ついに完結。
これまでの謎が一気に解決される。
しかし最後の最後まで引っ張りますね、相変わらず。
付録2冊にまで引っ張ったということは通常版ではこの最後は見られない?
しかし大胆なりメイクをした割りには最後はオリジナルに忠実でしたね。
しかしまたそこが良かった。
ロボットという偶像を通して人間の本質に迫る。
人間は対極を通してでしか自分自身を理解できない。
「最高の人工知能というのは嘘をつく。
自分自身に対しても嘘をつく。」
この言葉に人間だけが持つ特質が表れているのではないだろうか。
「嘘をつくことは悪いことだ」と幼少時に親に躾されてきた。
しかし嘘をつけるのは人間だけだ。
生物の中には擬態という特殊能力を使うものもいるけれど、
「欺く」ことと、「嘘をつく」ことは違う。
彼らは「生きる」という衝動に正直であるために敵を欺く。
嘘という虚無を選択するのはやはり人間だけだ。
オオカミ少年ではないけれど、
虚無を選択することを習慣づけてしまうといつかは真実を見失ってしまう。
その意味では嘘をつくことはやはり良くない。
しかし時には嘘をつくことで守れる愛がある。
本質的には「嘘」とは、愛の姿なのかもしれない。
分かりやすい正義と分かりやすい悪。
昔はそれがアニメの正道だった。
そんな時代に「憎みきれない敵」を描いた手塚治虫は
やはり時代を一歩先行く天才だったのかもしれない。
そして古き良き時代を忘れた現代で
そんな手塚治虫に再注目した浦沢直樹もまた天才なのだろう。
「本当に悪いやつ」なんて存在しない。
そのことにすべての人々が気付けばこの世界に無用な争いはなくなる。
...アトムはそれを教えてくれた。
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