逃れられない「カタチ」

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2年生の時の香水の課題から生まれた造形。

ただ立方体を「ねじる」という単純な発想から生まれたこの形が、
以後、自分の中につきまとっている。

自分の中の芯、という点ではあらゆる展開に応用が利くのだけど、
逆にこれを越える新しい形を生み出す、というブレークスルーにおいては
大きな壁となっている。


この形から離れられない。
この形から逃れられない。

もっと有機的な、もっと本質的な形が、この形の向こうにあるはずなのに。


悩んでいる割に進捗が見られない。
悩んでいる割に結果が出ない。

...内面の苦労が報われない、苦しい時期であります。


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はじめて3ヶ月は真面目に行っていたアルバイトも最近は休みがち。

学校にはバイトが忙しいから、という言い訳。
バイト先には学校が忙しいから、という言い訳。
そして双方共に落ちるパフォーマンス。

精神のバランスが崩れると、それに追随して身体の調子まで悪くなってしまうから
人間って不思議だ。


最期の半年分の学費までもう少し。
それを払ったら今度は卒業制作の制作費の捻出。
実寸スケールでの制作検討をはじめてみて、
予想以上に費用か嵩みそうな予感。
...あえて自分でそういう方向に仕向けている気もしなくはないけど。


一山越えて、また一山。
一難去ってまた一難。

くじけそうになるけど耐えねば。

...もう二度と逃げるようなことはしたくないから。
...もう二度と後悔はしたくないから。


最初の頭の中の閃きを、スケッチに描きとめた。
それをCGでブラッシュアップした。
CGはあくまで道具。
これが僕のCGに対するスタンス。
CGの中でのイメージはあくまで過程であって、最終形じゃない。
どんなにCGがキレイでも、それが3Dの現実に出てこないとツマラナイ。

簡単なスケッチの後すぐにスタイロフォームで形を削りだした。
最初は引き算の造形だった。
それが今は足し算の造形にしようとしている。
同じ形でも造形のアプローチを反転させるとまったく違ったものになる。
それが三次元の難しさであり、面白さでもある。
これはCGでは分からない。
三次元スケッチで見つけた形だからこそ、この形は三次元で生きる。
二次元で見つけた形を三次元で生かすのは難しい。


基本となる形を決めると、それを大量に複製するのは、
二次元では手法的にもコスト的にもいとも簡単にできてしまう。
しかし三次元となるとそれは途端に大きな問題となる。
そこが二次元の強みである「無限のイメージの幅」なのだけど、
どんなに幅が無限に広がっても、それは限りなく「薄い」ものである。
そこが二次元の「ものたらなさ」なのであり、二次元は過程、という認識の元である。

とはいっても、二次元を軽んじているわけじゃない。
二次元には二次元の魅力がある。
「時間を切り取る」という魅力。
写真や絵画、彫刻はまさにその魅力の塊だ。
映像は仮想的に時間を流してしまうから、その魅力が半減する気がする。

三次元の魅力。
それは「触れる」という魅力。
「体験する」という魅力。


目の前に触れられるものを。
空間として体験できるものを。

そこまで持っていかねば。

そういうモノを創らなければ。