ニューヨーク、サンタモニカ、そして東京はお台場へやってきた移動美術館、
"ノマディック(遊牧する)"美術館に行ってきました。
六本木で同氏の作品展「animal totems」をみてきたばかりですが、
同じように映像も写真もセピア調の色彩で表現されており、
写真は焼付けの生地のせいか、まるで精緻な絵のように見えます。
それがまた幻想的な度合いを高めている。
映像の中のすべてのものはゆっくりと時間が流れている。
その時間の流れるスピードが自分の時間とシンクロしているのか、
とても惹きつけられるものがありました。
CG全盛のこの時代にこれだけの作品がデジタル処理なしに
表現されているのが驚きです。
水中でジュゴンと舞う。
古代遺跡の中で鷹と舞う。
古代遺跡の中で象と佇む。
砂漠の中でチーターと佇む。
本来、人間はもっとゆっくり生きるべきではないだろうか。
先を争って新しいものを創造し、非効率なものを排除していくことは
進化、という点では確かに劇的な効果をもたらした。
しかしその一方で、大切なものも見えなくなってしまった。
その大切なものを犠牲にしてまで進化することに意味があるのか。
常識に囚われたままではグレゴリー・コルベールの世界に入ることはできない。
常識を捨て、邪念を捨て、疑念を捨てる。
...そうすることで人は忘れかけていた"共有の喜び"を思い出すことができるだろう。