丹下健三 伝統と創造 瀬戸内から世界へ展【香川県立ミュージアム】

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JDNの読者プレゼントに当選し、
香川県立ミュージアムで開催されていた丹下健三展に行ってきました。
2013年の瀬戸内国際芸術祭のイベントの一環として、
世界的建築家としての礎を育んだ瀬戸内での作品を中心に展示。


14年間勤めた会社を辞めて、己が求める道を探して入った美大で、
デザインに出会い、建築に出会いました。
結局いまだに建築の道を進むことはできていませんが、
自分は最終的には建築をやりたい、という気持ちはいまだ変わっていません。

といっても、建築を職業として数多くの建物を設計したいわけではなく、
「モノづくり」から「空間づくり」という長いプロセスを経て、
ただ一つ、たった一つ、自分が心から作りたいと思うモノを、理想の環境に建てたい。
そして後世の社会に何かしら影響力を与えるようなモノを作りたい。
それが自分の夢。

そのために気の遠くなるような長い道を亀のごとく遅い歩みで、
ゆっくり進んでいます。
建築とは早急になされるものでも評価されるべきものでもないんじゃないかな。


丹下健三という建築家はその長い行程の中で、
間違いなく無視することのできない天才。


香川県立ミュージアム。

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展示は思った以上にボリュームの大きいものであり、丁寧に構成されていました。
模型は各大学研究所にて木製で大きめのスケールで丁寧に作られており、
中には当時の丹下研で作った実物も展示されていました。
壁のパネルは、鉄筋をベースに組まれているのも面白かったし、
丹下さんでなく、同時代瀬戸内で活躍した建築家たちの展示がしてあるのも面白かった。

学芸員によるツアーガイドも1時間強ほどで丁寧に解説してくれて、
より丹下さんの建築への理解を助けてくれました。


図録も良さげなのでつい購入。

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まずは四国、香川県の丹下作品。

香川県庁舎。

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本展を見る前に見学ツアーに参加しました。


香川県立体育館。

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記帳すれば内部を見学することは可能です。
2013年のはじめに行った見学レポート

残念ながら2014年に老朽化により閉館してしまいました。
愛媛県民館や広島子供の家、駿府会館のように消えゆく運命なのか。
それとも戦没学徒記念館のように見事復活なるか。


続いて愛媛の丹下作品。

今治市庁舎。

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今治市公会堂。

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柱のない、浮遊感のある階段はここでも健在です。

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愛媛信用金庫今治支店。

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残念ながら今治の建築群は中に入ってじっくり見学というわけにもいかず、
外から眺めるのみ。


ひめぎんホール(愛媛県県民文化会館)。

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晩年の丹下さんはちょっと元気がない気がする。


四国を出て、淡路島の戦没学徒記念館

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本土に渡って、広島平和記念公園

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丹下健三の建築に一貫して流れているのは、記念碑的造形=モニュメンタリズムへの強い志向性である。それは明快な構想力と精緻なまでの突き詰められた方法によって実現されている。そして、そこには、いつも、他の建築家にはない、完結性の高い造形を求める独特な美学に支えられた堅固な意志が感じられる。「美しきもののみ機能的である」という1955年に記されたマニフェストがそれを象徴している。おそらく、このことが、彼を世界的な建築家へと押し上げていった個性なのだろう。しかし、それは、同時に、その建築が崇高さと孤独さを併せ持ち、現在の私たちにとって、どこか近寄りがたく、超越的な存在にしている要因でもあるとも思われる。丹下は建築に何を求めたのだろうか。((図録 松隈洋「丹下健三と地方性」より)


建築は基本的に空間的機能を実現するものであるが、同時に巨大な造形表現でもある。
僕は建築のとくに後者の特性に興味がある。

「巨大な造形表現」はいったい人間にどのような影響を与えるのだろうか。
もちろん感動を与えるものであるべきなのだろうが、
「巨大な造形表現」のどこが人々に感動を与えるのだろうか。

そこを掌握しない限り、作るのに巨大なエネルギーを要する建築は実現できない。