自分を建築に惹きつけるもの

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「生活デザイン」の課題でソルト&ペッパーのデザインをしています。


時間の都合上実物を作るまでには至らず、スタイロフォームでのモックアップ止まり。
結局機能の追求というよりは、「機能による形態の追求」というのが
この課題での目標のように感じます。


形態にこだわりのある自分にとっては願ってもない課題なのだけど。


ものづくりの会社にいながらものを創ってこなかったツケがここで現る。
シンプルだと思っていた形がいざ作るとなるとなかなか形にならない。
粘土による付け足しだと容易な造形が、
スタイロフォームで掘り出し、となると途端にその造形が難しくなる。
先生に質問しても先生にもよく分からない、いうほど複雑な造形らしい。


造形と素材と加工法の適切な選択。
これもものづくりにおけるポイントのようです。


今回は課題の条件として「スタイロフォームで作ること」となっているので、
まあ掘り出しの練習だと思って複雑な造形にチャレンジします。

無事完成しますように。


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二十代の頃はデザインやアートなんて自分には縁のないものだって思ってた。

それが三十代にしてこんなにも自分の頭の中を占めるようになるなんて。
...人生って不思議。


八王子への転学を大学の助手さんに相談したとき、
自分がモニュメンタルな建築が好きだということから
「彫刻はどうなの?」って言われた。

造形には多いに興味があります。
逆に形のない「機能」について追求することにはそれほど魅力を感じてないと思う。

単純に造形だけを追求していくだけならなるほど、彫刻も面白いかもしれない。
しかし彫刻はあまりにも未知の世界だ。
だから正直ピンと来ない。

建築も同様に未知の世界なのだけど、彫刻ほど遠い世界に感じないのはなぜだろう。
それなりに知識を積んできたこともあるかもしれない。
しかしなにより彫刻と建築の差異を考えたとき、
彫刻に「機能」は必ずしも含有されないが、
建築にはどんなにモニュメンタルなものでも「機能」が付随する。

...そこなんだと思う。
見えないものを見えないままに考える情報デザイン。
見えないものを二次元の見えるものに変換するグラフィックデザイン。
見えないものを三次元的に触れることのできるものに変換するプロダクトデザイン。
そして空間を内包するプロダクトデザインである建築。


「見えないもの」って機能だけじゃなくて思想や哲学などがあって、
それらを形にするのがアートなんだと思う。
じゃあ「機能」ってなに?...ってことなんだけど、
広辞苑(電子辞書)で引いてみると、

「物のはたらき。

 相互に関連し合って全体を構成している各因子が有する固有な役割。

 また、その役割を果たすこと。作用。」

とあります。
「相互関連」というところがミソじゃないだろうか。


エゴから社会への流れ。それがアート。

一方エゴから社会、社会から別のエゴへ。それがデザインなんだと思う。
そしてそれは「コミュニケーション」とも言える。


見えないものを見て触れることのできるものに。
外からも内からも眺めることで徹底的に「見えないもの」の正体を追求する。


それが自分を建築に惹きつけるものの正体なのかな。