ゲド戦記

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ゲド戦記を観てきました。
原作を読んですっかりファンになってしまい、
この映画の公開をずっと楽しみにしていました。

が、この映画は原作者・ル=グウィンさんをはじめかなりの
物議をかもし出しているようです。
観にいった人の感想を聞いても「よかった」「つまらなかった」など
じつにさまざま。

僕的には「面白かった」。
ただ原作を読んでいない人には確かにつまらないかも、とも思った。
アニメというジャンルから多くの子供たちが観ると思われますが、
その子供たちが果たして楽しめるか、というと疑問です。
ラピュタやナウシカのようなワクワクはない。

吾郎監督の「真面目さ」が作風に出ていると思いました。
(吾郎氏がどんな人柄なのかは知りませんが)
つまりこの映画は「生真面目すぎる」と思うのです。
生真面目すぎてツマラナイ。

でも原作に惚れ込んでいる人なら。
多かれ少なかれこの映画は観る価値があると思います。
僕はあると思った。

この映画に対する賛否両論はまさに原作に惚れ込んでいる人たちの
映画の捉え方にあると思います。

原作とはまったくの別物語だ、という人もいます。
確かに原作とはかなり異なる部分もあります。
例えば、アレンは父親を殺したりはしない。
しかしそれ以外原作と「まったく異なる」部分があるとは
僕には思えないのです。
原作にあるものが描かれていない部分は多分にあると思いますが。
そう、原作にあるものを描ききれていないことが、
「原作とまったく違う」という表現になっているのだと思う。

しかしそれは仕方がないと思う。
全6巻にもわたるこの壮大な物語をたった2時間の単発モノで
表現しようとすること自体が無理なのです。
「ナルニア国物語」や「指輪物語」の他のファンタジー同様に
この物語もシリーズ作品とすべきだった。
単発モノにしてしまうことでこの物語の壮大さが失われてしまった。
この点はとても残念に思いました。

テナーはどうやって暗黒の世界から光の世界へ連れ出されたのか、
ゲドの頬の傷はどのようにしてできたのか、
ロークの魔法学院のようす、人と竜の関係など要所要所で
キーポイントは見受けられるけど思う存分描ききれていない。

映画創りもビジネスである以上吾郎監督も、
いろいろと割り切らねばならない部分もあったと思います。
それがところどころ見え隠れするキーポイントにうかがえました。

だから僕は「サイコー!」という賛辞が贈れないまでも、
「いい作品だった」といいたいのです。