ダンス・ダンス・ダンス〈上〉 / ダンス・ダンス・ダンス〈下〉
「ノルウェーの森」ですっかり村上春樹にはまった。
続いて読んだのがこの「ダンス・ダンス・ダンス」。
上下二巻構成。
別にダンスをテーマにした物語ではない。
しかし。
人生は踊り続けなくてはならない。
「なぜ」踊るかなんて考えてはいけない。
そんなことをすれば人生そこで止まってしまうから。
しかししかし。
人生ときには立ち止まって後ろを振り返ってみるのも悪くない。
ずっと立ち止まりぱっぱなし、ずっと過去ばかり見てるのは良くないけど。
これはある男のそんな人生のふとした「立ち止まり期間」の物語。
ノルウェイの森 上 / ノルウェイの森 下
文章も分かりやすく、あっという間に読み終えました。
一気に読ませてしまう、という点では東野圭吾作品には及びませんが、
人間の内面奥深くを描きながら一気に読みきらせる、
という点ではスゴイな、と思いました。
単順に心理描写が僕の感覚に似ているからかもしれないけど。
それを多くの読者にそう思わせている点がこの作家のスゴイところなんだろうな。
主人公ワタナベは自分だ。
違うのは過ごしてきた環境と経験。
ただそれだけ。
...ただそれだけで人の人生こうも違うものか。
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村上春樹訳 新時代の『ライ麦畑でつかまえて』。
他の訳者の訳を読んだことはないので、
村上春樹の訳風といったものはよく分かりません。
ただ、グレート・ギャツビーよりは読みやすかった。
しかしラスト50ページに至るまでは正直読むのが苦痛だった。
読みにくいからではなく、あまりに主人公ホールデンの吐く毒がキツイから。
ときおりホールデンの発する言葉の中に世の中の真理みたいなのが
ちらほら垣間見えるんだけど、最初は吐く毒のほうがきつくて
その真理がなかなか素直に受け入れられなかった。
でもラストはすごく良かった。
ラスト50ページまでの世の中のすべてを憎んでいるようなホールデンの毒は
このラストの良さを引き立たせるために必要なものだったのかもしれない。
物語自体はハイスクールを退学処分になった主人公が実家に戻るまでの
数日間を主人公自身の言葉で語られたもの。
出来事ではなく、主人公の心理描写が重点的に描かれています。
ホールデンほど毒にまみれてなくとも人間誰でもホールデンのように
思うことが一度や二度はあるはず。ぼくもある。
そしてその部分は人生を生きていく上でどうしようもなくせつない部分で
あったりする。それがこの物語を名著たらしめてるんだと思う。
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邦題「華麗なるギャツビー」で有名なアメリカ文学。
サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」を読んだ時も思ったのだけど、
どうもアメリカ文学というものは僕にはあまりピンとこない。
村上春樹曰く「これまで巡り会った最も重要な本」だそうですが...
こういう時、文化は言語によって大きく左右される、と感じます。
英語をただ直訳するだけでは、作者の表現を十分に感じ取るのは難しい。
そこに訳者としてのスキルがあるのかな、と思うのですが、
本作の他の訳を読んだことはないし、
村上春樹の訳も「ライ麦畑でつかまえて」しか読んでいないので、
客観的に彼の翻訳を判断することは難しいとは思いつつ、
結局現状では「ピンとこない」としか言えない。
「オールドスポート」というギャツビーの口癖はなかなかオシャレだとは思うけど。
いつかこの名作の良さが分かる日が来るのだろうか...