Salt&Pepper【プレゼン】

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

salt_pepper5.jpg

pd2_s3_sketch.jpg


「生活デザイン」第1課題、「Salt&Pepper」のプレゼンが終わりました。
この歳になってもプレゼンは苦手です。
いまだに緊張して伝えたいことの8割くらいしかしゃべれず、
残り2割を後悔する。


...その後悔を無駄にしないためにブログで再整理するのです。


作品名: 「HUG」

ターゲットは一般的な家庭の食卓。
テーマは「手間を楽しむ」。
この手間という言葉には2つの意味を込めています。


salt_pepper6.jpg


手間その壱。

「手間空き」。

つまり使ってないとき、ただ食卓に置かれているときの「佇まい」を楽しむ。
食卓はみんなが集まる場所。
そこでみんなの心をほぐす、和ませ、楽しい雰囲気を醸し出す。

その造形として「抱擁」という愛を具現する行為を表現しました。
実際のところ、今回の作品はすでに市販されているHUGという製品
多分に意識しており、作品名も同じ「HUG」にしています。
値段設定も競合製品ということでこの製品と同じ3,000円にしました。
(あくまで課題上の仮想設定です)

ただ作品作りにおいてはあくまでそこから小さなインスピレーションを受け、
自分なりのコンセプトを展開してゆき、形を再成形しました。
影響を受けて形は似ているかもしれませんが、中身は似て非なるもの...
...と自分では思ってます。

なにか新しいものを創りだすとき、
ゼロから生まれるものなんてほとんどなく、
既にあるものの一部を継承したり、バージョンアップしたりして
生まれるものではないでしょうか。


造形は具象ではなく、抽象であることを心がけました。
具象は多くの人に伝えたい内容を的確に伝えられるけれど、
そのぶん伝えたい内容の質は希薄となり、安易なものになる。
抽象は的確に伝えるための造形は難しいけれど、
上手くはまったときには深い本質に共鳴し、長く愛してもらえる造形になる、
そう思うのです。
どうせやるならそういう造形に挑戦的でのぞみたい。

抱き合ってる人がどういう人か、なんてことはどうでもいい。
「抱擁」という行為そのものを伝えたかった。
そこで柔らかさと安定性を彷彿させる丸みを帯びた三角錐を傾けて
お互いもたれ合うような造形とすることで抱擁を表現しました。


手間その弐。

「使うときの手間」。

この作品に人に見せるたびに「SaltとPepperは分離するの?」って言われます。
たぶん分離した方がふつうに使いやすいからでしょう。

しかしこの作品は分離しません。そしてそこがこの作品のミソでもある。
世の中なんでも便利にしすぎる。それで見えなくなったものがたくさんある。
ものを工夫して使う、工夫を楽しむ心を見失っている。
そんな気がしてならないのです。

だからこの作品ではあえて使い勝手を悪くしてみました。
塩をかけるのにペッパーの入れ物もついてくる。
人によってはいろんな持ち方、使い勝手が考えられる。
工夫して使いやすい方法を人それぞれが考え、その手間を楽しむ。
実際の材質とは陶器を考えているのですが、陶器は落とすと割れる。
つまり取り扱いにそれなりの注意を要します。

注意を払ってHUGに注目する。
注目すると愛らしい形が目に入ってくる。
あれこれ工夫してHUGに触っているうちにさらに愛着が湧く。
...そうしてさらに長く大切に使ってもらう。

実際にこのコンセプトが存分に表現されているかどうかは別として、
これが今回の作品で僕が表現したかったことです。

最初のインパクトは弱いかもしれない。
でも最初のインパクトになにかを感じこの製品を買ってくれたなら、
きっと長く大切に使ってくれる。
「売れるもの」よりも「長く使ってくれるもの」。
そういうものを自分は創っていきたい。


モックアップとはいえ、やはり作るのは大変でした。
直方体のスタイロフォームから削りだしての造形、
表面の仕上げ、塗装まで単純な作業の繰り返しだったけど。
素材を知らない、製法を知らないという未熟さが露呈しました。
でもだからこそ良い経験になりました。
また一つ、表現の幅が広がりました。

いろんな先生に見せたところ、共通して、
「中央の白と黒の境界線が不自然だ」という指摘を受けました。
自分自身は深く考えず安易に半分で割った、という感覚でしたが
プロの目はやっぱり鋭いなあ。

まあ反省点はいろいろありますが、
それでも自分ではこの作品が気に入ってます。
そしてそれはやはり良い成果だと思うのです。

どんなに多くの人が褒めてくれても自分が納得できなければ幸せじゃない。
人に問題を指摘されたくらいで、愛着を失うようなものは作りたくない。
自分で好きになれるものを創ってはじめて
多くの人に受け入れてもらうためのスタート地点に立てるんじゃないかな。

今回もいろいろ勉強になりました。


第二課題は「夏」をイメージした香水の瓶とパッケージ。

Salt&Pepper以上に自分には縁のないものだけにさらに苦労しそうです。
でも「知らない」という視点で見つかる目新しさもあるんじゃないかな。

まずは中に入れる香水のイメージパネル作り。

...頑張ります!