スリーパーズ

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HDDレコーダに録れていたのでみたのですが。

ちょっとした悪戯で傷害事件を起こしてしまい、
少年院に入ることになってしまった4人の少年。
しかしそこでは看守らから暴行、性的虐待を受け、
心にぬぐうことのできない傷を負うことになる。
成長後、4人は別々の人生を歩んでいたが、そのうちの二人が
かつて虐待をした看守に再会し、殺してしまう。
二人を救うため、またかつての復讐を果たすために
もう二人はあらゆる手を尽くして...

...そんな感じの物語です。
救う側の二人をブラッド・ピットとジェイソン・パトリック、
二人の弁護士にダスティン・ホフマン、
少年らを虐待する看守をケビン・ベーコン、
証言に立つ神父役にロバート・デ・ニーロが演じてます。
ダスティン・ホフマン特集の一環として放送されたようですが、
ホフマン演じる弁護士自体は物語の中ではさほど重要な位置ではなく、
キーマンではありません。端役といってもいいくらい。


正直観終わったあと、あまりいい気持ちにならない。
複雑な心境になります。

どんな復讐も正義とみなすわけにはいかない。
それを認めれば戦争を認めることになる。
大げさかもしれないけど僕はそう思います。

どんな復讐なら許されて、どんな復讐なら許せないのか。
その境界線は人によって異なり、そのどれもが間違っているとは
いいきれないから。

嘘をついてはならない神父に嘘の証言をさせ、苦心して救ってもらった
にも関わらず、結局二人は30を前にして野垂れ死にしてしまう。
看守の虐待さえなければ、そんなひどい人生を歩まずにすんだ、
という同情もあるかもしれない。でも結局それは言い訳だ。
事実別の二人はまっとうな人生を歩んだのだから。

それは運命の差だけだと、この作品の監督はいうだろうか。
僕はそうは思わない。

結局二人は弱く、もう二人は強かった。
それを言いたかったんだと思う。

彼らほどじゃないとはいえ、誰だって一つや二つ傷はある。
その傷を理由になにをしてもいいわけじゃない。

その傷を受け入れ、その傷を人に与えないようにすること。
それが強く生きる、ってことじゃないのかな。


一方で彼らの友情が羨ましかった。
もし自分が窮地に陥ったとき、はたして助けてくれる友がいるだろうか。
友人はいるけれど、「いる」と言い切れない自分もいる。


傷を受け入れることのやるせなさと、人を信じきれていないやるせなさ。
この2つのやるせなさが
この物語をどうにもすっきりしない気持ちにさせてしまうのでしょう。