ついこの間劇場公開されていたかと思いきや早くも廉価版DVD登場。
世の中の流れは速い。
「マトリクス」のウォシャウスキー兄弟が制作・脚本、
ヒロインに「レオン」のナタリー・ポートマン。
あの「レオン」の小さな女の子がこんなに立派な大人になって...
とこれまた時の早さを感じちゃうわけです。
そしてあのウォシャウスキー兄弟だけにド派手なアクション...
かと思いきや、いや実際派手なんですが、「マトリクス」よりは
現実的で、シックで、哲学的というか、なんか「マトリクス」の頃よりも
おとなしめだけどそのぶん大人になったというか、成長したというか、
我ながら偉そうな発言ですが、正直なところそう感じた。
ぶっちゃけすごく良かった。
3回連続で観ちゃいました。
復讐に生きる仮面の男「V」。
ひとりの女性「EV(イーヴィー)」と出会うことで愛を知る。
一言で言えばそんな物語。
まさにバットマン・テイストのダーク・ヒーローもの。
物語そのものはコミックが原作なだけにありがちですが、
この作品の良さは全体としての「美しさ」にあると思う。
まずセリフが美しい。
数々の美しい台詞。
「"人"よりその"理念"が大事という
人は失敗し 捕まり 殺され そして忘れ去られるから
だが400年後でも"理念"は世界を変えられる
理念の力を私は見た
理念の下に人を殺し−理念のために死ぬ
でも理念にキスはできない
そして理念を抱くことも
理念には流す血もなく 痛みもない 愛することもない
私が求めたのは理念ではない
”11月5日"を教えてくれた人
私は彼を忘れない」
「その者 数々の悪事をまといし者なり
血糊のついた太刀を持ち−
高々と振りかぶる
殊勝な振る舞いで−
己の悪魔を覆い隠すは人の常」
「休暇を取って不在の"正義"と−
代わりに住みついた"偽善"に敬意を表して...」
「平穏な毎日は確かに捨てがたい
同じことの繰り返しは確かに安全だ
...(中略)...
だが言葉には力がある
"意義"もある
真実を明らかにすることもできる」
「政治家はウソを語り 作家はウソで真実を語る」
「男となるに必要ならば何でもやろう」(マクベス)
「真実の力により我宇宙を征服せり」(ファウスト)
「かくして聖書から盗んだ決まり文句で−
己の悪事に服を着せ−
悪魔を拝みながら聖人を装う」
「ダンスのない革命など革命に値しない」
「なぜ死なない?」
「仮面の下にあるのは"理念"だからさ
理念はけして死なない」
そして美しい舞台構成、美しい映像、そして美しいアクション。
ウォシャウスキー健在、といったところでしょうか。
そしてナタリー・ポートマンが美しい。
特に泣き顔。レオンの時に見せたあの泣き顔は今も変わらない。
それでいて役柄とはいえ坊主頭も厭わない芯の強さ。
人を惹きつける泣き顔とそこに潜む芯の強さ、という点では
蒼井優と同じような魅力を感じます。
Vendetta(血の復讐)というタイトルだけど、
結局憎しみからはなにも生まれず、すべては愛から生まれる、
というこの世の大原則をあらためて感じさせてくれる作品でした〜
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