Salt&Pepper

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[『Hug』 by Alberto Mantilla]


PDコース第3セッションの授業は「生活デザイン」。
第1課題はSalt&Pepperをデザインします。


デザインやエンジニアリングの究極の目標は幸福な社会の実現だと思う。
しかし「幸福であること」=「便利なこと」ではないと思うのです。
もちろん世の中を便利にすることは幸福な社会の実現の一端を担うものだと思う。
でもそれが全てではない。

逆にあまりにも効率化しすぎて、便利にしすぎて見えなくなった幸福というものが
現代社会では増えてきた気がする。


その見えなくなった「幸せ」を再発見する。
手間を楽しむ。

...それが今回自分がSalt&Pepperのデザインで表現したいことです。



[ANELLO SaltJ&Pepper]


電車や車の車窓から流れる景色を眺めるのが好き。

しかし新幹線はあまりにも速すぎてじっくり風景を眺めることもできない。
一瞬にして風景が流れてゆくさまを眺めるのもそれはそれで楽しいのですが。


20世紀はマスプロによる効率化、高速化により世の中は格段に便利化した。
しかしあまりにも目の前の状況だけ見すぎて、便利化する本来の目的を見失った。
本来「しあわせ」になるためにやってるはずの便利化が、
あまりのもスピードに人々がついて行けず、コミュニケーションレスになってしまい、
かえって不幸せなものになっている...

そんな風に思えてならない。


だから自分は今回便利さを追求することはいっさいしない。
元々シェーカータイプのSalt&Pepperは振って調味料が適量振りかけられればよく、
機能としてそんなに追求してゆくものでもない。
本来の機能とは別の付加価値をつけることで価値を上げたい。

自分自身Salt&Pepperを持ってないし、日々の生活において必要性を感じていない。
そんな自分がSalt&Pepperを欲しくなるにはその新たな付加価値が必要だ。


そんなに使わないけど、でも食卓の上に置いておきたい。
置いておけば使う。
自分で味付けがしてみたいと思うようになる。
自分で食事を作ろうと思うようになる。
そしてもっともっと使うようになる。
ますます愛着が湧く。
ものを大切にする心がよみがえる。


...21世紀のものづくりはかようなものであるべきじゃないかな。