多摩美オ-プンキャンパス'08【Day2】

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オープンキャンパス2日目。

今日の目玉はなんといっても佐藤直樹先生と佐藤卓氏のダブル佐藤の対談。

昨日の針谷健二郎さんもけっこうすごい人なんだろうけど、
今日はなんたって単独で美術館1つを使って展覧会が開催されるほどの人。
たくさん人が来るんだろうなと思って開場15分前に席取りに行ったのですが...
意外にも誰一人いない。

...それでも定刻頃には人でいっぱいに。


佐藤卓さんはとても気さくな人でした。

しかしデザインについてとても考えさせられる対談でもありました。


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今日のお題は「デザインとリテラシー」。

リテラシーという言葉がよく分からなかったので、辞書を引くと
元々は「読み書きの能力。識字。」という意味で、そこから転じて
「ある分野において対応するために必要な知識、能力」という意味もあるみたいです。

つまりデザインリテラシーとはデザイン分野に対応するために必要な知識と能力、
ということになります。うーん、これは興味深い。


しかしこのテーマはデザイナーにとって永遠のテーマだ。
...佐藤卓といえど明快な答えはくれないでしょう。
この点に限って言えば昨日の針谷健二郎氏の

  「フォーマットではなくイメージを大切にする」

というメッセージのほうがこのテーマへの明快な解として与えてくれた気がします。


しかし昨日の針谷氏と同じく佐藤卓さんも佐藤直樹先生も勉強はからっきし、
というエピソードはいかに日本の学校が実社会で役に立たないか、ということを
如実に表しているような気がして凹みました。
才能は学校というスケールじゃ測れない、ってことなのか。

じゃあ自分はなんのために高い学費を出してこの歳で大学に入ったのだろう。
どんなにいい成績を出してもそれはなんの意味も持たないのだろうか。
学習の真の成果は自分自身で確認すべきこととは百も承知のはずだけど、
それでもそんな疑問がちらついてしまう。
これも自分の弱さなのでしょうか。


僕は二十歳でエンジニアとして社会に出て14年間働いてからこの大学に来た。
エンジニアリングは客観的で絶対的な評価を下しやすい職種だと思う。
自然の絶対的法則に重きを置くから。

一方デザインは自然の相対的な部分である「関係」「表現」を考えるので
エンジニアリングに比べてその評価がすごく難しいと思う。
だからデザインはエンジニアリングに比べて発展が遅れたのではないか。
...そんな気がするのです。


もう一つの疑問。

  「デザインにエゴは要らない」

...本当にそうなのだろうか?


では年々アートとデザインの垣根がなくなってきているのはなぜ?
エゴを強く押し出すアートがデザインの領域に入ってきてるのはなぜ?

エゴはあればあったで邪魔なもの。
なくてすむならできるだけないほうが関係はすっきりする。表現も分かりやすくなる。
しかし人間はエゴがあるからここまで進化したのではないか。


モノを創る過程でエゴを排除する傾向。
それは20世紀におけるマスプロが犯した過ちではなかったか。

そんな気がしてならないけどそれを反証するだけの理論が僕にはまだない。
だから悩ましい。


この複雑な時代、悩んでいない人などいない。
悩んで人は進化する。
すっきりとした解より、悩むきっかけを与えた佐藤卓氏はやはりスゴイ人なのかな。