ガタカ

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近未来。

人の生涯は遺伝子で決定される時代。
自然の選択ではなく、人自らの操作で優秀な遺伝子を作り出すことのできる時代。

自然の選択により劣等遺伝子として生まれたヴィンセントの夢は宇宙飛行士。
しかし劣等遺伝子、というだけでその夢ははるか遠いものだった。
夢をあきらめきれないヴィンセントが選択した道は...


とても美しい映像に仕上がっていて、映像美だけでも見る価値があります。
この映像美に出演しているイーサン・ホーク、ジュード・ロウ、ユマ・サーマンが
またぴったり合うんだな。

しかし映像美に輪をかけて扱っているテーマが素晴らしいと思った。

冒頭で表示される訓戒。


  「自然は人間の挑戦を望んでいる-W・ゲイリン」


...自然は人間の挑戦を望んでなどいない。

自然がそのすべてのメンバーに望んでいるのは「調和」だ。

人間はなぜ宇宙へ行くのだろう。
宇宙を創造したのは誰なのだろう。

神は天と地を創造した、と聖書にあるけれど、
宇宙を創ったのが誰かを書いている書物はない。
宇宙もやはり神が創造したのだろうか。

僕にはこれらの問いに対する明快な答えを出せないまま、
ただ人類は地球を離れるべきではない、と感覚的に思っていた。

この広い宇宙に生命体が存在するのは今のところ地球だけ。
生命というものが存在するのが地球だけなのか。
はたまた地球の生命体と地球外の生命体との距離が
接触できないほど遠い距離なのか。

どちらにせよ、違う種同士の生命体の接触は簡単には許されてはいない。
それは同じ地球上においても例外ではない。
生きていくために必要最低限でしか彼らは接触しない。
...人間という例外を除いては。

なぜ人間だけが「共存」を望むのだろう。


科学が人間に高度な文明の所有を可能にした。
計算によりより良い環境を創りだしてきた。

しかしすべてを計算で導きだすことはできない。
最後に必要なのは「感覚」だ。
感覚を意識し、それをコントロールするための強い意志だ。
優れたエンジニアはそのことを熟知している。


劣等遺伝子を持ったヴィンセントが、優等遺伝子を持った弟に、
泳ぎの競争で勝てたのはなぜだったか。
なぜ宇宙に行きたいと思ったのが弟アントンではなく、ヴィンセントだったのか。


科学に運命は切り開けない。
運命を切り開くのは自らの感覚であり、強い意志だ。


  「命は宇宙の塵の中から生まれたという。
   僕は自分の生まれた故郷に帰るのかもしれない。」


人が宇宙を目指すのはやはり原点回帰ということなのだろうか...