四国唯一にして日本最大の特別名勝・栗林公園に行ってきました。
栗林公園の起こりは、16世紀後半、当地の豪族佐藤氏によって、西南地区に築庭されたことに始まるといわれ、1625年頃に当時の讃岐国領主・生駒高俊公によって紫雲山を背景に南湖一帯が造園され、現在の原型が形づくられました。
その後、1642年に生駒氏に代わって高松に入封した初代藩主。松平頼重公の時に園内六十景命名をもって完成し、明治維新に至るまでの228年間、松平家11代の下屋敷として使用されてきました。
明治8年に県立公園として一般公開されるようになり、昭和28年には、文化財保護法による「特別名勝」に指定され、今日に至っています。
国の特別名勝に指定されている文化財庭園の中で、最大の広さ(約75ヘクタール)を持つ栗林公園は、緑深い紫雲山を背景に六つの池と十三の筑山をを巧みに配し、四百年近い歴史を誇る江戸初期の回遊式大名庭園として、すぐれた地割り、石組み有し、木石の雅趣に富んでいます。(パンフレットより)
芸術上または観賞上価値が高い土地について、
日本国および地方公共団体が指定したものを「名勝」と呼び、
さらにその中でもとくに重要なものとして指定されたものを「特別名勝」と呼ぶ。
日本には36の特別名勝がありますが、四国にはただ一つ、栗林公園のみ。
そしてこの公園は日本最大の特別名勝でもある。
瀬戸内国際芸術祭など高松に行く機会がよくあり、
この庭園の前も何度となく通っているのだけど、今回ようやく訪れることができました。
市街地のど真ん中にこんなに大きな自然庭園があるなんてびっくりです。
フランスの旅行ガイド「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」において、
栗林公園は「わざわざ旅行する価値がある」として、三つ星施設に記載されているそうです。
また、明治時代の教科書には日本の三名園(兼六園、偕楽園、後楽園)よりも「木石の雅趣」が優れている、と記されているのだとか。
栗林公園は、高松駅からおよそ3kmの国道11号線沿いにあります。
南北に長く、東側を国道11号、西側を紫雲山に面しています。
東側中央に東門入場口があり、この入口を境に北側の北庭、南側の南庭に大きく分けられます。
年中無休で開園時間は基本的に日の出から日の入まで。
10時には次の目的地に向けて高松を出発したかったので、
朝7時半からのおよそ2時間半、駆け足で鑑賞しました。
早朝は庭園は開いていても園内の建物はまだ開いておらず、
(だいたい9時から、商工奨励館と讃岐民芸館は瀬戸内国際芸術祭の展示で開いてました)
主に庭園のみとなりますが、ほぼすべてのエリアを鑑賞することができました。
入園料は大人410円ですが、瀬戸芸パスポート提示で団体料金の320円では入れます。
今回は園内の県営駐車場に車を停めたのですが、ここが100円/25分とけっこう高い。
2時間半オーバーで700円もとられちゃいました。
車で行く場合は千円程度かかると見たほうがいいでしょう。
見どころはやはり飛来峰を擁する南庭。
というわけで、人が少ない朝のうちに南庭から見て回ることにしました。
以下鑑賞順に紹介していきます。
花園亭
北湖、芙蓉峰そば。
芙蓉峰からの眺め。
梅林橋から見た峰の形が富士の別名「芙蓉」に見えることが名前の由来。
ここから見る北湖の眺望もなかなか見事。
一番のビュースポット、飛来峰からの眺め。
眼下に広がる南湖の眺めはまさに絶景。
吹上
本園の水源地。
この地域は400年前は河床だったため伏流水が多く、この水は枯れたことがないのだとか。
偃月(えんげつ)橋
美しいアーチ橋。
恋つつじ
ハート型のツツジは、剪定の過程で偶然できたものなのだとか。
飛猿巖(ひえんがん)
江戸時代に発達した築城手法を取り入れたものだとか。
古理兵衛九重塔
松平初代藩主・頼重公の「お庭焼き」として1647年に京都から招いた
紀太理兵衛重利(きたりへえしげとし)が焼いたものだとか。
本当なら焼いてから370年近くの月日が経っていることになりますよね。
南庭最大の南湖の絶景。
根上り五葉松
元は徳川将軍から拝領した盆栽だったそうです。
掬月亭
建物の名前は「水を掬すれば月手に在り」という唐詩の一句に由来するそうです。
四方正面の数寄屋造りで回遊式大名庭園の中心的な建物。
...なのですが、早朝につき開いておらず中に入れず。
残念。
涵翠池
その名のごとく「翠(みどり)を涵(ひた)す」池。
小普陀
古の中国の霊場「普陀山」に倣ってつくられた築山。
西湖エリアに移動して。
桶樋滝
かつては人力で水を汲み上げていた人工の滝。
現在は西湖の水をポンプアップしてるそうです。
赤壁
一風変わった西湖の風景をつくりだしている赤壁。
よくよく見るとじっと動かない鳥が。
人形なんですかね...
旧日暮亭
元は「考槃亭」という名前で建てられた茶室を西湖近くに移されて「日暮亭」と名を改めた。
その後一度園外に移され、昭和20年に現在の場所に再び戻ってきたものの、
すでに別の建物が日暮亭となっていたため、「新日暮亭」となり、
歴史的経緯を踏まえて現在では「旧日暮亭」となったとか。
いろいろあったんだねえ...
降蹲居(おりつくばい)
旧日暮亭のそばを流れる水流の中にあるめずらしい蹲居ですが、
本来は旧日暮亭ではなく別の茶亭用にあつらえたものだとか。
早朝につき中には入れず。
日暮亭
明治初期に建てられた石州流の茶室。
こちらも早朝につき中には入れず。
ぼたん石と見返り獅子
まったくの自然石だそうです。
牡丹の花と振り返った獅子に見えるそうですが...
自分の想像力が足らないのだろうか。
夫婦松
お手植松
大正時代にご来賓の方々により植えられた松たち。
鶴亀松
110個の石組みの亀の背中に鶴が舞うがごとくの黒松。
園内でもっとも美しい松...だそうですが。
アングルが悪いのかなあ。
箱松
箱の形を装った松。
長年の手入れの賜物...らしいですが、
ピンとこないのは自分の鈍さだろうか。
ヒマラヤ杉
樹齢110年、根回り5.2mの園内最大の巨木。
商工奨励館・讃岐民芸館
園のほぼ中央に建つ壮麗な建物。
どことなく道後温泉本館に似ている気がする。
中もなかなか見事なものですが、こちらは別記事にてレポートします。
鴨場(鴨引き堀)
園の北側半分は広大な鴨場になっています。
ここは鴨を誘い引き込むための堀。
瞰鴨閣
その名の通り鴨猟のために鴨の様子を見る建屋。
紫明亭
園内最大の群鴨池
次は建物が開いてる時間帯に訪れたい。
【Information】オフィシャルサイト
アクセス:高松駅から車で7分 ことでん栗林公園駅から徒歩10分
開園時間:基本的に日の出から日の入まで(詳細はオフィシャルサイトでご確認ください)
休園日:年中無休
入園料:大人(高校生以上)410円 小人(小中学生)170円 未就学児は無料