地域おこし協力隊ステップアップ研修

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地域おこし協力隊を管轄する総務省と全国市町村国際文化研修所(JIAM)との共催で
開かれた「地域おこし協力隊ステップアップ研修」に参加してきました。

対象は着任2年目から3年目を迎えた地域おこし協力隊、およそ30名。
「次のステップに踏み出すためのアイデア・方策を見つけ出すために必要な
知識や実務能力の向上を図る」のが研修の目的となります。

今月一杯で任期終えるにあたり、現在三年間の活動を報告する報告書を作成中ですが、
まさにこういうツールが欲しかった、という感じでとても良い研修だったのですが、
2年目と3年目の隊員は回を分けて開催してほしかった、と思いました。
2年目の隊員と3年目の隊員ではかなり温度差があり、
その温度差がせっかくの内容の良さを減じているように感じました。

講義や事例紹介が3分の1、残りの3分の2がグループワークでした。
講義や事例紹介は自分がやってきたことをそれなりに裏付ける上でとても参考になりました。
ただ、グループワークについては、
やることはやり、次に何をするか自分的には明確であるが、
それを他人に説明する資料を作りたい、と思っていた自分ににとっては、
他人の情報を知ることよりも、自分の情報をまとめたいという気持ちが強く、
少々冗長的に感じた部分もありましたが、まあこれは個人差なので仕方ないのかな。

総じて期待以上の効果が得られた、良い研修だったように思います。


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総務省による地域おこし協力隊向けの研修は、
初年度の導入研修以来の二度目になりますが、
初年度が千葉県・幕張の市町村アカデミーだったのに対し、
今回は滋賀県・唐崎の全国市町村国際文化研修所でした。

しかしまあ、どちらも似たような施設で、無機質で馬鹿でかく、
気を許すと迷子になってしまいそうな空間でした。
普段人間的な田舎空間にいる人間からすれば、
どこか閉じ込められているような気がして落ち着かず、
一刻も早く出たい気持ちになってしまう。
すごく立派な施設なんだけど。

地域おこしのような人間的な活動を、
このような無機質な空間で論じていいアイデアが出てくるものだろうか。
...と毎回(2回だけだけど)思ってしまうのです。


まあ、それはともかく。
研修の内容は思った以上に良かった。

これまでの活動を整理し、今後の計画を客観的に伝えるものとして、
「プロセスシート」「相関図」「ロードマップ」という3つのツールを使いました。
いずれも斬新的なものではなく、ちょっと考えれば誰でも思いつくような
普通の文書テンプレートですが、日々の活動に追われていると、
客観性を生かす立場の地域おこし協力隊であっても、
なかなかそういう整理ツールに行き着かないもの。

まさに「これだ!」という感じで目からウロコのツールをGETできました。

さしむき研修中は手書きでプロセスシート、相関図、ロードマップを作成、
他のグループはグループでのロードマップをワークショップの成果物として
発表するわけですが、全員三年目でそれぞれ各々の方向性が定まっている
我がグループでは一つにまとめることは到底不可能で意味のないこと、
ということでそれぞれ個別で簡易的なロードマップを発表しました。


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2,3分で三年間の活動をまとめきれるはずもなく。
尻切れトンボの発表になってしまいました。
2年目、3年目一緒くたにされたしわ寄せがここに来た、って感じで残念でした。


ノートパソコンを持参していたので、
研修途中から正式版をしこしことつくりはじめ、帰ってきてさらにしこしこ根を詰め、
なんとかできあがりました。

まずはプロセスシート。

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相関図。

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ロードマップ。

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自分は、着任したときにはすでに地域に地域づくり組織が立ち上がり、
計画書も立てられていました。
とりあえずいろいろやってみる、的な内容だったので、
「何をしたらいいか分からない」的な悩みはそれほど深刻じゃなかったですが、
反面、自分が一番やりたいこと=木工による地域づくりは明確で、
地域も真剣に協力し、環境構築はできてきましたが、
定住自立手段の検討に専念したい、という点ではなかなか集中できず、
結局任期中に定住自立の目処は立ちませんでした。

いろいろ模索しながら、という段階においては仕方のないことで、
僕自身はそれを失敗と捉えたくありません。
この経緯と今後の展開を客観的・端的に説明するものとして、
プロセスシート・相関図・ロードマップはおおいに役立てられる気がしてます。

もっとも、この3つのシートだけで、活動の詳細を報告できるものではなく、
三年間の活動を報告する報告書の中にこの3つのシートを盛り込むことで、
より質の高い報告書を提供したいと思います。

この三年間の活動で自分が得た教訓は3つ。


  1.Small Scale, Great Depth.

  2.アンオフィシャルな情報発信

  3.田舎でもデザインは有効


一番目は簡単にいえば地域づくりは最終的には「広く浅く」より「狭く深く」が大事ということ。
最初にいろんなことをするのはいいですが、リソースが少ない田舎ではそれを長く続けるのは
かえってデメリットになる。いろいろやる中で一番自分たちがやりたいことを明確にし、
それに専念するほうが、周囲へのアピール力になる。

二番目はオフィシャルでは本当に伝えたい一番大事な「本音」が伝えられない、ということ。
行政のような公益重視の組織ではなおさらです。
別段オフィシャルが悪い、というわけではありません。
オフィシャルだけが信用に足る情報源ではない、ということです。

三番目は着任当時に、右も左も分からず、何をしたらいいか分からない状況で、
「自分ができることからはじめる」ことでたどり着いた結論でした。
ただ、それとデザインビジネスが田舎でも有効、という点はまた別物なのかな、とも。
必要だけどその有効性を理解してもらう難しさがある。


こんな感じで残り一ヶ月足らず、残務をこなしながら自分の活動を振り返っていきたいと思います。