


日本でも取り壊される名建築が少なくないらしく、悲しい限りです。
本質的に良いものは時間をかけて評価され、長く使われるべきだ。
建築は思想を表現するものとしてその最たるもののはず。


最低限のリソースで最高の生活を。
それが最高の叡智というものではないだろうか。