PLUTO 第6巻 【浦沢直樹】

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待望の第6巻。

ロボットは人間の「代用」として誕生した。
人間が立ち入ることのできない危険な場所での作業。
気の遠くなるような単純作業の繰り返し。
そんな人間のいやがる仕事をロボットは文句一つ言わずに黙々とこなす。


そんなロボットが意志を持ったら。感情を持ったら。

ロボットは人間に対してなんと言うだろう。

ロボットは単にフィジカル面のみの代用だけでなく、
精神面においても人間の代用的な存在として、その存在意義があると思う。

人間に近いが人間ではない。
そんな人間の対局の存在を作ることで人間は自分自身を知ることができる。


  「あまりに高度な人工知能を備えてしまったロボットがいたとしたら...
   どうなると思いますか?」

  「目覚めないね」

  「なぜです?」

  「自分が何者になるか迷うからだ。
   全世界60億の人格をシミュレートとするのに無限の時間がかかる。
   だから目覚めない。」

  「どうしたら目覚めると思います?」

  「極端な感情を注入するんだ」

  「憎しみ...怒り...悲しみ...
   さて、どんなロボットになって目覚めるかな」


迷ってるときは何も進まない。
迷いから抜け出すために必要なものは...極端な感情なのか?


  「処理しきれないんです」

  「何を?」

  「膨大な悲しみの量を...
   ゲジヒトのこと...どんどんどんどん鮮明に...
   私...どうしたらいいか...」

  「ヘレナ...
   泣いてごらん。
   そんな時、人間は泣くんだ。
   そう...最初は真似事でいい。」

   (ヘレナ号泣)

  「そうだ素晴らしい。真似でもそのうち本物になる。
   私のように、本当に泣けるようになる。」


泣くことで、涙を流すことで人は処理しきれない感情を洗い流すことができる。
でも泣きたいときに泣けない人間もいる。

そういう人間はなぜ泣けないのだろう。
涙を流すことに対して何を恐れているのだろう...

泣けない人間は泣き真似をするしかない。
そうすればいずれ本当に泣けるときがくるだろう。
そしてそのとき処理しきれない感情を全て洗い流すことができるだろう。

そうすれば心から笑えるようになるだろう。


...きっとね。