卒業生にインタビュー

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写真: 多摩美術大学造形表現学部デザイン学科サイトより


少し時は遡って。

卒業制作の展示が終わってほっとしているところへ、
学校のHPに掲載するインタビューを受けました。

今年卒業するデザイン学科の4年生で、各コースから一人ずつ。

テーマは、学生生活を振り返り、
後輩や将来入学を検討している人たちへのアドバスを、といった感じのもの。


ふと、学校のHPを見てみると、
そのときのインタビュー記事が掲載されてました。


  多摩美術大学 造形表現学部 デザイン学科 | STUDENT REPORTS
  第12回 | 卒業生にインタビュー


入学を検討されている方へ、一助になれば幸いです。


こういうブログをやっていると、よく入学の相談を受ける。

自分は入学する前にオープンキャンパスに一度きて失望し、
在校生にヒアリングすることもまったくしなかったものの、、
最終的には「第六感」で入学を決めた。


まあ、それでも僕はこの4年間を後悔などしていないし、
逆にとても充実したものにすることができた。


結局他人の言葉は自分の背中を押してくれるだけでしかなく、
実際に一歩踏み出すのは「自分」なのだ。

そのことをしっかり自覚しなければ、
どんなに事前に念入りにチェックを入れたとしても、
大学生活を全うすることは難しいのではないだろうか。


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[写真: tadaoh 秋の紅葉もいい感じ]


大学に行こうか、行くまいか。
会社を辞めるか、辞めないか。
予備校に行こうか、行くまいか。
多摩美の夜間か、ムサビの通信か。

大学に入る前、悩んだのは上記の4点かな。

思い返してみると、ほとんど誰にも相談しなかった気がする。
だから会社を辞めて大学に行くことを周囲に伝えると、
びっくりされて、今の安定を捨てるなんて、なんてバカなんだ、と反対されたりもした。

もちろん一番悩んだのは二番目の会社を辞めるかどうか。
半年くらい悩んだ気がする。
睡眠障害に陥るほど、体調を崩したりもした。
でも、大学に行くことを決意すると、
不思議なことに、会社に行きながら通う、という選択肢は自然となくなっていた。
そして身体の不調もいつのまにか消えていった。


予備校も行ったほうがいい、という事前情報があったけど、
オーキャンで先生に相談したところ、別に行かなくていいんじゃない?的な対応と、
過去問を見る限りの、社会人入試はデッサンテストもないし、
別に行かなくてもいっか、ってな感じで行かなかった。

デッサンテストのある現役生は、確かに絵の上手い学生が多い。
しかし、その絵の上手さが、デザインの上手さに繋がるか、というと、
必ずしもそうではない気がする。
デッサンのスキルがまったく不要だというのではなく、
デッサンのスキルをデザインのスキルに結び付けるには、
もう一つ、何かスパイスが必要だと言いたいのである。

しかし、そのスパイスが何なのか、学校側ははっきり明言してくれなかったし、
デザインスキルを判定するためのちゃんとした定規も持ち合わせていない。
それがデザインカリキュラムの現状だと思うのである。
それはエンジニアリングの長き歴史に対して、
デザインの歴史の浅さを考えれば、仕方のないことなのだろうか。

エンジニアリングに必要なものは論理的思考と計算能力である。
これらは比較的客観的尺度を設けやすく判断しやすい。
一方デザインは、感情分野を扱うものであり、
客観的尺度を設けにくいのもあると思う。


最後の多摩美の夜間か、ムサビの通信か、という選択については、
もうコストパフォーマンスの問題でしかない。
ぐーたらな僕には通信は無理のような気がした。
それにスクーリングとかで費用も思ったよりかかってしまう。
要領の悪い僕には、一度か二度しかない出会いよりは、
4年間がっつりつきあっていく仲間がいることのほうがずっとよかった。
しかし、お金の工面は本当に大変だったけど。
折からの不景気もあって、自力ではどうにもならず、
奨学金を借りたり、友人から借りたり。


優秀学生の称号をもらっても、
コンペで何か賞を獲得したわけでもないし、
デザイナーとしての道に乗れたわけでもない。
周囲から見れば、あれだけごちゃごちゃ言ってても、
「なんだ、こんなもんかよ」という人もいるかもしれない。

でも、気にしない。
気になるけど、気にしない。

他人の風評は半分流す程度に聞くくらいでちょうどいいのである。


まずは自己満足することが大事なのである。
自分が満足できなくて、他人を満足させることなんてできないのだから。

自分の中の小さな成長を感じられることが大事なのである。
たとえ大きな目標が達成できなくとも、
大きな目標を設定することで、毎日が「少し」充実することが大切なのである。
達成できるかどうかが問題なのではない。

もちろん目標を達成できれば言うことなしだけど、
達成できるかどうかは、
努力だけではなく、能力だけでもなく、運もあるのだから。

人生どれだけ楽しめるか。
それが重要なのである。


スキルとか、卒業後の職の確保が目的ならば、
この大学はあまりオススメしません。
桑沢とか専門学校行ったほうが効率いいのではないでしょうか。
(桑沢のことはよく知らないけど)


人生楽しみたい人はどうぞ。
人生の幅を広げたい人はどうぞ。

そういう人は入って損のない場所だと思います。