かたちのデザイン2【課題2プレゼン】

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mousebrush_both.jpg

第2学年第2セッション「かたちのデザイン2」の第2課題が終了しました。

第2課題のテーマは「手とモノの関係性を考える」。
具体的にはハンドツールを作成するわけですが、テーマについて考えたとき、
僕が思いついたキーワードは「馴染む」。

手の延長として手に馴染む感覚を表現しようとしたわけですが、
今思えば「馴染む」という言葉はどこか曖昧な表現。


...それが今回の敗因なのかもしれません。


mousebrush_wood.jpg
[作品1]

mousebrush_white.jpg
[作品2]


shapedesign2_2a.jpg

shapedesign2_2b.jpg


手に馴染む既存のハンドツールとしてすぐ思いついたのが「マウス」。
マウスの形状を参考にしたハンドツールを作成することにしました。
マウスそのものを作るのはひねりがなくて面白くないので、
マウスと同じような持ち方で他のツールは...
と考えていたら目の前になぜかタワシが。

...というわけで「ブラシ」を作ることに決定。


形の検討は第1課題と同じく三次元スケッチでおこないましたが、
その素材としては手に馴染む、ということで粘土を使いました。
粘土にもいろいろな種類があるわけですが、先生の薦めにより
軽くて乾くといろいろ加工できる「軽量樹脂粘土」を使用。

第1課題では面要素、線要素でいろいろサンプルを作って試行錯誤したのですが
今回は面要素で1つ造形を整えた時点で実製作に展開してしまいました。
それが今回の敗因その2なわけですが...


実物の素材は手に馴染む、ということで自然物である木を使うことにしました。
去年の課題で木工の大変さを痛感したのでできるだけ製作に時間をとりたかったのです。
それで最初の検討時間が短くなってしまったわけです。

できるだけたくさん検討した方がいいのは当たり前だ。
しかし完成しなければそれは可能性だけで終わってしまう。
学校ではその可能性を伸ばすことが第一条件だし、
「かたちのデザイン」という授業だからかたちの検討が重要視されるのも分かるのですが
社会人の僕としては「納期までに完成度の高いものを完成させる」という
社会での鉄則をぬぐいきれない。

だからそこそこのモノしかできない。
それが自分の欠点だとは分かってはいるのですが...


まあとにかくそんなわけで実製作に入って。
最初は木を手加工で削りだそうと思っていたのですが、
去年の木工課題でお世話になった先生に相談したところ、
CAD図面を引いてくれて、なおかつNCでの削り出しを請け負ってくれるとのことで
お言葉に甘えることに。

NC初体験。
とはいっても自分では図面すら引けないので他力本願なわけですが。

なにげなく作っていた曲面をデータ化するのって難しい。
さらにその曲面を削り出すために加工する手順を考える(ツールパスの作成)は
もっと大変みたいです。

NCのハードウェアは中古の小さいものであれば70万円ほどで買えるそうですが、
CADのデータをNCでの加工用データ(CAMデータ)に変換するソフトがなんと
一千万近くするそうです。...これは買えない;;

NCでの加工が課題プレゼン日までに仕上がるか微妙だったので、
念のため手加工による予備作品作っておくことに。
それが作品2です。

NC加工はなんとか仕上がったのですが、急ぎで作ってもらったこともあって
仕上げがガタガタ。本来ならNCで光沢が出るほどの仕上げができるそうですが。
先生に泣きつくと、かんなでキレイに仕上げてくれました。
それどころか先生の自宅にあるNCで予備作品のブラシ部分まで作ってくれて。
...本当にいい先生だ。そして心から物作りを愛するその姿勢を尊敬します。


その後は市販のブラシの毛を引っこ抜いてひたすら植毛作業。
もう内職の世界です。
電気工事で使う圧着端子の中に毛を入れてかしめ、
余分な部分をペンチで切るのですがこれがまあ力仕事。
全部やり終わったあとはもう手に力が入りませんでした。


最後に表面を仕上げて完成。
先生の評価は先に述べたとおり形の検討が不十分。
どんなブラシでどのように使い、どのように動かすのか。
手と木の「馴染む」という関係性だけで身体との関係性が見えない。

「手」そのものは単独で存在するわけじゃない。
手が動けばその手を持つ人間の「身体」全体が動くわけで。
その身体の動きに目がいかなかった。
あらためて自分の視野の狭さというか、思いこみの激しさを痛感、反省。


でもまあ去年の「かたちのデザイン」の課題のような
やり残し感のある中途半端な気持ちはなく、やりきったので
そういう意味では去年のリベンジは果たせた気がします。


やっぱり物作りって楽しい。