地域木材有効活用事業

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過疎地での地域おこしで一番ネックとなるのは「リソース不足」。

人的資源にしろ、経済資源にしろ。


人的資源の確保は一朝一夕でできるものではなく、長い時間が必要。
経済資源もけっしてその確保は簡単なものではないけれど、
方法によっては人的資源に比べれば即効的な確保が期待できる。

その方法の一つが「補助金」制度。
事業開始の段階での資金の確保が一番難しい。
補助金制度を上手に活用して、事業を軌道に乗せることができれば、
それはそれで立派な地域おこしと言えるのではないでしょうか。


自分が取り組もうとしている木工普及活動について、県の補助金を得るべく、
松山へプレゼンテーションをしに行ってきました。

じつはこのプレゼンは二回目。
一回目は別のテーマで、お手伝いという形だったのですが、残念ながら不採用。
幸いにも二次募集があって、今回木工普及活動で補助申請をする機会を得ました。


大学でもさんざんプレゼンはやったけれど、何度やっても緊張するものだね。

大学とはまったく異なる環境ではあるけれど、
やってることは変わらない。

「魅力」を伝えること。
...これに尽きる。


発表資料をカンペと共に記載します。


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まずは、この事業の対象地区である遊子川を紹介いたします。
西予市東部、高知県都の県境に位置する山間の地域で、
平成23年の時点で人口404人、世帯数165、高齢化率47.3%の限界集落となっており、
このままでは将来的に集落の維持が危惧されています。
そこで遊子川の住民で構成される地域活性化プロジェクト、通称「遊子川もりあげ隊」が
2010年に結成され、地域活性化の計画書が作成されました。
本事業はその計画の一分となります。
私はこの遊子川地域に地域活性化要員として今年4月に東京より着任しました。


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遊子川はこのように美しい山や森に囲まれた地域なのですが...


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日本の国土の3分の2は森林であるにもかかわらず、木材の自給率は3割にも満たない状況にあります。


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遊子川でもこの例に漏れず林業は衰退傾向にあり、地域内に放置間伐材、放置竹林が目立ちます。
これらを「資源」として有効活用できないか...というところから本企画ははじまっています。


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活動は大きく以下の4ステップで実行される予定です。
まずは間伐材や竹材などを使い、木工に興味ある人を集めて
家具や照明器具などの木工品を試作します。
同時に良い木工品を作るためのノウハウを研修などで習得します。

次に地域内で木工教室やコンペなどのイベントを開催して、
「木工」の存在を地域の内外へアピールします。

これらのアクションで蓄積された木工品(例えばベンチやテーブル、遊具など)を
地域内に配置して地域の美観作りを行い、遊子川を魅力ある場所にしていきます。

さらに木工品の商品化を検討し、市場開拓をしていくことで、
木工産業の継続的な持続を図っていきます。


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では、木工の専門家のいない現状でどのように展開していくか。
その活動連携図になります。

まず地域活性化プロジェクト「遊子川もりあげ隊」が活動母体となります。
そこへ地域活性化要員であるオレンジ枠の地域おこし協力隊(発表者)が常駐し、
活動を推進していきます。地域おこし協力隊は都会からの移住者で構成されており、
都市部へのアピールにより木工の市場開拓をしていきます。
緑枠の林業従事者と連携して製材のノウハウを吸収します。
茶色枠の地域内の森林管理者と連携することで木材を確保します。
赤枠・黄枠では地域内の老人クラブや小中学校に対して木工教室やコンペなどを実施、
高齢者からは伝統技能の継承し、小中学生からは斬新なアイデアを吸収します。
最後に青枠の行政は地域とその周辺を熟知する組織として、
これらの関連組織との連携を図る役目を担います。


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木工作品のイメージです。
私が遊子川に来る直前に社会人学生として大学の課題で作成したものです。
大学ではデザインを学んだのですが、
このデザインを木工に活かしていきたいと考えています。


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この企画の斬新性、アピールポイントは「異なる視点での取り組み」です。
この企画の特徴は「木工」というゴールに対して、関係者にその専門家がいないことです。
それぞれが「木工」に対して素人でありながら、
それぞれの強みを生かして連携していくこと、
異なる視点で多角的に取り組んでいくことで木工の新しい価値の創造が見込まれます。
価値がないと放置していたものに価値を見いだすことでコストをかけずに新しいものを
産みだし、かつて活用していたものに価値を見いだすことで地域に誇りを取り戻します。


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最後に活動の継続展開について説明します。
木工作品の市場開拓をすることで継続的な経済活動をしていくことがベースに
なりますが以下の施策を加えることで事業の継続性を確実なものにしていきます。
まず定期的に技術研修を実施したり、
木工の先進地との交流・提携することで作品の質を高めていきます。
さらには地域内に木工作家を目指す人の誘致・支援を行うことで地域に木工文化が
根差すことを目指します。

以上でプレゼンテーションを終了します。
ご静聴、ありがとうございました。


伝えたい事は概ね伝えたつもりだけど、はたして伝わっただろうか。
緊張が伝えたい「魅力」を打ち消したりはしなかっただろうか。


前回のお手伝い、というのとは違って、今度は自分が主体となって、
面倒な手続きからプレゼン資料の作成までやらなければならなかったのですが、
地元支所スタッフの手厚いフォローもあって、なんとか無事プレゼンを済ませることができました。

着任当初は地元の行政スタッフとの関わり方がよく分からなかった。
でも、それは相手も同じ思いだったはず。
お互い素性が分からないのだから。

でも、このブログが思った以上にお互いの理解を早める助けとなってくれたような気がする。
思った以上に地元の人がこのブログを読んでくれていて、気がつけば力強い味方が増えていた。
とりあえずブログに活動を記録する、という選択は間違ってなかったようだ。

今回補助が得られれば、それはそれ万々歳だけど、
万が一、残念な結果となったとしてもあきらめまい。

僕には力強い味方がいるのだから。