Form Follows Function ?

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卒業制作の中間審査会まで2週間足らず。

先日プレプレゼンをして、本番前チェック。
3分という短い時間で自分のやろうとしていることをどれだけ伝えられるか。
不安は残るが、まあだいたい方向性はまとまった。


あとはモノを創るだけだ。

どんなにプレゼンデータを作りこんだって、モノがなければ説得力がない。
僕らはプレゼンデータを造るのが主目的じゃないんだから。
プレゼンデータはあくまで補助なのだから。


自分の頭の中のイメージを、見るだけではなく、触れることのできるものとして、
厳然と目の前の現実世界に「モノ」として存在させる。
まずはそれが一番大事だ。

それが良いものなのか、
多くの人の共感を呼ぶのか、
自分の伝えたいイメージがちゃんと伝わるのか。

...そんなことは後から自ずとついてくるだろう。


さあ、楽しい組み立ての時間がやってきた。


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同級生などに「卒制は何を作ってるの?」と聞かれる度に答えに窮する。

ただ、「かたちを作っている」といっても、
相手にはちんぷんかんぷんなんだろうけど、
僕としては今はそう答えるしかない。
実際、今はかたちを作っているのだから。


  Form Follows Function ? (形態は機能に従う?)


僕の卒業制作の出発点はルイス・サリヴァンのかの有名な台詞に
疑問視をつけるところからはじまっているのかもしれない。

20世紀の現代社会では、形態は常に機能に従ってきた。
でもそれで本当に良かったの?...と21世紀の社会は問いかけている気がする。

良い機能は美しい「かたち」から生まれてくる、という考え方もあるのでは?
...だから僕はまず最初に「かたち」を作っている。
できあがった「かたち」から機能を考えてみたいと思う。


しかし「良いかたち」とはどういうものなのか?
それは一意的に決まるものではなく、人によって千差万別なのではないか?
そこで基本ユニットの反復、という方式を採用することにした。
状況によって全体の構成を柔軟に変えることができるように。

そして基本ユニットには「ねじれ」の要素を取り入れた。
基本要素が直線で構成されるHP曲面で有機性を簡単に生産できるようにした。

この流れはまさに「自然」そのものである。
「ねじれ」の「反復」。
...それはまさに我々の身体を構成する基本単位である「DNA」である。
僕の卒業制作のタイトルはここに由来する。


アプローチとしてはなにも新しいものはない。
だけど、それで良いと思う。
今、人間に必要なものは、新しいアプローチではなく、
自然が持っている本来の感覚を思い出すことではないだろうか。
それだけで新しい「かたち」は生まれるし、そこから新しい「機能」も生まれるだろう。

...これが僕が卒業制作で表現したいこと、社会に問いたいことである。


焼き鳥用串がベースの模型レベルから、「間」レベルへスケールアップ。
1間(1820mm)ではさすがにでかすぎるので、その半分のスケールで作ることにした。
材料はいろいろ迷ったけれど、とりあえず木でやることにした。
強度やコスト、加工のしやすさなど総合的に考えての決断だけど、
最終的な決め手は、人に近い自然物、という親しみやすさ、
木が好き、という気持ちによるところが大きいと思う。


スケールがアップすると、模型レベルでの接合部の「ごまかし」もスケールアップする。
その「ごまかし」への対策を考えているうちに、さらなる造形検討のヒントを得た。
これぞ禍転じて福と為す。

材料をハンズで購入し、時間の節約のために切断、穴空け作業まで頼んだら、
思いの外高くついた。痛い出費。
基本ユニットを複数作るときには何かしら方策を考えねば。

部品が用意できたところで、表面のバリをやすって表面仕上げ、
ニスを塗って表面保護。
木を保護するためとはいえ、ニス塗りには抵抗感がある。
地球に優しくない気がして。
何かこれに変わる良い方法はないだろうか。

...と今日はここまで。

明日以降、もう1回表面をやすってウェスで磨いて。
それでやっと組み立て作業に入れる。
そしてやっと基本ユニットが三次元世界に誕生する。

そこから基本ユニット同士の連結方法、全体としての造形、
さらにはそこから導きだされる機能、などを考えてゆかねばならない。

...まだまだやることは山積している。

基本ユニット同士ははたして上手く接合できるのか。
接合できたとして、理想的な全体形は見つかるのか。
全体形が見えたとして、そこから理想的な「機能」は生まれるのか。
未熟な自分のスキルと厳しいスケジュールと財政事情の中で、
はたして最後までやり通すことができるのか。

...不安でいっぱいだ。
しかし、やるしかない。前に進むしかない。


作りながら「機能」が生まれてくる。
それはまさに計画性のない自分の性格から自然に導きだされたものだけど、
よくよく考えてみれば、それは人間そのものではないだろうか。
生まれる前から自分の道が決まっている人などいない。
育ってゆく過程で自らの意志で自分の道を定めていくのが人間だ。

...とカッコつけた文言で自分を納得させる。


それでイイのだ。
まずはポーズでもイイのだ。
時にはあとから本質がついてくることだってある。


ボンボンバカボン、バカボンボン。